Archive for the ‘広告関連法務’ Category
「パクリ広告」と言われないために
「競合他社のあの広告がバズっているから、ウチも似たようなテイストで作ろう」、現場において、優れた作品を参考にすること(リファレンス)は一般的な手法です。しかし、「参考」と「模倣(パクリ)」の境界線は非常に曖昧であり、一歩間違えれば法的責任を問われるだけでなく、SNSで「パクリ企業」として炎上し、ブランドイメージを失墜させることになりかねません。
本記事では、他社の広告をオマージュやパロディとして制作する際の法的リスクについて、著作権法および不正競争防止法の観点から解説します。
1 「アイデア」は著作権で保護されない
著作権法の原則として、保護されるのは具体的な「表現」であり、その根底にある「アイデア」や「作風」は保護されません。例えば、「青い背景で、右側に商品を置き、左側に白文字でキャッチコピーを入れる」というレイアウト(構図)や、「擬人化した猫が商品の説明をする」というアイデア自体には、原則として著作権はありません。したがって、単に作風やコンセプトが似ているだけでは、直ちに著作権侵害とはなりません。
しかし、具体的なイラストのタッチ、配色、キャラクターの造形、文章の言い回しなどが酷似している場合は、「翻案権侵害」や「複製権侵害」となる可能性があります。裁判所は「本質的な特徴を直接感得できるか否か(似ていると感じるか)」で判断しますが、最近はネットユーザーによる検証(画像の重ね合わせ等)が厳しく、法的にグレーであっても社会的制裁を受けるリスクが高まっています。
2 不正競争防止法による規制
著作権法でシロであっても、「不正競争防止法」でアウトになるケースがあります。 同法第2条1項1号では、他人の周知な商品等表示(ブランドロゴやパッケージデザインなど)と類似したものを使用し、消費者に「混同」を生じさせる行為を禁止しています。例えば、競合他社の有名な広告シリーズとそっくりな雰囲気の広告を出し、消費者に「あ、あの有名企業の関連商品かな?」と誤解させて購入させる行為は、他人の信用への「タダ乗り(フリーライド)」として違法となります。また、他社の著名な表示を冒用すること自体を禁止する規定(同項2号)もあり、パロディだからといって無断で他社の有名ブランドロゴをもじったり、キャラクターを借用したりすることは許されません。
「バレなければいい」という考えは、デジタルタトゥーとして永遠に残るリスクと隣り合わせです。迷った際は、公開前に弁護士によるリーガルチェックを受けることを強くお勧めします。

有森FA法律事務所は、「広告表現に不安があるけれど、何から始めていいか分からない」という方々の力になりたいと考えています。インターネット広告やSNSの普及で、広告に関する法律リスクも多様化してきました。広告チェックに関しては、全国からのご相談に対応しており、WEB会議や出張相談も可能です。地域を問わず、さまざまなエリアの事業者様からご相談をいただいています。身近な相談相手として、お気軽にご連絡ください。
動画広告の「BGM」と「フォント」の権利処理
5Gの普及に伴い、YouTubeやTikTok、Instagramなどの「動画広告」は、企業のマーケティング活動において中心的な役割を果たすようになりました。しかし、動画制作は静止画(バナー)に比べて、権利処理が複雑になる傾向にあることをご存知でしょうか。
特にトラブルが多いのが、動画に使用する「音楽(BGM)」と「テロップ(フォント)」の権利です。「制作ソフトに入っていたから」、「フリー素材サイトから落としたから」という理由で安易に使用し、後日、著作権者から動画の削除要請や損害賠償請求を受けるケースが後を絶ちません。
本記事では、動画広告を制作・配信する際に必ず確認すべき権利関係の落とし穴についてみていきます。
1 音楽(BGM)の「著作権」と「原盤権」
動画に音楽を使う場合、クリアしなければならない権利は大きく分けて2つあります。「楽曲そのものの権利(著作権)」と、「音源の権利(原盤権)」です。
例えば、有名なクラシック音楽(ベートーヴェンなど)は、作曲者の死後70年が経過しているため著作権は消滅していますが、それを演奏して録音したCDには、レコード会社や演奏家の「原盤権」が残っています。したがって、市販のクラシックCDの音源を勝手に動画のBGMとして使うことは違法です。また、「著作権フリー(ロイヤリティフリー)」を謳う音楽素材サイトであっても、利用規約で「商用利用(広告利用)」を禁止していたり、法人利用の場合は別途ライセンス料が必要だったりするケースが多々あります。
2 フォント(書体)のライセンス範囲
意外と見落とされがちなのが、テロップに使用する「フォント」の権利です。 パソコンにプリインストールされているフォントや、デザインソフトに付属しているフォントであっても、その利用規約において「動画への使用」や「商用利用」が制限されていることがあります。
