Archive for the ‘インターネットトラブル全般’ Category

婚姻関係に関する投稿と名誉毀損

2024-02-17

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和3年11月15日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

原告が、被告がツイッター(現X)上の自身の公式アカウントにおいて行った2件の投稿が、原告夫婦の婚姻関係が不調であることを窺わせるものであることから、名誉を毀損され、かつ、プライバシーを侵害されたと主張して、被告に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①投稿内容は、本件投稿の読者に対し、原告夫婦の婚姻関係が、何年もの別居及び離婚調停を経て、離婚訴訟に至るほどに悪化しているとの印象を抱かせるものではあるが、現代の我が国において,夫婦が婚姻関係の破綻によって離婚に至ること自体は特に稀な事象ではないことを踏まえると、婚姻関係が悪化した経緯や原因等についての具体的な事情を離れて、当該事実が摘示されただけでは原告の社会的評価を低下させるものとは認め難い。

②一般に、家庭内における婚姻関係、特に夫婦間のトラブルに関する事実は、家庭外に知られることを望まないのが通常であり、上記事実のように、夫婦が別居し、離婚調停を経て離婚訴訟において係争する事態にまで至り、婚姻関係が破綻したとの事実は、夫婦間のトラブルの中でも深刻なものであって、一般人の感受性を基準にすれば、公開を欲しないものというべきである。したがって、上記事実を公表した本件各投稿は、原告のプライバシーを侵害するものと認められる。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

特に名誉毀損は、民事上問題となるだけではなく、刑事事件に発展するリスクもあります。

ただ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、被害者の立場にせよ加害者の立場にせよインターネット上のトラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

弁護人に対する名誉毀損

2024-02-12

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

名誉毀損は、民事上問題となるだけではなく、刑事事件となる可能性もありますので十分に注意が必要です。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和3年11月15日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

刑事被告人であるAが保釈中に密出国した事件に関して、被告が発行する新聞に掲載した記事の内容により、Aの弁護人であった原告らが、その名誉及び信用を毀損されたと主張して、被告に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①原告らは、弁護士ないし弁護士法人であって、刑事司法制度の担い手としてその廉潔性を保持すべき職責を負っているというべきところ、原告らが本件密出国につき道義的責任を負う旨の新聞紙上の指摘は、原告らが上記職責を果たしておらず刑事司法制度を蔑ろにしているとの印象を抱かせ得るものである。そのため、原告らの社会的評価を低下させ、その信用ないし名誉を毀損するものであると認められる。

②本件発言部分を含む本件記事は、公共の利害に関する事実に係り、かつ、その目的が専ら公益を図ることにあって、本件発言部分が前提としている事実が重要な部分について真実であると認められ、意見ないし論評としての域を逸脱したものでもないから、本件記事を掲載した被告らの行為については違法性が阻却されるものと解される。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。新聞等の場合は、違法性が阻却されるケースもあり得ますが、一般人がSNS等に投稿した内容について違法性が阻却されることは滅多にありませんので、自身の判断で問題ないと考えてしまう事には大きなリスクがあります。

以上を踏まえ、SNS等に投稿する場合には最大限の注意を払っていただく必要がありますが、万一トラブルに巻き込まれてしまった場合には、どのような対応を取るべきかを慎重に検討するためにも、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

病院に対する名誉毀損

2024-02-07

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和3年11月22日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

病院の院長である原告が、被告がSNS上に投稿した一連の投稿によって名誉を毀損され、精神的損害を被ったと主張して、被告に対して不法行為に基づき損害賠償請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①本件投稿全体を一般読者の普通の注意と読み方を基準として判断すると、引用部分に記載された内容が本件SNSに投稿されているという事実のみならず、その内容のような事実が存在したことを摘示したものと理解され、被告が本件投稿を行うことにより、引用部分を含めて本件SNSの利用者が閲読可能な状態になる以上、被告の行為により原告の社会的評価は低下するものといえる。

②被告は、本件投稿をした当時インターネット上に原告の診療態度等について批判的な言動を行うレビュー記事があったことや写真週刊誌等で専門家から原告の対応に批判的な言及がされていた旨主張するが、被告は、これを裏付ける証拠を一切提出していない。

