Archive for the ‘広告関連法務’ Category
社内でのリーガルチェック体制の構築
「新商品のキャンペーンを明日打ちたいのに、弁護士の回答待ちで進まない」「すべてのバナー広告を法務に回していたら、広告運用のスピード感が死んでしまう」
現場からは必ずと言っていいほど、このような悲鳴が上がります。確かに、すべてのクリエイティブを都度外部の弁護士や専門家に依頼するのは、コスト面でも機動力の面でも現実的ではありません。しかし、「ノーチェック」で配信した広告が一度でも行政処分の対象になれば、それまで積み上げた利益も信頼も一瞬で吹き飛びます。
そこで重要となるのが、外部に頼り切るのではなく、自社内に強固な「一次チェック体制」を構築することです。
1 「自社専用NGワード集」の作成
一般的なガイドラインだけでなく、自社の商材に特化した「言い換え辞書」を作成しましょう。
①×「治る」→ ○「整える」
②×「デトックス」→ ○「スッキリ」
③×「永久脱毛」→ ○「ムダ毛ケア」
過去に修正した事例や、競合他社の表現を参考に、定期的にアップデートすることが重要です。
2 ダブルチェックの徹底
人間はどうしても、自分が情熱を注いで作ったものに対しては判断が甘くなります。特にマーケティング担当者や制作ディレクターは「売上目標」という数字を背負っているため、「これくらいならバレないだろう」「この表現じゃないと売れない」という心理的バイアス(売りたい欲)が働きます。
このリスクを排除するためには、「作る人」と「審査する人」を完全に分離したフローが必要です。
①管理部門・法務担当者の介入
売上目標を持たない部署が、客観的な視点で「ブレーキ役」を担います。
②チェックリストの義務化
感覚で判断するのではなく、あらかじめ決めた項目(エビデンスはあるか、比較優良誤認はないか等)にレ点を入れるプロセスを校了条件にします。
この「他者の目」が入る仕組みがあるだけで、ケアレスミスや、勢いに任せた過激な表現による炎上リスクは大幅に低減します。
3 弁護士の使いどころ
社内チェックはあくまで「一次フィルター」です。
①新商品のLP
②大規模なキャンペーン広告
③グレーゾーンを攻めたい表現
これらについては、最終的に弁護士の確認を取ることで、経営上のリスクヘッジとなります。
「プロの代理店に任せる」ことと「自社で判断基準を持つ」ことは両立できます。
むしろ、自社に一次チェックの知見があるからこそ、代理店に対しても「この表現の根拠は何ですか?」と適切なプレッシャーを与えることが可能になります。
「お任せ」だけでなく「自走」も。この体制構築こそが、コンプライアンスが厳格化する現代において、持続可能な成長を実現するための方法です。

有森FA法律事務所は、「広告表現に不安があるけれど、何から始めていいか分からない」という方々の力になりたいと考えています。インターネット広告やSNSの普及で、広告に関する法律リスクも多様化してきました。広告チェックに関しては、全国からのご相談に対応しており、WEB会議や出張相談も可能です。地域を問わず、さまざまなエリアの事業者様からご相談をいただいています。身近な相談相手として、お気軽にご連絡ください。
広告代理店が作ったLPで薬機法違反に!処分を受けたメーカーは、代理店に損害賠償請求できるか?
「プロの代理店に『お任せ』で作ってもらった広告で、まさか行政処分を受けるなんて…」 薬機法や景表法違反で措置命令や課徴金を受けた広告主が、制作を担当した広告代理店やコンサルタントに対して損害賠償を請求したいと相談に来るケースがございます。
1 大原則は「広告主の責任」
まず認識しなければならないのは、法律上、広告表現に対する第一義的な責任を負うのは、その広告によって利益を得ている「広告主」自身であるという点です。
措置命令や課徴金納付命令といった行政処分は、基本的に広告主に対して下されます。たとえ広告主が「代理店が勝手にやった」「自分たちは薬事の知識がなく、プロを信じて校了しただけだ」と主張したとしても、最終的にそのクリエイティブを承認(校了)して世に出した以上、対外的な責任を免れることはできません。
行政のロジックでは、「自社の商品をどう売るかの最終決定権は広告主にあり、管理監督責任がある」とみなされるからです。
2 代理店への求償(請求)は可能か?
