景品表示法に違反する広告表示を行ってしまった場合には、行政から措置命令や課徴金納付命令が下されるリスクがあります。景品表示法の改正も定期的に行われており、その結果事業者に対する規制も強くなる傾向にあることも注意が必要です。
また、万一これらの命令を行政から下されてしまった場合には、当該企業の評判に大きな悪影響を生じさせるリスクがあり、企業が商品やサービスに関して広告を行う場合には景品表示法に違反する広告には十分注意する必要があります。
本日は令和6年に電力会社に対して課徴金納付命令が下された事例をご紹介いたします(ご紹介の関係で一部概要となります。)。
このページの目次
1 違反内容の詳細
当該事業者は、自社のウェブサイト上などで、電気料金に関して、
①スマートコース
ご家庭のお客さまに最も多くご契約いただいている『従量電灯A』よりも、1年間で約1200円おトクになります。」
②シンプルコース:「ご家庭のお客さまに最も多くご契約いただいている『従量電灯A』よりも、1年間で約1000円おトクになります。」
と広告表示を行った。
しかしながら、消費者庁及び公正取引委員会の調査の件、以下の内容が発覚した。
①スマートコース
実際には、従量電灯Aと比較して年間約1,200円の節約効果が得られるのは、月間使用電力量が約300kWhの場合に限られ、多くの消費者にとっては同等か、むしろ高くなる可能性があった。
②シンプルコース
同様に、年間約1000円の節約効果が得られるのは、月間使用電力量が約200kwhの場合に限られ、多くの消費者にとっては同等か、むしろ高くなる可能性がありました。
2 消費者庁の判断
以上を踏まえて、消費者庁は、景表法第5条第2号(有利誤認表示)に該当することを理由に同法第8条第1項に基づき当該事業者に対して課徴金納付命令を下しました。
3 景品表示法に違反する広告にはご注意ください
本件は、製品やサービスの効果を過大に表示し、消費者に誤解を与えた典型的な事例です。
景品表示法は、消費者が正確な情報に基づいて商品やサービスを選択できるよう、事業者の表示行為を規制しています。企業は、自社の広告や表示が法令に適合しているかを常に確認し、適切な情報提供を行うことが求められます。
具体的には、①表示内容の正確性、②根拠資料の整理・保持、③社内教育の徹底を行うことが事業者には求められております。
当事務所では、景品表示法に関するご相談や広告表示の適法性チェックなどのサービスを提供しております。お気軽にお問い合わせください。