Archive for the ‘インターネットトラブル全般’ Category
オンラインゲームのファンの間でのトラブル
インターネットの普及、老若男女問わずSNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。
インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が依然として非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。
本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和元年12月19日、をご紹介いたします(なお、一部を省略、要約した、概要のご紹介となります。)。
1 事案の概要
被告は、インターネット上の匿名掲示板において、特定のゲームのファンである原告について、「頭空っぽの屑」、「病気の類」、「境界性人格障害」、「いい大人のくせにアホ」、「社会の常識すら守れない人間」、「見境なくクソリプつけてくる害悪野郎」、「人の迷惑考えない典型的アスペ」等の投稿を繰り返し行った。これに対して、原告は、被告が投稿した当該記事によって名誉感情及びプライバシー権が侵害されたと主張し、これに対して、被告に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。
2 裁判所の判断
裁判所は、大要、以下の通り判断しました。
①各投稿内容の前後の文脈に照らせば、いずれも同ゲームのファンから成るコミュニティ内の特定の同一人物を指していることが明らかである。そして、同ゲームのファンのコミュニティの中で当該ハンドルネームを用いて活動しているのは原告であることが認められるから、各投稿は、原告を対象とするものであると認められる。
②各投稿内容は、いずれも原告を侮蔑し、罵倒する内容であることが明らかである。そして、これらの投稿は、スレッド内で発生した原告に対する個人攻撃の論調に同調して行われたものであることが認められるところ、このような投稿の態様にも照らせば、上記各投稿は、それぞれ社会通念上許容される限度を超えた侮辱行為に当たるものというべきであり、これによって原告の名誉感情が侵害されることは明らかである。
3 インターネットのご利用には十分ご注意ください
名誉毀損は、民事上問題となるだけでなく刑事事件となる可能性もあり、刑事事件となった場合には、その後の人生にも大きな悪影響を与えますので、十分に注意することが必要です。 インターネット上に何らかの投稿を行う場合には、まずはその投稿を行って問題となるかどうかを冷静に考えることが何よりも重要である点には再度ご注意ください。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
源氏名と名誉権侵害
インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。
もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。
本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和元年12月26日、をご紹介いたします(なお、一部を省略、要約した、概要のご紹介となります。)。
1 事案の概要
被告は、インターネット上の匿名掲示板において、接客業に従事する原告の源氏名を掲載しつつ、同人が氏名を自腹で買取り、氏名件数ランキングの上位の順位を獲得した旨を掲載した。これに対して、原告は、被告が投稿した当該記事によって原告の名誉が毀損されたと主張し、これに対して、被告に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。
2 裁判所の判断
裁判所は、大要、以下の通り判断しました。
①源氏名の記載にとどまり、本名の記載がない点で同定可能性の有無が問題となるが、本件スレッドは、その標題に照らせば、本件店舗に関する話題を投稿するためのものであると解されるところ、本件記事が投稿された当時、原告は、本件店舗において当該源氏名を用いて稼働していたこと、及び本件店舗のウエブページ上の原告のプロフィールを紹介する部分には、原告の顔写真も掲載されていたことに照らせば、原告に関するものであるとの同定可能性が十分に認められるものというべきである。
②原告が接客業のコンパニオンという客の評判が重要と考えられる職業に就いていたことに照らせば、本件記事は原告の社会的評価を低下させるものと認めるのが相当である。
3 インターネットの利用には十分ご注意ください
投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。
表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。特に名誉毀損は、民事上問題となるだけでなく刑事事件となる可能性もあり、刑事事件となった場合には、その後の人生にも大きな悪影響を与えますので、十分に注意することが必要です。 インターネット上に何らかの投稿を行う場合には、まずはその投稿を行って問題となるかどうかを冷静に考えることが何よりも重要である点には再度ご注意ください。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
芸能事務所に関する名誉毀損
インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。
もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。
本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和2年1月30日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。
1 事案の概要
原告は、損害保険の代理並びにインターネットのホームページの企画立案及び制作保守等を営む株式会社であり、被告は、原告との間で、芸能活動に関する専属マネジメント契約を締結した。