では、代理店は無傷で済むのでしょうか?
民事上の契約責任(善管注意義務違反)を問える可能性はあります。例えば、
①「薬機法チェック済み」と謳っていたのに違反していた。
②契約書に「法令遵守保証」や「損害賠償条項」がある。
③明らかに違法性が高いと予見できた表現を、代理店側が「このくらいなら大丈夫」「他社もやっている」と強く推奨し、広告主を誤認させた場合。
これらの場合は、広告主が被った損害(課徴金相当額や広告修正費用、ブランド毀損による損害)の一部または全部を請求できる可能性があります。
3 契約書の重要性
このような泥沼のトラブルを防ぐには、感情的な議論ではなく、「契約」と「プロセス」による事前防衛が全てです。
まず、発注時の業務委託契約書を精査してください。「万が一、法令違反によって損害が生じた場合の責任分担」や、賠償額の制限(キャップ)の有無を明確にしておくことが不可欠です。代理店が提示する標準契約書には、代理店側の責任を極めて限定的にする条項が含まれていることが多いため、修正交渉が重要になります。
そして何より、「プロに任せきり」にしない運用体制を構築してください。
①代理店から上がってきた制作物に対し、社内にダブルチェックの体制を設ける。
②必要に応じて、代理店とは利害関係のない第三者機関(弁護士や薬事コンサルタント)によるリーガルチェックを挟む。
広告は諸刃の剣です。大きな利益をもたらす可能性がある一方で、ひとたび牙を剥けば企業の社会的信用を根底から揺るがします。「知らなかった」では済まされないリーガルリスクに対し、広告主自身が主体性を持って向き合うこと。それが、自社とブランドを守る唯一の道なのです。

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ライバル会社や消費者団体から「警告文」が届いた時の初動マニュアル。訴訟リスクを回避する対応策
自社の広告に対し、消費者庁などの役所ではなく、「適格消費者団体」や「競合他社(の弁護士)」から、「貴社の広告は景表法違反ではないか?」という趣旨の通知書(申入れ書)が届くことがあります。
これを「単なるクレーム」だと思って放置すると、取り返しのつかない事態になりますので注意が必要です。
1 適格消費者団体とは
内閣総理大臣の認定を受け、消費者に代わって不当な表示や契約条項の「差止め請求」を行う権限を持つ団体です。
彼らからの「申入れ書(お問い合わせ)」は、事実上の「最後通告」です。 これに対し誠実な回答をせず、改善も見られない場合、彼らは裁判所に対して「差止請求訴訟」を提起します。訴訟に発展し、敗訴の判決や和解に至れば、該当広告の差し止めはもちろん、その事実が団体HPやマスコミを通じて広く公表されます。行政処分とは別の文脈で「法律を守らない企業」というレッテルを貼られ、社会的信用は一気に失墜します。
2 競合他社からの通報
ライバル会社が、弁護士を使って警告書を送ってくるケースもあります。
これは「不正競争防止法」に基づく差止請求であったり、「景表法違反だから消費者庁に通報するぞ」という牽制であったりします。自社に非がある場合は直ちに広告を修正し、場合によっては和解交渉を行うこともあり得ます。
3 初動対応の鉄則
①絶対に無視しない・期限内に回答する
放置は「反省の色なし」「悪質」と判断され、即座に提訴や通報に踏み切られる引き金となります。
②回答は必ず「広告法務に強い弁護士」と精査する
自社の正当性を主張するのか、非を認めて速やかに改善案を出すのか。法的な戦略なしに回答書を送ることは、相手にさらなる攻撃材料を与えるだけです。
③電話での不用意な反論を避ける
担当者が感情的に電話で反論した内容は、すべて記録(録音)され、後の裁判で「不誠実な対応」の証拠として提出されます。やり取りはすべて文書(エビデンス)を基本としてください。 外部からの指摘は、見方を変えれば「行政処分や訴訟による致命傷を負う前に与えられた猶予」でもあります。警告を受けた時点で、直ちに専門家に相談し、表示の妥当性を再検証してください。迅速かつプロフェッショナルな対応こそが、企業のブランドと未来を守る唯一の道です。

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美容機器・雑貨の広告表現。「リフトアップ」「小顔」「脂肪燃焼」はNG?
