「全額返金保証付き!」「結果に満足できなければ返金します」「絶対に成果が出るまでサポート」
こうした“保証系”の表現は、顧客に安心感を与え、購入の心理的ハードルを下げる効果があります。しかし、実際には返金が難しい条件だったり、成果の定義が曖昧であったりすると、景品表示法違反や特定商取引法違反に該当する可能性があります。
実際に消費者庁から措置命令が出された例もあり、表現内容と契約実態との乖離には特に厳しい目が向けられています。
このページの目次
1 「返金保証」と表示するなら、その条件は広告に明示すべき
返金保証は、あくまで「条件を満たした場合に返金する制度」であるため、保証の内容・条件・期間・返金方法などを明確に表示しないまま“保証付き”と謳うのは有利誤認表示に該当する可能性があります。
典型的なNGパターンとしては、
①「返金保証あり」と大きく表示しているが、実際は厳しい条件(例:使用済み不可、一定期間内に書面申請、返送料顧客負担)
②保証の適用には顧客が予想しない義務がある(例:写真提出、アンケート記入)
③広告に一切条件が記載されておらず、購入後にしか詳細がわからない
こうしたケースは、「実質的に返金されないのに返金されるかのように見せる」ことになり、不当表示や不実告知と判断されかねません。
2 「成果保証」はさらに慎重に扱うべき
「成果保証」は、“結果が出ることを約束する”という意味合いを持ちます。したがって、達成基準や成果の定義が曖昧なまま「保証」を謳うと、法的リスクはさらに高まります。
よくあるNG例としては、
①「英語力アップを保証」と表示しているが、何をもって“アップ”とするのか不明
②「必ず痩せます」→ 体重何kg減?期間は?どんな人でも?
③「売上2倍保証」→ 達成できなかったときの対応が明示されていない
「成果」を保証する以上、その成果が誰にでも、どんな状況でも再現可能であるという合理的根拠資料(エビデンス)が必要です。再現性の乏しい成果を約束することは、不当な表示とされるリスクが極めて高いといえます。
3 表示上の注意点と対応策
返金保証・成果保証に関する広告表現を行う際は、以下の点に注意しましょう。
①保証内容の範囲(返金の対象となる商品・サービス、部分・全部)
②保証の条件・期限(例:30日以内に申請、未使用に限る 等)
③顧客側に発生する手間・コスト(返送料・手数料など)
④申請方法の明確化(フォーム・書類・連絡先の明示)
⑤成果の定義と達成基準(成果保証の場合)
これらの情報は、広告中にしっかり表示するか、リンク先ですぐ確認できるようにすることが求められます。
「保証」は、顧客との信頼関係を築くうえで重要な制度ですが、それを“広告”として活用する以上、誤認のない透明な説明責任が不可欠です。
“条件付きの安心”を誠実に伝えることで、むしろ顧客の信頼を高めることができます。
弊事務所では広告法務に関して総合的にサポートを提供しております。広告法務に関してお悩みの場合は、お気軽にご相談ください。

有森FA法律事務所は、「広告表現に不安があるけれど、何から始めていいか分からない」という方々の力になりたいと考えています。インターネット広告やSNSの普及で、広告に関する法律リスクも多様化してきました。広告チェックに関しては、全国からのご相談に対応しており、WEB会議や出張相談も可能です。地域を問わず、さまざまなエリアの事業者様からご相談をいただいています。身近な相談相手として、お気軽にご連絡ください。