SNSや動画投稿サイトが普及した現代では、個人が創作活動を公開するハードルが大幅に下がりました。しかし、創作活動の中には著作権法の枠を超えた行為が含まれることがあり、その結果として法的なトラブルに発展するケースも少なくありません。
本日は、特に問題となりやすい「二次創作物の公開と販売」、「音楽や映画の一部を使用した動画投稿」に焦点を当て、著作権侵害のリスクについて解説します。
このページの目次
1 そもそも二次創作とは?
二次創作とは、既存の作品(著作物)を元にして新たな創作物を作り上げる行為を指します。たとえば、人気キャラクターを用いたイラストや、オリジナルのストーリーを加えた小説などが該当します。これらの活動はファン活動の一環として広く行われていますが、著作権法の観点からは注意が必要です。
2 二次創作が侵害に該当する場合
著作権法では、既存の作品を翻案(原作を基に新たな創作を行うこと)する権利は著作権者に専属的に認められています(著作権法第27条)。そのため、著作権者の許可なく二次創作物を公開・販売する行為は、原則として著作権侵害に該当します。
特に問題となるのが、以下のような行為です。
①SNSに二次創作イラストを投稿する
②同人誌を製作し、イベントやオンラインショップで販売する
③二次創作を利用したグッズを制作・販売する
これらの行為は、ファン活動の範囲を超えて営利性が高まる場合、著作権侵害として摘発される可能性が高くなりますので注意が必要です。
3 例外として許可されるケース
著作権者が二次創作に対するガイドラインを設けている場合、一定の条件下で創作活動が許可されることがあります。たとえば、「非営利目的に限る」「特定のプラットフォームで公開する場合のみ認める」などの条件が付されていることが多いです。活動を始める前に必ず公式ガイドラインを確認しましょう。
4 トラブルを避けるための注意点
①権利者の許可を得る
音楽や映画、キャラクターの使用については、著作権者または管理団体(例:JASRAC)から許可を取得することが必要です。
②ガイドラインを確認する
二次創作や動画投稿においては、著作権者が公開している利用ガイドラインを遵守することが大切です。
③引用のルールを守る
動画や映画の一部を利用する場合は、引用の要件を正しく理解し、それを満たす範囲で利用しましょう。
④公式素材を活用する
公式が提供するフリー素材や音源を利用することで、侵害のリスクを回避できます。
5 思わぬ著作権侵害トラブルに巻き込まれないために
二次創作や音楽・映画の一部を使用した動画投稿は、創作活動や情報発信を楽しむための手段として広く親しまれています。
しかしながら、これらの行為には著作権侵害のリスクが伴うことを忘れてはなりません。
トラブルを未然に防ぐためにも、著作権法の基本を理解し、慎重に行動することが重要です。万が一問題が生じた場合は、速やかに専門家に相談することをお勧めします。