家庭用の美顔器、ローラー、脱毛器。
これらは法律上、医療機器ではなく「一般雑貨(雑品)」に分類されます。
雑品の広告ルールは非常にシンプルで厳格です。要するに、「物理的な効果(事実)しか言えない」、これに尽きます。
1 「身体の構造・機能が変わる」といった表現はNGです
医療機器としての承認を受けていない雑品が、身体の構造や機能に変化を与えるような表現を用いると、薬機法違反(未承認医療機器の広告)とみなされるリスクが極めて高くなります。以下の表現は、意図せずとも「身体のメカニズムに作用している」と判断される典型的なNG例です。
①「リフトアップ」(皮膚の位置が変わる)
②「小顔効果」(顔の大きさが変わる)
③「脂肪分解・燃焼」(細胞に作用する)
④「育毛・発毛」(毛根に作用する)
⑤「ターンオーバー促進」(代謝機能に作用する)
2 『言えること』の範囲
では、何を訴求すればいいのでしょうか?
雑品で言えるのは、使用している最中の物理的な事実や、使用に伴う副次的な効果です。
例えば、
①「汚れを落とす」(洗浄効果)
②「肌を引き締める」(ただし、物理的な引き締めや冷却効果などに限る)
③「温める」(温熱効果)
④「揉みほぐす」(ただし、「血行促進」「コリをほぐす」などは一般医療機器でないと言えない場合が多いので注意が必要)
3 「見せ方」で工夫する
直接的な言葉が使えない分、広告においては「使用感」や「気分の変化」を訴求する必要があり、また、多くの企業がこのような「見せ方」の工夫を行っております。
①印象へのアプローチ
「上向きの印象へ」「スッキリしたフェイスラインを目指す」など、状態の変化ではなく、あくまで「見た目の印象」として表現します。
②注釈(打ち消し表示)の活用
「ハリを与えることによる」や「汚れが落ちたことによる明るさ」など、効果の根拠が物理的範囲内であることを明示します。
③情緒的価値の訴求
「自分へのご褒美タイムに」「エステ帰りのような充足感」など、体験価値を強調します。
高額な製品ほど「劇的な変化」を謳いたくなるものですが、誇大広告は行政の監視対象となりやすく、ブランド毀損のリスクを孕みます。法律の枠組みを正しく理解し、物理的事実の積み重ねによって「納得感のあるストーリー」を構築することが、クリーンで持続可能な広告運用の正解と言えるでしょう。

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CBD製品の広告規制。違法成分(THC)のリスクと「リラックス」「睡眠導入」は薬機法で言えるか?