例えば、「印刷物への使用はOKだが、動画のテロップとして画面に表示させるには別途放送用ライセンスが必要」といった契約になっているフォントメーカーも存在します。
また、フリーフォントであっても、「YouTubeでの収益化動画には使用不可」や「企業案件には使用不可」といった条件がついていることが珍しくありません。動画広告は当然ながら営利目的の商用利用にあたるため、これらの規約に違反すれば、フォントメーカーから高額な損害賠償を請求されるリスクがあります。制作会社に外注する場合も、「商用利用可能なフォントを使っているか」を必ず確認する必要があります。
3 写り込みと肖像権
ロケ撮影を行う場合、背景に他人の著作物(ポスターや絵画)や、通行人が写り込んでしまうことがあります。日本の著作権法では、付随的な写り込みとして、一定の範囲内であれば権利侵害にならない例外規定がありますが、あくまで「メインの被写体と分離困難な場合」などに限られます。意図的に背景としてキャラクター商品などを配置したり、通行人の顔がはっきり判別できる状態で広告に使用したりすれば、著作権や肖像権の侵害となります。

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生成AIで作った画像を広告に使っても大丈夫?著作権リスクと「依拠性」の壁
ChatGPTでキャッチコピーを考えたり、その他の生成AIで広告用の画像を生成したりすることは、広告制作の現場でもはや当たり前になりつつあります。
制作コストを劇的に下げられる生成AIは、企業にとって夢のようなツールです。しかし、法務の観点からは、生成AIの商用利用には「地雷」が埋まっています。特に画像生成AIを利用した創作に関しては、著作権侵害のリスクを正しく理解しておかなければ、将来的に大きな訴訟トラブルに巻き込まれる可能性があります。
1 生成AIで作ったものに「著作権」はあるか?
まず、「自社がAIで作った広告素材を、他社にパクられないか?」という視点です。
現在の日本の著作権法の解釈では、「AIが自律的に生成したもの」には著作権が発生しないと考えられています。著作権が発生するには、人間の「創作的寄与」が必要だからです。 単にプロンプト(指示文)を入力しただけで出力された画像は、誰でも自由に使えてしまう(自社の権利を主張できない)可能性があります。逆に、出力された画像に人間が大幅な加筆・修正を行えば、その部分には著作権が発生します。広告素材としての独占性を守りたい場合は、AI生成物をそのまま使わず、人間の手を加えることが重要です。
2 最大のリスクは「他人の権利侵害」
より深刻なのは、「AIで作った画像が、既存の誰かのイラストや写真に似ていて、訴えられる」というケースです。著作権侵害が成立するには、以下の2つの要件が必要です。
①類似性
生成物が、既存の著作物と似ていること。
②依拠性(いきょせい)
既存の著作物を元にしている(知っていて利用した)こと。
AIの場合、学習データの中に既存の著作物が含まれていることが多いため、プロンプトで特定の作家名や作品名を指定していなくても、結果的に「そっくりな画像」が生成されることがあります。文化庁の見解では、「AI生成物であっても、既存の著作物と類似しており、かつ依拠性が認められれば著作権侵害になる」とされています。特に、「○○風のイラスト」といった特定の作家名をプロンプトに入力して生成した場合は、依拠性が強く認定される可能性が高く、極めて危険と言わざるを得ません。
3 企業が取るべき安全策
生成AIを広告実務に取り入れる際は、以下のルールを設けることをお勧めします。
①プロンプトに特定の作家名や作品名、他社キャラクター名を入力しない。
②生成された画像を使用する前に、Google画像検索等で「類似画像検索」を行い、酷似している既存作品がないか確認する。
③使用するAIツールの利用規約(商用利用の可否、権利の帰属)を必ず確認する。
④AI生成物であることを隠さず、必要に応じて表記する(透明性の確保)。

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リスティング広告で「競合他社名」をキーワード登録するのは違法か?商標権侵害と不正競争防止法の境界線
Webマーケティングにおいて、検索連動型広告(リスティング広告)は欠かせない施策の一つです。その中で、競合他社の顧客を奪うために、あえて「競合他社のブランド名」や「社名」をキーワードとして登録し、自社の広告を表示させる手法(いわゆる「他社商標の入札」)が行われることがあります。
例えば、消費者が「ブランドA」と検索した際に、競合である「ブランドB」の広告が最上部に表示されるケースです。これはマーケティング戦略としては有効かもしれませんが、法的には「商標権侵害」にならないのでしょうか?
