時折、「景品表示法は消費者保護の観点から設けられた法律ですよね。そうであれば、事業者間取引における広告表示に関しては、一切景品表示法を気にしないで大丈夫なんですよね。」というご質問をいただくことがあります。
結論としては、このような考えは一部正しく一部誤っていることとなりますので、十分注意する必要があります。
以下、ご説明いたしますので、ご参考となれば幸いです。
1 事業者間取引と景品表示法
景品表示法において不当表示として主として禁止される優良誤認表示や有利誤認表示に関しては、景品表示法5条において、一般消費者に対する広告表示と規定されております。
そのため、事業者に対する広告表示は景品表示法の対象ではないと考えられております。
もっとも、これはあくまでも、最終的な商品、役務のユーザーが事業者である場合の話であり、最終的な商品、役務の受け手が一般消費者である場合には、事業者間取引であっても、広告表示には景品表示法の規制が及びます。
例えば、事業用機械の部品を事業者間で取引する場合には、景品表示法の規制対象外となります。
他方で、一般人が使用する商品を、メーカーが卸業者と取引する際の広告表示については、最終的な商品の受け手が一般消費者となりますので、景品表示法の規制が及ぶこととなるので注意が必要です。
実際の事例として、事業者間取引であったものの、最終的な商品の受け手が一般消費者である場合に、景品表示法の規制が行われたものもございます(平成20年4月25日公正取引委員会排除命令等)。
2 広告のリーガルチェックについては弁護士にご相談ください
ある広告が違法な広告である旨の判断をされてしまうと、措置命令や課徴金納付命令等の行政処分が下される可能性があります。また民事上の不法行為責任等を負うリスクもあります。
加えて、昨今のインターネットやSNSの利用環境を踏まえると、「悪徳業者」等のレッテルが拡散されてしまうリスクもあり、そうなってしまうと企業の評判にも悪影響が生じ、ビジネス上大きなデメリットとなります。
広告に関しては、事前に詳細なリーガルチェックを行うことで、トラブルが起こるリスクを把握したり、そもそものトラブルの発生を回避することができる場合も相当程度あります。
当事務所は、企業法務やインターネットトラブル、広告法務を幅広く取り扱っておりますので、広告のリーガルチェックを含めてお困りのことがありましたらお気軽にお問い合わせいただけますと幸いです。