近年、急速に市場が拡大しているCBD(カンナビジオール)。
しかし、大麻草由来という性質上、「大麻取締法(および麻薬取締法)」と「薬機法」の二重の規制を受ける、極めてデリケートな商材です。安易に参入し、広告表現を誤ると、逮捕や在庫廃棄といった致命的なリスクを負うことになります。
1 「THCフリー」の証明責任
まず大前提として、日本の法律で禁止されている成分「THC(テトラヒドロカンナビノール)」が微量でも検出されれば、それは「麻薬」です。
輸入者・販売者は麻薬取締法違反で逮捕されます。広告以前の問題として、輸入時には厚労省(麻薬取締部)への厳格な手続きが必要ですし、販売時も「THCフリー(非検出)」であることを証明する成分分析表(COA)の提示が求められます。ここが曖昧なまま販売すると、ある日突然警察の捜査を受けることになります。
2 「効能効果」は一切言えない
CBDは、現時点では日本では「医薬品」としても「食品」としても曖昧な立ち位置(主に食品扱い)ですが、海外で認められているような医療効果を謳うことは薬機法違反(未承認医薬品広告)です。
NG表現の例としては、
①「てんかんに効く」「痛みを和らげる」(治療効果)
②「不眠症改善」「睡眠導入」(身体機能の変化)
③「精神安定」「うつ対策」(精神への作用)
これらはすべてアウトです。言えるのは、「リフレッシュ」「休息タイムに」「美容と健康のために」といった抽象的な表現(いわゆる「健康食品的表現」)に留まります。
「リラックス」ですら、文脈によっては精神作用(薬理作用)とみなされるリスクがあるため、慎重な言い換えが必要です。
3 アカウント停止リスク
Google広告やMeta広告(Facebook/Instagram)では、CBD製品の出稿が厳しく制限されています。 LP内で少しでも薬機法違反の疑いがあれば、即座に広告アカウントがBAN(停止)されます。
急成長を続けるCBD(カンナビジオール)ビジネスにおいて持続的な成功を収めるためには、日本の複雑な法令遵守はもちろん、主要な広告プラットフォームや決済代行会社が定める厳格な規約を同時にクリアするという、極めて難易度の高いハードルを超えなければなりません。
CBD製品は、大麻取締法や薬機法との兼ね合いから、一歩表現を誤れば即座に違法とみなされるリスクを孕んでいます。そのため、製品の魅力を最大限に伝えつつ、法的NGラインを巧妙に回避する高度なライティング技術と、専門弁護士による緻密なリーガルチェック体制の構築が不可欠です。市場の「グレーゾーン」を独りよがりに解釈するのではなく、法的な根拠に基づいた「白」の範囲内で、いかに消費者の心に刺さる訴求ができるか。この戦略的なバランス感覚こそが、ブランドを安定成長へと導く鍵となります。

有森FA法律事務所は、「広告表現に不安があるけれど、何から始めていいか分からない」という方々の力になりたいと考えています。インターネット広告やSNSの普及で、広告に関する法律リスクも多様化してきました。広告チェックに関しては、全国からのご相談に対応しており、WEB会議や出張相談も可能です。地域を問わず、さまざまなエリアの事業者様からご相談をいただいています。身近な相談相手として、お気軽にご連絡ください。
アフィリエイト広告で広告主が逮捕?ASPやアフィリエイターの暴走を止めるための法的管理・契約体制
「アフィリエイターが勝手に誇大広告を出しただけ。広告主である我々は知らなかった」 かつて通用したこの言い訳は、もはや法的責任を回避する理由にはなりません。
2021年の薬機法改正および近年の摘発事例により、アフィリエイト広告に対する「広告主の責任」は極めて重いものとなっています。
1 広告主も「共犯」として逮捕
A事件では、アフィリエイターや広告代理店だけでなく、広告主(メーカー)の社員も薬機法違反容疑で逮捕されました。
警察は、広告主がアフィリエイターに対してNG表現を含む記事作成を依頼・黙認していた点(共謀)を重視しました。これにより、「アフィリエイト記事は外部の人間が書いたもの」という防波堤は崩壊しました。
2 景表法上の「管理上の措置」義務