1 キーワード登録自体は「商標権侵害」ではない
過去の裁判例や現在の通説において、単に検索キーワードとして他社の登録商標を管理画面に登録する行為自体は、商標権侵害には当たらないとされています。理由は、商標法が規制するのは、商標を「使用」する行為だからです。管理画面の裏側でキーワードを設定するだけでは、消費者の目に触れる形での「使用(商標的使用)」には該当しないという解釈が一般的です。
したがって、競合他社から「当社の社名をキーワードから削除しろ」という警告書が届いても、直ちに法的な削除義務が発生するわけではありません。GoogleやYahoo!などのプラットフォーム側も、キーワード登録自体は制限しない方針をとっています。
2 「広告文」に他社名を入れるのは完全アウト
問題になるのは、検索結果として表示される「広告文(タイトルや説明文)」の中に、他社の商標が含まれている場合です。例えば、「ブランドA」と検索した結果、「ブランドAより高性能なブランドB」や「ブランドAをお探しの方へ」といった広告文が表示された場合、これは明確に他社の商標を「広告」として使用しているため、商標権侵害となります。
また、商標権侵害だけでなく、不正競争防止法違反(混同惹起行為や著名表示冒用行為)にも問われる可能性があります。消費者が「これはブランドAの公式サイトまたは関連サイトかな?」と勘違いしてクリックするような表示は、法律で厳しく禁じられています。
3 ダイナミック検索広告(DSA)の落とし穴
注意が必要なのが、Google広告などの機能である「キーワード挿入機能」や「ダイナミック検索広告」です。これらは、ユーザーが検索したキーワードを自動的に広告文に反映させる機能です。もし、この機能をオンにした状態で他社商標を入札していると、意図せず広告文の中に他社商標が表示されてしまい、結果として商標権侵害を引き起こすリスクがあります。競合他社名を入札する場合は、必ず自動挿入機能をオフにする設定が必要です。
Web広告の運用は、クリック単価だけでなく「リーガルリスク」もコストの一部として計算する必要があります。不安な運用がある場合は、一度専門家によるチェックを受けることをお勧めします。

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「ネットで拾った画像」で損害賠償請求?広告制作における著作権侵害の落とし穴と「フリー素材」
Web広告やSNSの創作物を作成する際、インターネット上の画像やイラストを使用することは日常茶飯事です。しかし、「Google画像検索で出てきたから」、「フリー素材サイトにあったから」という安易な理由で画像を使用し、後日、著作権者から数十万円〜数百万円の損害賠償請求を受けるケースが後を絶ちません。
特に企業が発信する広告は「商用利用」にあたるため、個人のブログ利用などとは比較にならないほど厳格な責任が問われることを覚悟する必要があります。本記事では、広告制作現場で起こりがちな著作権トラブルと、企業が守るべきリスク管理についてみていきます。
1 「フリー素材」=「何でも自由」ではない
最も多いトラブルの一つが、「フリー素材」サイトの規約違反です。
「ロイヤリティフリー(RF)」という言葉は、「著作権が存在しない」という意味でも、「無料で無制限に使える」という意味でもありません。「利用規約の範囲内であれば、都度の許諾なしで使ってよい」という意味に過ぎないのです。
例えば、多くのフリー素材サイトには以下のような禁止事項(利用規約)が設けられています。
①商用利用の制限
「個人利用は無料だが、商用利用は有料」あるいは「商用利用は不可」というケース
②加工の禁止
画像のトリミング、色調補正、文字乗せなどの改変を禁止しているケース
③モデルリリースの欠如
風景写真はOKでも、写り込んでいる人物の肖像権使用許諾(モデルリリース)が取れていないケース
④点数制限
「1つの制作物につき○点まで」という制限がある場合
