インターネット上の意匠権侵害

SNSや匿名掲示板では、多くの方が日常的に情報やアイデアを発信しています。

しかしながら、知らず知らずのうちに意匠権を侵害してしまうリスクがあります。

意匠権は、デザインの美的価値を保護する重要な知的財産権です。

その侵害が成立すると、損害賠償や差止請求といった法的措置を受ける可能性があるため、十分な注意が必要です。

本日は、具体的な事例を交えてご説明いたします。

1 意匠権とは?

意匠権は、工業的に量産される物品のデザインを保護する権利です(意匠法第1条)。

保護対象となる意匠には、形状、模様、色彩、またはそれらの組み合わせが含まれます。意匠権者は登録されたデザインを独占的に使用する権利を有し、第三者による無断使用を禁じることができます(意匠法第23条)。

SNSや匿名掲示板での投稿内容が意匠権を侵害する場合、たとえ商業目的ではなくても法的トラブルに発展することがあります。

2 具体的な事例

①ハンドメイド商品の販売における意匠模倣
あるユーザーが人気ブランドの独特なデザインのバッグを模倣したハンドメイド商品を制作し、SNSで販売していました。この場合、意匠権の対象となるデザインが無断で使用されているため、意匠権侵害に該当する可能性があります。

特に「オリジナル風アレンジ」を主張しても、意匠法第3条に基づき、「意匠全体の視覚的特徴」が似ている場合には侵害が成立することがあります。

②他人のデザインを参考にしたDIY作品の公開
DIY愛好家が意匠権で保護されたデザインを参考にして家具を作り、その写真を匿名掲示板に投稿した事例があります。

たとえ個人利用の範囲であっても、その内容が広く拡散されると、意匠権者の営業上の利益に影響を与える可能性があり、法的問題に発展することがあります。

③人気商品のデザインを模倣したグッズ制作
特定の人気商品の特徴的なデザインを模倣したスマホケースやアクセサリーを制作し、SNSで宣伝・販売した事例も見られます。この場合、商品そのものが意匠権で保護されている場合には、販売行為だけでなく、宣伝行為そのものも侵害行為に該当する可能性があります。

3 トラブルを防ぐための注意点

①登録意匠を事前に確認する
他人のデザインを参考にする際は、登録意匠として保護されていないか確認しましょう。特許庁のデータベースを利用することで確認できます。

②オリジナルデザインを重視する
意匠権侵害のリスクを避けるためには、他人のデザインに依存せず、自分自身のオリジナルデザインを制作することが重要です。

③ガイドラインやライセンスを確認する
特定ブランドや製品のデザインを使用する際は、公式の利用ガイドラインやライセンス契約の有無を確認しましょう。

④投稿内容を慎重に検討する
SNSや匿名掲示板で自作のデザインや模倣した作品を公開する前に、その行為が意匠権を侵害しないか専門家に相談するのも有効です。

4 意匠権侵害にはご注意ください

SNSや匿名掲示板での自由な発信は創作意欲を刺激する一方で、意匠権をはじめとする知的財産権の侵害リスクを伴います。

不用意な模倣や投稿が原因でトラブルに発展しないよう、意匠権の基本を理解し、注意深く行動することが求められます。もし、意匠権侵害が疑われるケースに直面した場合は、速やかに専門家の助言を受けることをお勧めします。

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