景品表示法においても、アフィリエイト広告の内容が不当表示(優良誤認など)であれば、広告主に措置命令が出されます。さらに、広告主にはアフィリエイト広告の内容を適正に管理するための「管理上の措置」を講じることが義務付けられています。
①ASP(アフィリエイト・サービス・プロバイダ)との連携
②サイトパトロール(定期巡回)の実施
③不適切なサイトへの掲載停止処分
これらを怠っていると、行政から「管理義務を果たしていない」とみなされます。
3 契約書での防衛
リスクを管理するためには、ASPや代理店との契約書において、以下の条項を整備する必要があります。
①法令遵守条項:薬機法・景表法・特商法の遵守を明記。
②事前審査・事後報告:掲載記事のチェック権限。
③損害賠償・求償権:アフィリエイターの違反により広告主が課徴金等の損害を被った場合、全額を請求できる条項。
アフィリエイト広告は、売上に応じた成果報酬型という極めて投資対効果の高い仕組みである反面、広告主の目が届かないところでブランド毀損や深刻な法的リスクを招く温床になりがちです。一部の「売れれば何でもいい」という目先の利益を優先するアフィリエイターが、薬機法や景品表示法を無視した過激な誇大広告を展開すれば、その責任は最終的に広告主である企業が負うことになります。
こうしたリスクを回避し、健全な運用を実現するためには、悪質なパートナーを排除し、広告表現を厳格に管理するための強固な法的スキームの構築が不可欠です。アフィリエイト協議会の指針や最新のステマ規制を遵守した契約の締結、さらには不適切な投稿を監視・是正する体制の整備まで、ブランドの信頼を守りながら収益を最大化するためのリーガルサポートを包括的に提供いたします。

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定期購入(サブスク)の特商法改正。「解約できない」トラブルを防ぐための『最終確認画面』の作り方
「お試し500円で申し込んだら、実は4回縛りの定期購入だった」、「解約しようとしても電話が繋がらない」
こうした「詐欺的な定期購入商法」を撲滅するため、2022年6月に特定商取引法(特商法)が改正され、EC事業者に対する規制が大幅に強化されました。きちんとした対策を取らない場合、事業者は悪徳事業者等とのレッテルを貼られるリスクがありますので十分な注意が必要です。
1 「最終確認画面」の表示義務
改正法の目玉は、注文確定直前の「最終確認画面」における表示義務です。
事業者は、この画面で以下の6項目を明確に表示しなければなりません。
①分量:「毎月1箱お届け」など
②販売価格(総額):「2回目以降は○○円」「総額○○円」
③対価の支払時期
④引渡時期
⑤申込み期間(ある場合)
⑥解約条件(重要):解約方法(電話かWebか)、いつまでに申し出ればよいか
これらを「リンク先」や「別ページ」に飛ばして表示することは認められません。
同じ画面内で一目でわかるようにする必要があります。
2 誤認させる表示の禁止
「初回実質0円!今すぐ注文する」というボタンを押させ、実は定期契約であるような、消費者を誤認させる表示も禁止されました。
ECサイトのコンバージョンを左右する「注文する」ボタン付近の表示は、特定商取引法の改正により、現在最も厳格なチェックが求められる箇所の一つです。単にボタンを配置するだけでなく、その直近に「これが定期購入であること」や「継続期間の縛り」、「支払総額」などの重要事項を、消費者が一目で理解できるよう明記しなければなりません。
もし、意図的に定期購入であることを隠したり、誤解を招くような分かりにくい表示を行ったりすれば、顧客からの解約トラブルや返金騒動を招くだけでなく、消費者庁による行政処分の対象となるリスクが極めて高くなります。LPのデザイン性を優先するあまり、法的要件を疎かにすることは、企業の信頼を失墜させる致命的なミスに繋がりかねません。
3 消費者の「取消権」の創設
もし、最終確認画面の表示が不十分だったり、誤認させる表示があったりした場合、消費者は「誤認して申し込んだ契約を取り消す(無条件キャンセルする)」ことができるようになりました。