原告は、被告がSNS上などにおいて原告の名誉を毀損させたこと等を理由として損害賠償請求を行った。
2 裁判所の判断
裁判所は、大要、以下の通り判断しました。
①被告は鬱病を患っていることを秘して本件契約を締結したことから、健常者として想定された芸能活動を遂行することができず決まった予定についても様々な理由を付けて取り消していたものといえる。したがって被告は、債務不履行については免責事由が認められない上、不法行為についても違法性阻却事由が認められず本件意思表示についてもやむを得ない事由が認められない。
②原告は、本件契約の締結期間中被告によるダンスレッスンへの参加状況等を把握しながらも被告の弁解を信じて今後は予定されたダンスレッスンに参加などするものと期待していたことが認められるから、原告の損害につき、過失相殺をすべきではない。
3 インターネットの利用には十分ご注意ください
投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。
表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。特に自身が勤務する会社や所属する団体に関しては不平不満が貯まるケースも多いですが、だからといってそのまま投稿してしまうと名誉毀損などに該当する可能性があります。 インターネット上に何らかの投稿を行う場合には、まずはその投稿を行って問題となるかどうかを冷静に考えることが何よりも重要である点には再度ご注意ください。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
教授会における侮蔑的発言
インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。
もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。
本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和2年2月26日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。
1 事案の概要
原告と被告は同じ大学の教授であるところ、教授会において被告が原告との間の裁判の結果などを述べたことについて、原告が、名誉毀損及びプライバシー侵害であることを理由として、被告らに対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。
2 裁判所の判断
裁判所は、大要、以下の通り判断しました。
①敗訴した事実があったからといって、裁判所が、原告の主張する被害事実を認定しなかったことを意味するにすぎず、不当提訴であることを当然に意味するものではないから、上記事実を明らかにしたことが上記民事訴訟を提起した者の社会的評価を低下させるとはいえない。
②本件発言は、教授会という閉鎖された場で口頭でされたにすぎず、その内容も公開の手続で行われた訴訟に関するものであり、原告の社会的評価の低下をもたらす内容とまではいえず、原告の受ける不利益の程度が大きいとは認められない。以上によれば,本件発言は,受忍限度を超えて原告のプライバシーを違法に侵害するとはいえない。
3 インターネットの利用には十分ご注意ください
投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。
表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。特に名誉毀損は、民事上問題となるだけでなく刑事事件となる可能性もあり、刑事事件となった場合には、その後の人生にも大きな悪影響を与えますので、十分に注意することが必要です。
インターネット上に何らかの投稿を行う場合には、まずはその投稿を行って問題となるかどうかを冷静に考えることが何よりも重要である点には再度ご注意ください。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
相手方から煽られた結果の誹謗中傷
インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。
もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。
本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和2年3月13日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。
1 事案の概要
原告はある株式会社の代表取締役の地位にある人物であり、被告はある研究所の上席研究員の地位にある者である。そして、被告が原告に関してツイッター(現「X」)上において繰り返し侮蔑的な発言を繰り返したとして、原告は、名誉毀損であることを理由として、被告らに対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。
2 裁判所の判断
裁判所は、大要、以下の通り判断しました。
①被告の一連の投稿は、侮辱的な表現を含むものであるが、そもそも従前からの原告による侮辱的な表現に誘発されたものとも考えられることから、被告による一連の表現が社会通念上許される限度を超える侮辱行為とは認められない。
②また、各投稿それ自体が被告の慰謝を要するほどの社会的評価の低下をもたらすものとは言えず、社会通念上許される限度を超える侮辱行為とも認められないし、また、原告の名誉感情を違法に侵害するものとも認められない。
3 インターネットの利用には十分ご注意ください
投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。
相手方から煽られたことから誹謗中傷に類する投稿を行った場合には、場合によっては違法性が阻却される可能性はあります。しかしながら、そもそもこのようなトラブルに巻き込まれること自体が多くの人にとっては非常に重い負担となりますので、トラブルに巻き込まれないようにすることが重要です。
