現代において、SNSや掲示板を通じた情報発信は誰でも容易にできるようになりました。しかし、それに伴って「ネット上での名誉毀損」も急増しています。
今回は、インターネットにおける名誉毀損の法的リスクについて、裁判例も交えて解説します。
このページの目次
1 名誉毀損とは?
名誉毀損とは、事実を摘示し、公然と人の社会的評価を低下させる行為を指します(刑法230条1項)。「事実の摘示」は、必ずしも真実である必要はなく、名誉を害する内容であれば対象となり得ます。例えば、SNS上で「○○は横領していた」と投稿した場合、たとえそれが真実であっても、名誉毀損が成立する可能性があります。
インターネットでは、情報が一瞬で拡散し、半永久的に残る特性があります。また、匿名性の高さから、加害者が責任を軽視しがちです。しかし、法的には匿名であっても、プロバイダ責任制限法に基づいて発信者情報開示請求が可能です。
2 裁判例:匿名掲示板での書き込みと損害賠償責任
ある裁判例では、匿名掲示板にて「○○会社はブラック企業」と投稿された事案について、企業の社会的評価が低下したとして、投稿者に損害賠償命令が下されました。本件では、IPアドレスから発信者が特定され、損害額として数十万円の支払いが命じられています。
3 刑事責任と民事責任
名誉毀損行為には、刑事責任(刑法230条)と民事責任(不法行為に基づく損害賠償、民法709条)が問われ得ます。被害者は、刑事告訴のほか、損害賠償請求や投稿削除請求など、複数の法的手段を取ることが可能です。
いずれも簡単な手続ではありませんが、様々な先例が存在しますので、先例を踏まえて対応を行っていくことになります。
たとえ正義感からであっても、個人名や企業名を出して批判的な情報を投稿する際は、名誉毀損リスクを十分に考慮する必要があります。特に事実関係に確証がない場合は、表現方法に注意しなければなりません。
そもそも、真実であったとしても名誉毀損として法的責任を問われる場合があることを認識されていない方も多いですが、この点はくれぐれも注意する必要があるでしょう。
問題が起こった場合は、早期に弁護士に相談することが、被害拡大を防ぐ第一歩です。
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