インターネットトラブルは増加の一途をたどっており、中高生や場合によっては小学生以下の年齢でトラブルに巻き込まれることも多くあると言うのが実情です。
本日はSNSや匿名掲示板などにおいて名誉毀損に該当する投稿を行うことのリスクについて民事・刑事の両面からご説明いたします。
このページの目次
1 名誉毀損とは
名誉毀損とは、端的に言うと、他人の社会的評価を低下させる表現を公開する行為を指します。例えば、特定の個人を誹謗中傷したり、虚偽の情報を流布したりする行為がこれに該当します。
このような行為は、日本の法律において、民事、刑事の両面から規制されています。
2 民事上のリスク
まず、民事上の法的責任についてですが、
①損害賠償請求
名誉毀損の被害を受けたと感じた個人等は、投稿者に対して損害賠償を請求することができます。この損害賠償には、精神的な苦痛に対する慰謝料や、名誉回復のための費用が含まれます。
②投稿の削除請求
被害者は、裁判所を通じて、名誉毀損に該当する投稿の削除を求めることができます。
特にSNSや掲示板の運営会社が対応しない場合、裁判手続きを通じて強制的に削除を実現することが可能です。
③投稿者を特定するための発信者情報開示請求
匿名で投稿を行った場合でも、被害者は裁判所に対して投稿者の特定を求めることができます。運営会社やプロバイダーは裁判所の命令により、投稿者のIPアドレスや個人情報を開示する義務があります。
民事事件では、投稿者が「真実を述べたに過ぎない」と主張しても、その情報が公然と広める必要がなかった場合等、名誉毀損が成立する可能性があります。
3 刑事上のリスク
次に刑事上の法的責任についてですが、
①名誉毀損罪(刑法230条)
名誉毀損罪が成立する場合、3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金が科される可能性があります。この罪は「公然と事実を摘示し、他人の名誉を毀損する」行為が対象となります。
②侮辱罪(刑法231条)
具体的な事実を示さずとも、単なる悪口や侮辱的な表現でも刑事責任が問われる場合があります。侮辱罪では、拘留または科料の処罰が科される可能性があります。
③偽計業務妨害罪や威力業務妨害罪(刑法233条、234条)
虚偽の情報を拡散し、それによって特定の会社や個人の業務に支障を与えた場合、これらの罪に問われる可能性があります。
4 インターネット上の投稿にはくれぐれもご注意ください
SNSや匿名掲示板は便利なコミュニケーションツールですが、その使用には責任が伴います。名誉毀損が成立すると、民事・刑事の両面で厳しい責任を追及される可能性があります。投稿前に一呼吸おいて、冷静に内容を確認する習慣をつけましょう。 法的トラブルに巻き込まれないよう、投稿内容には十分注意してください。不安や疑問があれば、専門家に相談することをおすすめします。