芸能事務所に関する名誉毀損

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。

もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和2年1月30日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

原告は、損害保険の代理並びにインターネットのホームページの企画立案及び制作保守等を営む株式会社であり、被告は、原告との間で、芸能活動に関する専属マネジメント契約を締結した。

原告は、被告がSNS上などにおいて原告の名誉を毀損させたこと等を理由として損害賠償請求を行った。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①被告は鬱病を患っていることを秘して本件契約を締結したことから、健常者として想定された芸能活動を遂行することができず決まった予定についても様々な理由を付けて取り消していたものといえる。したがって被告は、債務不履行については免責事由が認められない上、不法行為についても違法性阻却事由が認められず本件意思表示についてもやむを得ない事由が認められない。

②原告は、本件契約の締結期間中被告によるダンスレッスンへの参加状況等を把握しながらも被告の弁解を信じて今後は予定されたダンスレッスンに参加などするものと期待していたことが認められるから、原告の損害につき、過失相殺をすべきではない。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。特に自身が勤務する会社や所属する団体に関しては不平不満が貯まるケースも多いですが、だからといってそのまま投稿してしまうと名誉毀損などに該当する可能性があります。 インターネット上に何らかの投稿を行う場合には、まずはその投稿を行って問題となるかどうかを冷静に考えることが何よりも重要である点には再度ご注意ください。

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