つまり、いくら「返品不可」と書いてあっても、画面が法律に準拠していなければ、事業者側は代金を返金しなければなりません。
この改正は、悪質業者だけでなく、一般のD2C事業者にも適用されます。 「うちは大丈夫だろう」と思っていても、カートシステムの仕様が新法に対応していなければ違法となります。今一度、自社の決済画面のスクショを撮り、弁護士のリーガルチェックを受けることをお勧めします。

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美容クリニック・歯科医院のHPは「広告」です。「医療広告ガイドライン」対策とビフォーアフター写真の掲載条件
かつて、医療機関のホームページ(HP)は「広告」規制の対象外とされていました。しかし、美容医療トラブルの急増を受け、2018年の医療法改正により、HPもチラシやCMと同様に「広告」として規制されることになりました。 これにより、多くのクリニックのサイトが法違反の状態(グレーゾーン)に陥っています。
1 禁止される表現(NG例)
以下の表現は、たとえ事実であってもHPに掲載することはできません。
①比較優良広告:「地域No.1」「県内最高の技術」「○○クリニックより安い」
②誇大広告:「絶対に治る」「100%安全」「パーフェクトな小顔」
③体験談:患者の主観に基づく体験談や口コミの掲載は、内容の真偽を問わず全面禁止です(Googleマップ等の外部サイトは除く)。
2 ビフォーアフター写真の「限定解除」要件
以前はHPでのビフォーアフター掲載も原則禁止でしたが、現在は「詳細な説明」を併記する場合に限り、掲載が認められています。具体的には、写真のすぐ近くに以下の情報を網羅する必要があります。
①治療内容
②費用等(標準的な金額)
③治療に伴う主なリスク、副作用
単に写真を並べて「こんなに綺麗になりました!」と書くだけでは違法です。「腫れ、内出血のリスク」「総額○○万円」といったネガティブ情報も隠さず書かなければなりません。
3 キャンペーン価格と二重価格
「今だけ半額」「モニター価格」といった表示も、不当な誘引(品位を損なう内容)として規制対象になる場合があります。 また、HPに安価な料金を表示しておきながら、来院すると高額な契約を迫るような行為は、特定商取引法や消費者契約法違反も問われる重大なコンプライアンス違反です。
医療広告ガイドラインの遵守は、医療機関の経営において避けては通れない最優先事項です。もし規制に抵触すれば、単なる行政指導に留まらず、是正命令や中止命令、さらには悪質なケースでは懲役や罰金といった厳しい刑事罰までもが明確に規定されています。 特にホームページのリニューアルや新規LPの制作時には、「限定解除」の要件を満たしているか、あるいは比較優良広告や誇大広告に該当していないかなど、極めて細部まで厳格な判断が求められます。意図せぬ違反によって医療機関の社会的信用を失わないためにも、制作の初期段階から医療法務に精通した弁護士によるリーガルチェックを組み込み、安全性を担保することが不可欠です。

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医師の推薦(ドクターズコスメ)や専門家の監修はどこまでOK?「権威」を利用した広告に対する薬機法の規制
「皮膚科医推奨」「医師が開発」「○○大学教授が監修」
白衣を着た医師や専門家が登場する広告は、消費者に強い安心感を与えます。
しかし、医薬品医療機器等法(薬機法)では、医薬品・化粧品・医療機器等について、「医師等の医薬関係者がその効能効果や性能を保証したと誤解されるおそれのある記事」の広告を明確に禁止しています。
1 「医師推薦」は原則禁止
たとえ本当に医師が推薦していたとしても、化粧品や健康器具の広告で「医師が推薦!」「ドクターのお墨付き」と書くことはできません。 医師という権威者が推薦することで、「絶対に効くのだろう」と消費者が安易に信じてしまうことを防ぐためです。「○○医師も愛用」といった表現も、文脈によっては推薦(効能の保証)とみなされ、違法となります。
2 「共同開発」「監修」ならOK?
