セレクトショップ兼飲食店に対する名誉毀損

昨今インターネットの幅広い普及で、インターネットは老若男女問わず利用されております。

このような状況は、幅広い意見が提起されるという側面からは良いことですが、その一方で、安易な名誉毀損や誹謗中傷を含む様々な権利侵害が多数発生してしまっているという問題もあり、この問題は社会問題となっております。

本日は、この問題を考える際に参考となる裁判例(東京地判令和元年5月16日)をご紹介いたします(なお、ご紹介の都合上、概要の記載にとどめております。)。

1 事案の概要

セレクトショップ兼飲食店を営む原告が、第三者がインターネット上の匿名掲示板において原告が違法行為を行っているかのような投稿等を繰り返し行ったことを踏まえて名誉権等を侵害されたものとして、アクセスプロバイダに対して発信者情報開示請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

①一般の閲読者の理解と読み方からすれば、本件記事は、原告の経営する店舗において性的サービスを提供しているか、アダルトソフトを販売しているものとの事実を摘示するものであり、一般の閲読者をして、上記店舗が性風俗関連の店舗であるとの印象を与え、その社会的評価を低下させるものであるといえ、もってその経営者である原告の名誉権を侵害するものというべきである。

②一般の閲読者の理解と読み方からすれば、本件記事は、原告が上記のように多数の異性との性的関係をもっており、貞操観念に問題があるか、性的にみだらである人物であるとの印象を与え、その社会的評価を低下させるものであるというべきである。

上記の裁判所の判断に関しては、妥当なものといえます。

事業内容について、具体的な事実を指摘するものである以上、単なる勘違いだったでは済まされず、投稿内容によっては名誉権を侵害する違法な誹謗中傷行為に該当してしまいます。

基本的なことですが、改めて留意する必要があります。

3 インターネット上での表現行為には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、公益目的での批判やそこまでにはいかずに単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないという自覚のもとに行われたものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。 インターネット上に何らかの投稿を行う場合には、まずはその投稿を行って問題となるかどうかを冷静に考えることが何よりも重要である点には再度ご注意ください。

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