何らかの投稿を行う場合には、不特定多数の人が見ることができますので、常に名誉毀損や侮辱に発展する可能性があります。この点はくれぐれもご注意いただき、まずは投稿を行わないで済まないかどうか、投稿することを中止することを念頭に冷静に対応していただくことが重要です。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
記者に関する名誉毀損
インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。
もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。
本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和2年3月23日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。
1 事案の概要
被告は、日刊新聞その他の新聞の制作等を目的とする株式会社であり、原告は被告の社員である。原告は、被告が配信した記事によって原告の名誉が毀損されたと主張し、これに対して、被告に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。
2 裁判所の判断
裁判所は、大要、以下の通り判断しました。
①一般読者の普通の注意と読み方を基準とすると、本件各記事の各見出し及び内容は被告の組織に属する個々の構成員を批判していると理解されるものとは認められない。
②むしろ、その文脈に照らし、被告の取材班の得た情報自体に誤りがあったというのではなく、見出しを付ける際に誤った印象を与えるような表現を採用したこと及びそのような表現を本文の記述に残したことに問題があるとした上で、被告の組織としての取材体制や報道の在り方を内省するとともに、被告内外の委員会において、前件記事の審査並びに上記取材体制及び報道の検証を行う旨の発表をするものである。
③本件各記事が一般読者の普通の注意と読み方を基準として原告に向けられたと理解されるものとは認められない。
3 インターネットの利用には十分ご注意ください
投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。
名誉毀損に関するトラブルが発生してしまうと、心情的な問題としてトラブルが大きくなることも往々にしてありますので、トラブルの発生を防ぐことが重要です。何らかの投稿を行う場合には、まずは投稿を行って問題ないかどうかを冷静に判断していただくことが重要であることは改めてご確認ください。

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警察への申出と名誉毀損
インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。
もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。
本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和2年3月27日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。
1 事案の概要
原告と被告は、交際関係にあったが、交際関係を終了するにあたり、裁判手続をとった。この訴訟係属中に、被告は警察署に対し、原告の行動について相談するとともに、転居先の自治体に対し、原告が被告の住民票等の写しの交付申請を行った場合に支援措置を採るよう申出を行った。これに対して、原告は、当該申出が名誉毀損であることを理由として、被告らに対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。
2 裁判所の判断
裁判所は、大要、以下の通り判断しました。
すなわち、住民基本台帳事務における支援措置は、ストーカー行為及びこれに準ずる行為等の加害者が住民票の写し、戸籍の附票の写しの交付等の制度を不当に利用してそれらの行為の被害者の住所を探索することを防止し、もって被害者の保護を図ることを目的としたものであることからすると、同支援措置に係る申出が、事実上又は法律上の根拠を全く欠く場合において、敢えて相手方の名誉を毀損するなど害意をもって同申出を行うなど住民基本台帳事務における支援措置の趣旨目的に照らし著しく相当性を欠くと認められるときに限って違法な行為として不法行為を構成すると解するのが相当である。
3 インターネットの利用には十分ご注意ください
投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。
表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。特に名誉毀損は、民事上問題となるだけでなく刑事事件となる可能性もあり、刑事事件となった場合には、その後の人生にも大きな悪影響を与えますので、十分に注意することが必要です。 後悔先に立たずといいますので、まずは自分が行う投稿等が法的に問題となる可能性があるかどうかを冷静に考えてから投稿することをお勧めいたします。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
民族差別に関する投稿
インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。
もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。
本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和2年9月15日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。
1 事案の概要
被告は、インターネット上のブログを運営する人物であるが、自身が開設したブログ上において原告が在日韓国・朝鮮人であることを理由に侮辱するなどの差別的な内容の記事を投稿した。原告は、当該投稿によって名誉が毀損され、あるいは原告を侮辱して原告の人格権である民族的アイデンティティーに関する権利を侵害されたと主張し、これに対して、名誉毀損を理由として、被告に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。
