イカサマ商品という表現

昨今インターネットの幅広い普及で、インターネットは老若男女問わず利用されております。

このような状況は、幅広い意見が提起されるという側面からは良いことですが、その一方で、安易な名誉毀損や誹謗中傷を含む様々な権利侵害が多数発生してしまっているという問題もあり、この問題は社会問題となっております。

本日は、この問題を考える際に参考となる裁判例(東京地判令和元年8月28日)をご紹介いたします(なお、ご紹介の都合上、概要の記載にとどめております。)。

1 事案の概要

ペット用サプリメントの販売等を営む原告が、被告がインターネット上のサイトにおいて、原告に関してイカサマ商品を販売している等と投稿したことについて、名誉権を侵害するものとして被告に対して損害賠償請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

①「原告の販売する本件商品は「詐欺商品」「イカサマ商品」であって,原告は薬効のない本件商品を犬の7種類の癌と腎不全,てんかんに効くかのように虚偽の宣伝広告をして販売している」との事実が広く流布されているものと認められるから、被告による本件各記事の投稿は、原告の名誉・信用を故意に毀損するものとして、不法行為に当たるというべきである。

②本件各記事は、「原告は薬効のない本件商品を犬の7種類の癌と腎不全,てんかんに効くかのように虚偽の宣伝広告をして販売している」との事実を流布するものと認められるところ、このような事実が真実であることを認めるに足りる証拠はない。

上記の裁判所の判断は、一般的な感覚からしても自然な判断であると思われます。

自分自身としては公益目的等をもっていたとしても、客観的な裏付けのない事実を投稿等してしまうと、名誉毀損に該当することは避けられません。

3 インターネット上での表現行為には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、公益目的での批判やそこまでにはいかずに単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないという自覚のもとに行われたものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。 インターネット上に何らかの投稿を行う場合には、まずはその投稿を行って問題となるかどうかを冷静に考えることが何よりも重要である点には再度ご注意ください。

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