③本件投稿に引用された部分は既に本件SNSに投稿されていたものであること、本件投稿については、本件投稿後、コメントやリツイートはされていないこと等の本件に現れた一切の事情を考慮すると、原告が被った精神的損害に対する慰謝料としては20万円が相当である。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。特に名誉毀損は、民事上問題となるだけではなく、刑事事件に発展するリスクもあることを踏まえますと、可能であれば不用意な投稿することを控えるべきかということを改めて検討していただくことが余計なトラブルを回避するための最も効果的な方法です。 ただ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、被害者の立場にせよ加害者の立場にせよインターネット上のトラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

掲載写真に対する名誉毀損

2024-02-02

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和3年12月9日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

ブロガーとして活動する原告が撮影した自身の子供の写真をブログに掲載したところ、被告がインターネット上の匿名電子掲示板において、原告の子供を揶揄する内容の投稿を行った。これに対して、原告が発信者情報開示請求において被告を特定した上で、被告に対して名誉権又は名誉感情を違法に侵害された旨主張して、不法行為による損害賠償請求権を行った事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①本件各投稿は、本件掲示板内に書かれたコメントであるところ、原告が自身の娘の話題についてした投稿に対するコメントであること等からすれば、本件各投稿は、原告及び原告の娘に関する投稿であると評価するのが相当である。

②本件各投稿は、その表現内容、文脈及び本件掲示板が原告に対する批判的内容を掲載することが想定されているものと見受けられることに照らせば、これらの摘示事実は、原告の社会的評価を低下させ、社会通念上許される限度を超えて原告の名誉感情を害する違法なものであると認められる。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないと思ってのものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を低下させるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。名誉毀損は、民事上の問題となるにとどまらず刑事事件に発展するリスクもありますので、心持としては、第三者に対する否定的な評価を含む内容を不特定多数が閲覧する可能性があるインターネット上に投稿する場合には、最大限の注意を払い、可能であれば投稿することを控えるべきかということを改めて検討していただくことが余計なトラブルを回避するための最も効果的な方法です。

ただ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、被害者の立場にせよ加害者の立場にせよトラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

教授会における名誉毀損

2024-01-28

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

名誉毀損は、民事上問題となるだけではなく、刑事事件となる可能性もありますので十分に注意が必要です。

本日は、1つの事例として、京都地方裁判所判決令和3年12月15日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

原告は、被告の設置する大学の准教授であったが、教授への昇任審査に係る教授会において議案が否決されたことに関して、出席者らが原告に関する名誉棄損に類する発言をした一方で、当該会議の議長が原告に弁明の機会を与えることなく議事を進行したこと等を理由として、被告に対して使用者責任として損害賠償請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①昇任審査の教授会の場においては,候補者の教授としての適格性について自由に議論されることが想定されているところ,C准教授の発言内容自体は原告の教授としての適格性を判断する上で関連性を有しないものではなく、不当な目的のために上記発言をしたとまでは認められない。

②本件教授会に出席していた教授会構成員にとって、原告が懲戒審査の対象になったことが既に知られた事実であったとはいえないから、これを公表されない法的利益は認められるべきであり、当該教授の発言は、原告のプライバシーを侵害するものとして不法行為が成立する。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。特に、名誉毀損や侮辱といった誹謗中傷行為は、民事上問題となるだけではなく、刑事事件に発展するリスクもあり、万一そのような事態となってしまった場合には人生に大きな悪影響を及ぼしますのでくれぐれも注意が必要です。

ただ、被害者の立場にせよ加害者の立場にせよ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、トラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

ブログ上の名誉毀損

2024-01-23

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

特に、名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。

本日は、1つの事例として、千葉地方裁判所判決令和3年12月17日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

