「AI診断であなたに最適なプランを提案」「最新技術で業界初の効果!」「ChatGPT搭載で革新的UXを実現」
近年、AIやIoTなどの最先端技術を用いた商品・サービスが急増し、それを前面に打ち出した広告も多く見られるようになりました。しかし、AIや“業界初”などの表現には、実態や根拠との乖離があると、景品表示法上の不当表示と判断されるおそれがあります。
また、AIが生成した内容をそのまま使う場合、著作権・肖像権・データの出所など別の法的リスクもはらんでいます。今回は、こうした「最先端技術を用いた広告表現」のリーガルチェックポイントを解説します。
このページの目次
1 「AI」「最新技術」表示のリスク:実態との乖離
「AI搭載」「AI診断」「AIが最適化」などの表現はインパクトが大きいですが、その“AI”が何を指すのか、明確な説明や根拠がない場合、優良誤認表示に該当する可能性があります。
例えば、
①単なるルールベースの処理や自動返信を「AI」と称している
②決まった結果しか出さないチャート診断を「AI診断」と呼ぶ
③実は他社提供の汎用AI(ChatGPT等)を利用しているだけ
これらを独自技術かのように表示することは、消費者の誤認を招く恐れがあります。
「AI」や「最先端」の表示には、実際の技術内容と一致した説明が広告内に必要です。
2 「業界初」「唯一の技術」などの表現は要証拠
「国内初」「業界初」「唯一の技術」といった“初モノ”訴求は、消費者にとって魅力的ですが、これらの表現は最も景表法違反のリスクが高い分類です。
①対象市場の定義(国内/グローバル、業界の範囲)
②比較対象(同様のサービスが本当に存在しないか)
③調査方法(どのように確認したのか)
を明示・証明できなければ、「業界初」や「唯一の」表示は使えません。行政処分事例でも、「業界初」をうたって措置命令を受けたケースが複数あります。
3 チェックリスト:AI・最先端技術の広告表現
①「AI」「最新技術」などの用語が誇張なく、実態を反映しているか?
②「業界初」「唯一」などの表示に根拠資料や調査記録があるか?
③AI生成コンテンツの使用にあたり、著作権・肖像権・誤情報リスクの確認を行っているか?
④消費者が“過度な期待”を持たないよう、適切な補足説明がなされているか?
最先端技術を活用することは、大きな強みであり魅力的な訴求ポイントです。だからこそ、その「強み」が過信・過剰表示に変わらないよう、透明で正確な情報提供が求められます。
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