規約を読まずに「フリーだから」と大量にダウンロードして広告バナーに使用した結果、サイト運営者から高額な違約金を請求される事例も発生しています。特に海外サイトの場合、英語の規約を読み落とすリスクも高まるため、十分な注意が必要です。
2 「引用」は広告ではほぼ認められない
著作権法には、他人の著作物を無断で使用できる例外として「引用」という規定があります。しかし、広告において「引用」が成立するハードルは極めて高いのが現実です。引用が認められるには、「報道、批評、研究などの正当な目的」が必要であり、かつ「自分の文章が主、引用部分が従」という主従関係が必要です。単に「イメージ画像として使いたい」「商品の魅力を高めたい」という営利目的(広告目的)の場合、引用の要件を満たすことはまずありません。「出典元を明記すれば大丈夫」というのも大きな誤解です。出典を書こうが書くまいが、無断使用は著作権侵害となります。
3 制作会社への丸投げは免罪符にならない
「広告代理店や制作会社に作ってもらったバナーだから、当社は悪くない」と考える広告主の方もいますが、法的には通用しません。著作権侵害による差止請求や損害賠償請求は、実際にその画像を使用している「広告主」に対しても行われます。もちろん、広告主から制作会社へ求償(肩代わりした賠償金の請求)することは可能ですが、一度失った社会的信用や、広告停止による機会損失は取り戻せません。
「バレなければいい」という時代は終わりました。現在は画像検索技術の進化により、無断使用は瞬時に発覚します。クリーンなクリエイティブ制作体制を構築することが、ブランドを守る第一歩です。

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機能性表示食品なら「効能」を言える?届出表示の範囲内での表現テクニックと、事後チェックの重要性
一般の健康食品では言えない「機能性(脂肪を減らす、目のピント調節など)」を表示できるのが「機能性表示食品」です。
しかし、届出さえすれば何を言ってもいいわけではありません。ここにも大きな落とし穴があります。
1 「届出表示」の範囲を超えてはならない
機能性表示食品の広告において、表現の許容範囲を決定するのは、消費者庁に受理された「届出表示」の内容そのものです。広告主が最も陥りやすいミスは、この届出内容を勝手に「拡大解釈」してしまうことです。
例えば、届出表示が「内臓脂肪を減らすのを助ける」である場合、広告で使えるのはあくまでその範囲内です。これを「飲むだけで激ヤセ」「くびれが手に入る」「マイナス10㎏ダイエット成功」といった、あたかも短期間で劇的な容姿の変化をもたらすかのような表現に言い換えると、即座にアウトとなります。
これは、届出の根拠となった研究論文(SRなど)で証明されているのはあくまで「脂肪の減少」であり、「劇的な体重減少や体型変化」までは証明されていないとみなされるからです。届出の文言から逸脱した瞬間に、それは「根拠のない広告」へと成り下がります。
2 身体の部位やイラストの制限
消費者が受ける印象は、文字情報だけではありません。消費者庁は、画像や動画による「暗示」も厳しく監視しています。たとえテキストで届出通りの文言を書いていても、視覚的な演出が「届出以上の効果」を期待させるものであれば、それは不当表示とみなされます。
①視力・ピント調節の事例
「目のピント調節機能を助ける」という届出の商品広告で、ボヤけた視界がパッと明るくなる演出や、眼鏡を投げ捨てるイラストを使用するのはNGです。これらは消費者に「視力が回復する(近視が治る)」という、届出の範囲を超えた誤認を与えるためです。
②ビフォーアフター
ウエスト周りのビフォーアフター写真も同様です。極端な変化を強調する画像は、届出表示が持つ「穏やかな機能性」の範囲を著しく逸脱していると判断されるリスクが極めて高いといえます。
3 事後チェック指針
消費者庁は「機能性表示食品の事後チェック指針」を公表し、届出後に定期的に商品を買い上げ調査(抜き打ち検査)しています。
