ECサイト等には様々な種類のものがありますが、代表的なサイトにおける悪質なレビューの削除依頼、対応方法をご紹介いたします。
このページの目次
1 Googleマップのクチコミ
Googleマップのクチコミに関しては、まずGoogleに対する任意請求としてGoogleビジネスの管理画面から不適切なコメントとして報告することで、Googleが対応をしてくれるケースもあります。
仮に当該任意請求ではGoogleが対応してくれない場合には、プロバイダ責任制限法に基づき送信防止措置請求を行うことも考えられますが、これも結局は任意請求であることには変わりません。
そのため、これらの任意請求で望む対応がなされない場合には、削除仮処分の手続を利用することなります。
投稿者を特定することも併せて希望する場合には削除仮処分とともに発信者情報開示仮処分の手続も行うことになります。
なお、削除仮処分手続を利用する場合には、名誉権侵害とまで言えるかどうかを慎重に検討すべき場合や、仮に名誉権侵害と言えそうな場合でも、投稿内容の前提となる事実の反真実性を基礎づける資料等を準備できるかどうかといった点も注意する必要がありますので、弁護士にご相談いただき、慎重に対応を進めることが必要です。
2 Amazonのレビュー
悪質なレビューに関しては、まずAmazonに対する任意請求として違法なレビューを通報し、対応を求めることができます。実際にこの通報によってAmazon側が対応をしてくれる場合もあります。また、通報の方法としてはAmazon上のフォーマットからの通報のほかに、Amazon合同会社に対して直接連絡を取り、対応を求める方法もあります。
このような任意請求に対してAmazon側が対応をしてくれない場合には、プロバイダ責任制限法に基づき送信防止措置請求を行うことも考えられますが、これも結局は任意請求であることには変わりません。
これらの任意請求で希望する対応がなされない場合には、仮処分手続を利用することになります。
仮処分手続を利用する場合の注意点は、上記1と同様であり、単なる商品の批判にとどまらず人格権である名誉権侵害とまで言えるかどうかや、投稿内容の前提となる事実の反真実性を基礎づける資料等の準備が重要となります。
また、削除仮処分と併せて投稿者の特定を試みることも考えられます。
投稿者の特定については、通常の流れとは異なる流れとなりますので注意が必要です。
具体的には、Amazonの規約(ガイドライン)では、レビューの投稿は、Amazonにおいて過去1年間で合計5000円以上の購入している実績が必要であるものと規定されています。そして、Amazonにおいて商品を購入する場合には、住所や氏名、電話番号、メールアドレス等を登録することが必須ですので、Amazonは問題の投稿を行った投稿者の住所や氏名等の情報を把握しているものと考えられます。
そのため、通常の第1段階目の手続であるコンテンツプロバイダに対する発信者情報開示請求等を行う場合とは異なり、Amazonに対して投稿者の住所、氏名、電話番号やメールアドレス等の情報の開示を求める訴訟を提起することが可能です。
3 Yahoo!ショッピングのレビュー
Yahoo!ショッピングにおける悪質なレビューへの対応については、基本的には上記1、2と同様であり、まずは、悪質なレビューとして通報しヤフー株式会社に対して任意での対応を求めます。ここでの通報はヤフー株式会社が用意しているフォームから連絡することが基本ではありますが、それ以外にもヤフー株式会社に対して直接連絡を取り対応を求める方法もあります。
また、プロバイダ責任制限法に基づき送信防止措置請求を行うことも考えられますが、これも結局は任意請求であることには変わりません。
これらの任意請求に基づく対応がなされなかった場合には、削除仮処分の手続の利用を検討することになります。
投稿者の特定を試みる場合には、削除仮処分と併せて発信者情報開示の仮処分手続も行う必要があります。
なお、ヤフー株式会社に対して各請求を行う場合の注意点としては、ヤフー株式会社は、削除仮処分や発信者情報開示請求仮処分に対しては非常に慎重に対応する傾向があり、保全異議や保全抗告まで申し立てて争ってくる場合があります。そのため、発信者情報開示請求に関しては最終的に通信ログの保存期間までに間に合わないケースも多くある印象です。
4 価格.comのクチコミ
価格.comにおいては、不適切なクチコミの連絡というフォームが用意されていますので、まずは、ここから任意での削除請求を行うことになります。また、フォームからの連絡のほかにも、運営会社に対して直接連絡を取り、対応を求める方法もあります。
なお、プロバイダ責任制限法に基づき送信防止措置請求を行うことも考えられますが、これも結局は任意請求であることには変わりません。
以上のような任意での削除請求に対して対応がなされない場合には、削除仮処分や場合によっては発信者情報開示の仮処分手続を利用することになり、注意点などは基本的には他の媒体の場合と同様です。
5 楽天市場のレビュー
楽天市場においても、不適切なレビューの通報というフォームが用意されておりますので、まずはここから任意での削除請求を行うことになります。また、用意されたフォームからの連絡のほかにも、楽天に対して直接連絡を取り、対応を求める方法もあります。
加えて法律上の請求としては、プロバイダ責任制限法に基づき送信防止措置請求を行うことも考えられますが、これも結局は任意請求であることには変わりません。
以上の任意での削除請求に対して対応がなされない場合には、削除仮処分や場合によっては発信者情報開示の仮処分手続を利用することになり、注意点などは基本的には他の媒体の場合と同様です。
6 食べログのクチコミ
食べログにはクチコミの削除を認めるガイドラインが定められておりますので、まずは当該ガイドラインに規定された要件を充足するかどうかを判断しつつ、問題のあるクチコミとして連絡することになります。また、このようなガイドラインに基づき用意されたフォームから連絡することのほかにも、食べログの運営会社に対して直接連絡を取り、対応を求めることも考えられます。
さらに、プロバイダ責任制限法に基づき送信防止措置請求を行うことも考えられますが、これも結局は任意請求であることには変わりません。
このような任意請求での対応が望めない場合には、他の媒体の場合と同様に、削除仮処分の手続を取ることになります。また、投稿者の特定を試みる場合には発信者情報開示請求の仮処分手続を行っていくことになります。