「推薦」はNGですが、事実として医師が開発に関わっているのであれば、「医師との共同開発」「医師監修」という事実を記載すること自体は可能です。ただし、以下の点に注意が必要です。
①事実であること:名前を貸しただけ(名義貸し)で、実質的に開発に関与していない場合は、景表法違反(優良誤認)になります。
②効能効果とリンクさせないこと:「医師が監修したから(=シミが消える)」といった文脈はNGです。あくまで「成分配合の監修」や「開発段階のアドバイス」という事実のみを伝える必要があります。
3 健康食品の場合
健康食品(サプリメント)は分類上「食品」であるため、医薬品等の誇大広告を禁ずる薬機法第66条の直接的な規制対象にはなりません。しかし、医師を登場させて「この成分は癌に効く」といった具体的な効能効果を謳えば、それは「未承認医薬品」の宣伝とみなされ、厳しい処罰の対象となります。また、実際に医師が監修していないのに実態のない推薦コメントを掲載すれば、景品表示法の「優良誤認」として行政処分の対象にもなり得ます。
このように「権威」を活用する広告手法は、強力な訴求力を持つ一方で、一歩間違えればブランドに致命傷を与える諸刃の剣です。法的なリスクを回避しつつ、適法に医師をキャスティングするための緻密なスキーム構築や、責任の所在を明確にする監修契約書の作成については、専門知識を持つ弁護士にぜひご相談ください。安全な「攻めの広告」を実現するには、プロの視点によるリーガルチェックが不可欠です。

有森FA法律事務所は、「広告表現に不安があるけれど、何から始めていいか分からない」という方々の力になりたいと考えています。インターネット広告やSNSの普及で、広告に関する法律リスクも多様化してきました。広告チェックに関しては、全国からのご相談に対応しており、WEB会議や出張相談も可能です。地域を問わず、さまざまなエリアの事業者様からご相談をいただいています。身近な相談相手として、お気軽にご連絡ください。
ビフォーアフター写真(使用前後写真)は掲載可能か?化粧品・健康食品・美容機器における「効能保証」の境界線
「論より証拠」として、広告で最も強力な説得力を持つのがビフォーアフター(使用前・使用後の比較)写真です。しかし、薬機法(旧薬事法)の世界では、この手法は「効能効果の保証」にあたるとして、原則として厳しく規制されています。
「インスタで見かけるから大丈夫だろう」と安易に掲載すると、行政指導の対象になります。では、どこまでなら許されるのでしょうか?
1 化粧品:原則NG、例外あり
薬機法の適正広告基準では、化粧品の効能効果に関するビフォーアフター写真の掲載は「原則禁止」されています。
「シミが消えた」「シワが伸びた」「肌が白くなった」といった写真は、たとえ事実であっても、すべての人に同様の効果があるかのような誤解(効能の保証)を与えるためNGです。
ただし、以下の場合は認められています。
①メーキャップ効果:ファンデーションでシミを隠す、口紅で色を変える、二重のりで二重にするなど、物理的な変化を見せる場合。
②汚れ落ち(洗浄):洗顔料やシャンプーで、肌や髪の汚れが落ちた様子を見せる場合(ただし、肌質改善までは言えません)。
2 健康食品(ダイエット):条件付きOK
いわゆる「置き換えダイエット」などで、「-10kg達成!」といった写真を使うケースです。 健康食品自体に「痩せる効果」を謳うことは薬機法違反ですが、「適切な食事制限と運動を併用した結果」として事実を掲載することは、景品表示法の観点から一定の条件を満たせば可能です。
必須条件としては、
①客観的な実証データがあること:捏造ではないこと。
②「本品の効果ではありません」等の注釈では不十分:運動や食事制限が主因であることを明確に打ち出す必要があります。
③成功例だけでなく平均的な結果も示すこと:稀な成功例だけを載せることは優良誤認となります(打消し表示の問題)。
3 美容機器:医療機器との区別
家庭用の美顔器や脱毛器(雑品)において、「リフトアップした」「毛が生えてこなくなった」という写真を使うことは、医療機器的な効果の標榜となり、薬機法違反(未承認医療機器の広告)となるリスクが高いです。 あくまで「汚れが落ちた」「キメが整った」程度に留める必要があります。
ビフォーアフターは、消費者庁も監視を強化しているポイントです。掲載する際は、キャプション(説明文)の言葉選びも含めて、慎重なリーガルチェックが必要です。

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