届出内容と成分量にズレがないか、広告表現が過剰でないかがチェックされます。「機能性表示食品だから安心」ではなく、「機能性表示食品だからこそ、表現の制約(足かせ)がある」ことを理解し、慎重な運用が求められます。
機能性表示食品を運用する際は、常に「届出表示の原文」をデスクに貼り、そこから1ミリもはみ出さない表現を心がけるべきです。プロの代理店が持ってくる「もっと攻めた表現」の誘惑に負けず、エビデンスに基づいた誠実な広告運用を行うこと。それが、結果として行政処分のリスクを回避し、長期間にわたって利益を生む強いブランドを作る方法です。

有森FA法律事務所は、「広告表現に不安があるけれど、何から始めていいか分からない」という方々の力になりたいと考えています。インターネット広告やSNSの普及で、広告に関する法律リスクも多様化してきました。広告チェックに関しては、全国からのご相談に対応しており、WEB会議や出張相談も可能です。地域を問わず、さまざまなエリアの事業者様からご相談をいただいています。身近な相談相手として、お気軽にご連絡ください。
社内でのリーガルチェック体制の構築
「新商品のキャンペーンを明日打ちたいのに、弁護士の回答待ちで進まない」「すべてのバナー広告を法務に回していたら、広告運用のスピード感が死んでしまう」
現場からは必ずと言っていいほど、このような悲鳴が上がります。確かに、すべてのクリエイティブを都度外部の弁護士や専門家に依頼するのは、コスト面でも機動力の面でも現実的ではありません。しかし、「ノーチェック」で配信した広告が一度でも行政処分の対象になれば、それまで積み上げた利益も信頼も一瞬で吹き飛びます。
そこで重要となるのが、外部に頼り切るのではなく、自社内に強固な「一次チェック体制」を構築することです。
1 「自社専用NGワード集」の作成
一般的なガイドラインだけでなく、自社の商材に特化した「言い換え辞書」を作成しましょう。
①×「治る」→ ○「整える」
②×「デトックス」→ ○「スッキリ」
③×「永久脱毛」→ ○「ムダ毛ケア」
過去に修正した事例や、競合他社の表現を参考に、定期的にアップデートすることが重要です。
2 ダブルチェックの徹底
人間はどうしても、自分が情熱を注いで作ったものに対しては判断が甘くなります。特にマーケティング担当者や制作ディレクターは「売上目標」という数字を背負っているため、「これくらいならバレないだろう」「この表現じゃないと売れない」という心理的バイアス(売りたい欲)が働きます。
このリスクを排除するためには、「作る人」と「審査する人」を完全に分離したフローが必要です。
①管理部門・法務担当者の介入
売上目標を持たない部署が、客観的な視点で「ブレーキ役」を担います。
②チェックリストの義務化
感覚で判断するのではなく、あらかじめ決めた項目(エビデンスはあるか、比較優良誤認はないか等)にレ点を入れるプロセスを校了条件にします。
この「他者の目」が入る仕組みがあるだけで、ケアレスミスや、勢いに任せた過激な表現による炎上リスクは大幅に低減します。
3 弁護士の使いどころ
社内チェックはあくまで「一次フィルター」です。
①新商品のLP
②大規模なキャンペーン広告
③グレーゾーンを攻めたい表現
これらについては、最終的に弁護士の確認を取ることで、経営上のリスクヘッジとなります。
「プロの代理店に任せる」ことと「自社で判断基準を持つ」ことは両立できます。
むしろ、自社に一次チェックの知見があるからこそ、代理店に対しても「この表現の根拠は何ですか?」と適切なプレッシャーを与えることが可能になります。
「お任せ」だけでなく「自走」も。この体制構築こそが、コンプライアンスが厳格化する現代において、持続可能な成長を実現するための方法です。

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広告代理店が作ったLPで薬機法違反に!処分を受けたメーカーは、代理店に損害賠償請求できるか?