被害者の子供が行方不明となった事件について、被告人が、インターネット上に開設した自身のブログ上において、被害者が当該事件を利用した詐欺行為を行っておりその捜査対象となっているかのような事実や人身売買や臓器売買の対象とした誘拐に関与しているかのような事実を記載した文章を掲載したことに対して、名誉毀損罪に該当するかどうかが争われた事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①被告人のブログを閲覧した者は、通常、当該文章は本件被害者について書かれたものであり、捜査権限を有する国家機関である検察において、事件として取り上げるに足る証拠に基づき、本件被害者が本件児童の行方不明に関連して詐欺行為又はその他の犯罪行為を行っているとの嫌疑を抱いて本件被害者を捜査対象としているものと捉え等の可能性が十分にあるものであり、本件被害者の社会的評価を害するに足る事実を摘示したものといえる。

②本件で、問題となっている各事実について、合理的な疑いを容れることができない証拠はもとより、証拠の優越程度の証拠すら存在しないものと判断するほかなく、本件で刑法230条の2第1項に定める真実であることの証明がなされたとはいえない。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。特に名誉毀損は、民事上問題となるだけでなく刑事事件となる可能性もありますので十分に注意することが必要です。

ただ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、被害者の立場にせよ加害者の立場にせよ何らかのトラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

芸能事務所における名誉毀損

2024-01-18

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和3年12月23日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

芸能プロダクションとして設立された原告が、専属芸能人契約を締結した被告らが①グループ名の無断変更、②虚偽の事実をあたかも真実の原告の内部情報であるかのように装い、インターネット上に公開、公表したことが、債務不履行又は不法行為に該当するとして、損害賠償請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①被告の役割に照らせば、原告の承諾無く本件ユニットの名称を変更し、メンバーに対し新たな名称で活動を行う旨を伝えることにより、本件ユニットの活動が困難になることは容易に認識することができたものと認められる。そのため、飛行の行為は不法行為に該当する。

②そもそも、いかなる情報をマスコミや他のユーチューバーに伝えたか不明である上、仮に、当該行為が名誉毀損行為に該当するとしても当該行為を行ったのは、被告ではなく、第三者であると解されるから、被告が、原告及び原告の専属タレントの名誉を毀損したとは認められない。そのため、被告の行為は債務不履行には該当しない。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。そのため、心持としては、第三者に対する否定的な評価を含む内容を不特定多数が閲覧する可能性があるインターネット上に投稿する場合には、最大限の注意を払い、可能であれば投稿することを控えるべきかということを改めて検討していただくことが余計なトラブルを回避するための最も効果的な方法です。

ただ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、被害者の立場にせよ加害者の立場にせよインターネット上のトラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

漫画と名誉毀損

2024-01-13

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損や誹謗中傷は社会問題ともなっております。

本日は、1つの事例として、大阪地方裁判所判決令和3年12月24日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

原告が、被告が執筆し被告会社が雑誌に掲載及び出版して電子書籍としてインターネット上で配信した漫画に関して、当該漫画が自身の子供が死亡した事件を題材によって作成されたものであり、その内容によって名誉を毀損されたとして、被告らに対し、不法行為に基づく損害賠償金の支払い、及び同漫画について、インターネット配信等の一切の方法による公表の差し止めを求めた事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①本件作品は、雑誌に掲載されたほか、電子書籍の一部としてインターネット上で不特定多数の者に対し公開されており、その閲覧者の中には原告らと面識がある者等が含まれているものと推認されること、これらの読者の中には、本件作品を読んで初めて原告らについて、それまで知っていた情報以上の情報を得た者がいた可能性も否定できないことなどからすれば、名誉毀損の不法行為が成立するかの判断の前提となる、いわゆる同定可能性については、本件作品の読者一般ではなく、そのような者を基準として行うのが相当である

②また、被告らは、虐待の事実については報道やインターネット上に流布した情報について真偽や、情報の出所等について確認することもなく漫然と鵜呑みにしたというほかなく、このような調査は、特定の人物と同定可能な形で他者の名誉を毀損する表現をした場合に違法性や民事上の故意過失を阻却するに足りないものと考えられる。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

そのため、第三者に対する否定的な評価を含む内容を不特定多数が閲覧する可能性があるインターネット上に投稿する場合には、最大限の注意を払い、可能であれば投稿することを控えるべきかということを改めて検討していただくことが余計なトラブルを回避するための最も効果的な方法です。

ただ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、トラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

写真に対するコメントと名誉毀損

2024-01-08

インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

本日は、1つの事例として、大阪地方裁判所判決令和5年10月26日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

