昨今インターネットの幅広い普及で、インターネットは老若男女問わず利用されております。
このような状況は、幅広い意見が提起されるという側面からは良いことですが、その一方で、安易な名誉毀損や誹謗中傷を含む様々な権利侵害が多数発生してしまっているという問題もあり、この問題は社会問題となっております。
本日は、この問題を考える際に参考となる裁判例(東京地判令和元年5月29日)をご紹介いたします(なお、ご紹介の都合上、概要の記載にとどめております。)。
このページの目次
1 事案の概要
医師である原告が、被告がインターネット上の匿名掲示板において原告が違法行為を行っているかのような投稿を繰り返し行ったことや原告が写っている写真を無断で投稿したことを踏まえて肖像権及び名誉権を侵害されたものとして、アクセスプロバイダに対して発信者情報開示請求を行った事案です。
2 裁判所の判断
①一般の読者の普通の注意と読み方をもって閲覧すれば、原告が、複数のアプリやサイトを通じて知り合った複数の女性に対し、結婚する意図がないのにその旨誤信させ、その関係性に乗じて金銭をだまし取ったり、傷害、暴行、強姦といった犯罪行為に及んだりしたかのように受け取ることができる。よって、本件投稿は、原告の社会的評価を低下させるものであると認められる。
②説示した本件投稿の目的や投稿の態様に照らせば、原告の顔写真が利用されることについて、その違法性を阻却するような事由は認められない。
上記の裁判所の判断に関しては、妥当なものといえます。
医師であり、顔写真をHP等で掲載している場合であっても、私人であることには変わりなく、無断で写真を転載などをすると、肖像権侵害にはなります。他人の写真を軽い気持ちで転載などするケースが多くありますが、その利用には十分に注意が必要です。
3 インターネット上での表現行為には十分ご注意ください
投稿した人物にとっては、公益目的での批判やそこまでにはいかずに単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないという自覚のもとに行われたものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。 インターネット上に何らかの投稿を行う場合には、まずはその投稿を行って問題となるかどうかを冷静に考えることが何よりも重要である点には再度ご注意ください。