「プロの代理店に『お任せ』で作ってもらった広告で、まさか行政処分を受けるなんて…」 薬機法や景表法違反で措置命令や課徴金を受けた広告主が、制作を担当した広告代理店やコンサルタントに対して損害賠償を請求したいと相談に来るケースがございます。
1 大原則は「広告主の責任」
まず認識しなければならないのは、法律上、広告表現に対する第一義的な責任を負うのは、その広告によって利益を得ている「広告主」自身であるという点です。
措置命令や課徴金納付命令といった行政処分は、基本的に広告主に対して下されます。たとえ広告主が「代理店が勝手にやった」「自分たちは薬事の知識がなく、プロを信じて校了しただけだ」と主張したとしても、最終的にそのクリエイティブを承認(校了)して世に出した以上、対外的な責任を免れることはできません。
行政のロジックでは、「自社の商品をどう売るかの最終決定権は広告主にあり、管理監督責任がある」とみなされるからです。
2 代理店への求償(請求)は可能か?
では、代理店は無傷で済むのでしょうか?
民事上の契約責任(善管注意義務違反)を問える可能性はあります。例えば、
①「薬機法チェック済み」と謳っていたのに違反していた。
②契約書に「法令遵守保証」や「損害賠償条項」がある。
③明らかに違法性が高いと予見できた表現を、代理店側が「このくらいなら大丈夫」「他社もやっている」と強く推奨し、広告主を誤認させた場合。
これらの場合は、広告主が被った損害(課徴金相当額や広告修正費用、ブランド毀損による損害)の一部または全部を請求できる可能性があります。
3 契約書の重要性
このような泥沼のトラブルを防ぐには、感情的な議論ではなく、「契約」と「プロセス」による事前防衛が全てです。
まず、発注時の業務委託契約書を精査してください。「万が一、法令違反によって損害が生じた場合の責任分担」や、賠償額の制限(キャップ)の有無を明確にしておくことが不可欠です。代理店が提示する標準契約書には、代理店側の責任を極めて限定的にする条項が含まれていることが多いため、修正交渉が重要になります。
そして何より、「プロに任せきり」にしない運用体制を構築してください。
①代理店から上がってきた制作物に対し、社内にダブルチェックの体制を設ける。
②必要に応じて、代理店とは利害関係のない第三者機関(弁護士や薬事コンサルタント)によるリーガルチェックを挟む。
広告は諸刃の剣です。大きな利益をもたらす可能性がある一方で、ひとたび牙を剥けば企業の社会的信用を根底から揺るがします。「知らなかった」では済まされないリーガルリスクに対し、広告主自身が主体性を持って向き合うこと。それが、自社とブランドを守る唯一の道なのです。

有森FA法律事務所は、「広告表現に不安があるけれど、何から始めていいか分からない」という方々の力になりたいと考えています。インターネット広告やSNSの普及で、広告に関する法律リスクも多様化してきました。広告チェックに関しては、全国からのご相談に対応しており、WEB会議や出張相談も可能です。地域を問わず、さまざまなエリアの事業者様からご相談をいただいています。身近な相談相手として、お気軽にご連絡ください。
ライバル会社や消費者団体から「警告文」が届いた時の初動マニュアル。訴訟リスクを回避する対応策
自社の広告に対し、消費者庁などの役所ではなく、「適格消費者団体」や「競合他社(の弁護士)」から、「貴社の広告は景表法違反ではないか?」という趣旨の通知書(申入れ書)が届くことがあります。
これを「単なるクレーム」だと思って放置すると、取り返しのつかない事態になりますので注意が必要です。
1 適格消費者団体とは
内閣総理大臣の認定を受け、消費者に代わって不当な表示や契約条項の「差止め請求」を行う権限を持つ団体です。
彼らからの「申入れ書(お問い合わせ)」は、事実上の「最後通告」です。 これに対し誠実な回答をせず、改善も見られない場合、彼らは裁判所に対して「差止請求訴訟」を提起します。訴訟に発展し、敗訴の判決や和解に至れば、該当広告の差し止めはもちろん、その事実が団体HPやマスコミを通じて広く公表されます。行政処分とは別の文脈で「法律を守らない企業」というレッテルを貼られ、社会的信用は一気に失墜します。
2 競合他社からの通報