原告が撮影した写真に関して、被告が一部を加工の上SNSに投稿するとともに『花を潰している』という趣旨のコメントを加えた。これに対して、原告はプロバイダ等に対して発信者情報開示請求を行い被告を特定した上で、被告に対して名誉毀損であるとして慰謝料請求等を行った事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①本件投稿は、被告投稿画像とこれを批評する『花を潰してる』との文を内容とするものであるから、本件モデルが花を踏んでいるとの事実を摘示するものといえる。そして、本件投稿は、不特定多数の者が閲覧でき、閲覧者は、本件作品の撮影者が花を踏む態様の撮影手法を採用する者であると認識するのが自然である。以上によれば、本件投稿は、本件作品の撮影者である原告の社会的評価を客観的に低下させる行為と認められる。

②原告がSNSにおいてフォロワーを多数有し、コンテストの入賞歴を有する写真家であった事実は認められるが、この事実をもって原告による撮影行為が「公共の利害に関する事項」に該当するとはいえない。また、被告による本件投稿の目的は、本件作品の感想又は批評の被告なりの表明にあり、「その目的が専ら公益を図ることにあった」ともいえない。また、真実を摘示したことについての的確な立証もない。よって、被告の上記主張を採用することはできず、本件投稿について違法性が阻却されると認めることはできない。

3 インターネットの利用には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。心持としては、第三者に対する否定的な評価を含む内容を不特定多数が閲覧する可能性があるインターネット上に投稿する場合には、最大限の注意を払い、可能であれば投稿することを控えるべきかということを改めて検討していただくことが余計なトラブルを回避するための最も効果的な方法です。

ただ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、トラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

最新の裁判例その9

2024-01-03

インターネット上のトラブルには様々なものがあります。

誹謗中傷、名誉毀損に関係するトラブルや、著作権などの知的財産権侵害に関するトラブル、プライバシー侵害に関係するトラブル等、トラブルの種類や量は増加傾向にあります。

弊事務所では、様々なインターネットトラブルに関するご相談をお受けしておりますが、日々様々な裁判例が出ておりますので、最新の裁判例を確認することがトラブルに対応するに当たっては非常に重要となります。

本日は、東京地判令和4年3月8日(LLI/DB 判例秘書登載)をご紹介いたします。

1 事案の概要

Xが、インターネット上の掲示板にYが投稿した記事によって名誉権を侵害され、精神的苦痛を被ったことを理由として、Yに対し慰謝料請求等を行った事案です。

2 裁判所の判断

裁判所は、以下の通り判断しました。

①同定可能性について、Yが主張するように、Yは、Pとしか記載していない。しかし、①上記各記事は、いずれも「××」と題する本件スレッド内の記事であること、②Xが、北新地のキャバクラにおいて、「▲▲」として勤務していたことからすると、上記各記事におけるPは、Xを対象とするものと認めるのが相当である。

②各表現は、稚拙な表現を用いるものであり、悪質性が高いとまではいえない。しかしながら、上記各表現は、Xについて、「相当」知恵遅れである、「無知で頭(が)おかしい」、「こんな(に)頭(の)おかしい(女性は)なかなかいない」などと相当程度の評価を加えて侮辱するものである。したがって、これらの表現は、一定程度悪質というべきであり、社会通念上許される限度にとどまっているものとはいえない。

3 インターネットトラブルは誰もが巻き込まれる可能性があります

現在の社会において、インターネットに一切関係することなく人生を送ることはほぼ不可能です。それは、老若男女問わずいえることです。

トラブルへの巻き込まれ方としては、自身の利用方法に注意をすることで加害者側になることを回避することは可能ですが、被害者となる可能性は誰もがあるといえます。

インターネットトラブルに巻き込まれた際は、誰しも驚いて冷静な対応を取ることが難しい状況であることは間違いありません。ただ、冷静に対応をすることで大事にすることなく解決までつながる場合も多くありますので、まずは軽率な対応をすることは避け、慎重に対応をすることが重要です。

弊事務所では、インターネットトラブルに関して、加害者側からのご相談も含めて幅広く対応しておりますので、お気軽にご相談ください。

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