2 裁判所の判断
裁判所は、大要、以下の通り判断しました。
①本件記事は、原告がラップで平和へのメッセージを伝えた旨が記載された本件配信記事を引用しており、同記事の内容からは原告が反日的反社会的言動を行ったとは認められないから、これに対して反論する意図で作成したものとは到底解されない。また、上記のとおり本件各記載は、いずれも根拠なく原告を中傷して侮辱するものであり、反日的、反社会的言動を行う人物への反論という体裁すら整っていない。
②憲法14条1項、差別的言動解消法及び人種差別撤廃条約の趣旨及び内容に反する人種差別に該当する内容の本件各記載は、上記の住居において平穏に生活する権利等の人格権に対する違法な侵害行為に当たる。
3 インターネットの利用には十分ご注意ください
投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。
自分自身としては社会的な使命感や必要性を感じて投稿した内容であっても、内容によっては第三者に対する誹謗中傷や侮辱に該当することはよくあるトラブルの一つではあります。まずは冷静になって自身が投稿する内容が問題となる可能性があるかどうかは慎重にご検討いただく必要があります。

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協会の理事会における発言
インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。
もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。
本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和2年8月25日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。
1 事案の概要
原告と被告は、同じ協会のメンバーであったところ、被告が当該協会の理事会において行った発言(原告が当該協会において活動を行うには不適切な人物であることを指摘する内容)を行った。これに対して、原告は、名誉毀損であることを理由として、被告らに対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。
2 裁判所の判断
裁判所は、大要、以下の通り判断しました。
①被告の発言は、個人の意見表明であれば本件協会の内部情報の公表を行っても構わないなどという原告の説明は受け入れられず、原告を同じ組織体において議論する仲間の人間として認めることができないとの意見ないし論評の表明をしたものであるということができる。かかる発言は、広く同じ業界に属する者に原告が本件協会において活動を行うには不適切な人物であるとの印象を与えるものとして、原告の社会的評価を低下させることは否定し難い。
②同じ組織体において議論する仲間の人間として認めることができないと評することが意見ないし論評の範囲を逸脱するとまでいうことはできない。以上によれば、本件発言は、原告の社会的評価を低下させるものであるとしても、違法性を欠くものであるというべき
3 インターネットの利用には十分ご注意ください
投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。
協会の理事会における必要な発言であったとしても発言する内容によっては名誉毀損や侮辱等の違法行為に該当するリスクがあります。必要な発言であっても、話す内容は十分に吟味した上で発言を行っていただくことが必要です。

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鍵アカウントにおける投稿
インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。
もっとも、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。
本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和2年10月1日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。
1 事案の概要
原告と被告は、同じ芸能グループで活動していた人物であるが、被告が自身のツイッター(現「X」)において、原告が以前性風俗店に勤務していたという趣旨の投稿を行った。これに対して、原告は、名誉毀損及び営業上の損害が発生したことを理由として、被告らに対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。
2 裁判所の判断
裁判所は、大要、以下の通り判断しました。
①一般読者の普通の注意と読み方を基準とすれば本件各ツイートは、いずれも、原告が性風俗店で働いたことがある事実又は原告が現在も性風俗店で働いている事実を摘示するものと理解されるのが通常である。そうすると、本件各ツイートは原告の社会的評価を著しく低下させるものと認められる。
②被告は、各投稿について鍵アカウントで行ったと主張するが、被告の承認を受けている者は複数いたものと認められることに加え、承認するか否かは被告の任意の判断に委ねられており本件各ツイート時点で被告の承認を受けていなくてもその後に承認を受けることにより本件各ツイートを閲読できるようになること、また、被告の承認を受けた者は本件各ツイートのデータを複製等することによって容易に他者へ拡散させることが可能であることに鑑みると、本件各ツイートが不特定多数の者に伝播する可能性があったというべきである。
3 インターネットの利用には十分ご注意ください
投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。
また、鍵アカウントにおける投稿であっても、不特定多数に伝播する可能性が十分にあることから、名誉毀損や侮辱に該当すると考えるべきであることはくれぐれも注意する必要があります。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。