ライバル会社が、弁護士を使って警告書を送ってくるケースもあります。
これは「不正競争防止法」に基づく差止請求であったり、「景表法違反だから消費者庁に通報するぞ」という牽制であったりします。自社に非がある場合は直ちに広告を修正し、場合によっては和解交渉を行うこともあり得ます。
3 初動対応の鉄則
①絶対に無視しない・期限内に回答する
放置は「反省の色なし」「悪質」と判断され、即座に提訴や通報に踏み切られる引き金となります。
②回答は必ず「広告法務に強い弁護士」と精査する
自社の正当性を主張するのか、非を認めて速やかに改善案を出すのか。法的な戦略なしに回答書を送ることは、相手にさらなる攻撃材料を与えるだけです。
③電話での不用意な反論を避ける
担当者が感情的に電話で反論した内容は、すべて記録(録音)され、後の裁判で「不誠実な対応」の証拠として提出されます。やり取りはすべて文書(エビデンス)を基本としてください。 外部からの指摘は、見方を変えれば「行政処分や訴訟による致命傷を負う前に与えられた猶予」でもあります。警告を受けた時点で、直ちに専門家に相談し、表示の妥当性を再検証してください。迅速かつプロフェッショナルな対応こそが、企業のブランドと未来を守る唯一の道です。

有森FA法律事務所は、「広告表現に不安があるけれど、何から始めていいか分からない」という方々の力になりたいと考えています。インターネット広告やSNSの普及で、広告に関する法律リスクも多様化してきました。広告チェックに関しては、全国からのご相談に対応しており、WEB会議や出張相談も可能です。地域を問わず、さまざまなエリアの事業者様からご相談をいただいています。身近な相談相手として、お気軽にご連絡ください。
美容機器・雑貨の広告表現。「リフトアップ」「小顔」「脂肪燃焼」はNG?
家庭用の美顔器、ローラー、脱毛器。
これらは法律上、医療機器ではなく「一般雑貨(雑品)」に分類されます。
雑品の広告ルールは非常にシンプルで厳格です。要するに、「物理的な効果(事実)しか言えない」、これに尽きます。
1 「身体の構造・機能が変わる」といった表現はNGです
医療機器としての承認を受けていない雑品が、身体の構造や機能に変化を与えるような表現を用いると、薬機法違反(未承認医療機器の広告)とみなされるリスクが極めて高くなります。以下の表現は、意図せずとも「身体のメカニズムに作用している」と判断される典型的なNG例です。
①「リフトアップ」(皮膚の位置が変わる)
②「小顔効果」(顔の大きさが変わる)
③「脂肪分解・燃焼」(細胞に作用する)
④「育毛・発毛」(毛根に作用する)
⑤「ターンオーバー促進」(代謝機能に作用する)
2 『言えること』の範囲
では、何を訴求すればいいのでしょうか?
雑品で言えるのは、使用している最中の物理的な事実や、使用に伴う副次的な効果です。
例えば、
①「汚れを落とす」(洗浄効果)
②「肌を引き締める」(ただし、物理的な引き締めや冷却効果などに限る)
③「温める」(温熱効果)
④「揉みほぐす」(ただし、「血行促進」「コリをほぐす」などは一般医療機器でないと言えない場合が多いので注意が必要)
3 「見せ方」で工夫する
直接的な言葉が使えない分、広告においては「使用感」や「気分の変化」を訴求する必要があり、また、多くの企業がこのような「見せ方」の工夫を行っております。
①印象へのアプローチ
「上向きの印象へ」「スッキリしたフェイスラインを目指す」など、状態の変化ではなく、あくまで「見た目の印象」として表現します。
②注釈(打ち消し表示)の活用
「ハリを与えることによる」や「汚れが落ちたことによる明るさ」など、効果の根拠が物理的範囲内であることを明示します。
③情緒的価値の訴求
「自分へのご褒美タイムに」「エステ帰りのような充足感」など、体験価値を強調します。
高額な製品ほど「劇的な変化」を謳いたくなるものですが、誇大広告は行政の監視対象となりやすく、ブランド毀損のリスクを孕みます。法律の枠組みを正しく理解し、物理的事実の積み重ねによって「納得感のあるストーリー」を構築することが、クリーンで持続可能な広告運用の正解と言えるでしょう。

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