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インターネットにおける“バズる”と著作権・商標権の意外なリスク

2025-09-18

SNSや動画投稿サイトで「バズる(=爆発的に拡散される)」ことは、個人や企業の知名度向上に繋がる一方で、他人の権利を侵害してしまうリスクもはらんでいます。軽い気持ちで使用した画像やフレーズが、実は著作権や商標権を侵害していたというケースも多く、拡散後にトラブルへ発展する例も少なくありません。本記事では、「バズる」に潜む知的財産権の落とし穴について解説します。

1 著作権侵害の典型例

①有名キャラクターやイラストの無断使用

たとえば、アニメキャラクターの画像を使ってコラ画像を作成し、SNSに投稿する行為は、著作物の複製・公衆送信に該当し、著作権侵害にあたる可能性があります。

②他人の撮影した画像・映像の転載

TwitterやYouTubeから拾ってきた動画や写真を、出典を示さず「自分のコンテンツ」として使用すると、原則として違法です。

③楽曲や音声の無断使用

TikTokやInstagram Reelsなどで、J-POPなどの市販楽曲をBGMに使用する場合、原則として権利者の許諾が必要です。

2 商標権の意外な落とし穴

「〇〇る」「△△活」など、バズワードやキャッチフレーズの中には、実は商標登録されているものもあります。以下のようなケースが問題となり得ます。

①他人が登録した商標を、自社商品やキャンペーンに無断で使用

②登録商標を含んだハッシュタグを使って販促を行う

③パロディ的に商標を用いたTシャツや雑貨を制作・販売

これらは、商標権侵害に該当するおそれがあり、損害賠償や差止請求の対象となることがあります。

3 裁判例:SNS投稿が著作権侵害と認定された事例

ある裁判例では、人気イラストレーターが描いたキャラクター画像を無断でTシャツに印刷・販売したユーザーに対し、著作権侵害が認定され、200万円の損害賠償が命じられました。

この事件では、たとえバズによって注目を集めた商品であっても、「他人の著作物を勝手に使った」ことが法的責任の中心になった点が注目されます。

4 バズる投稿を行う際の注意点

①使用する画像・音源・フレーズの権利確認を行う

「フリー素材」「商用利用可」などの明示がない限り、無断使用は避けましょう。

②出典・クレジットの明記

正当に使用している場合でも、作者や出所を明記することでトラブル防止になります。

③「パロディ」や「オマージュ」でも注意

ユーモアのつもりであっても、権利者が不快に感じれば侵害とされることがあります。

④商標の使用には特に注意

企業名やブランド、バズワードを無断で商品化・販促に使用することは避けましょう。

SNSで注目を集めることは、クリエイターや事業者にとって大きなチャンスですが、「著作権や商標権を尊重する」という基本が欠けていては、拡散がそのまま“法的リスクの拡大”につながってしまいます。

バズ投稿をする前には、一呼吸置いて「この画像・音楽・言葉は使って大丈夫か?」と立ち止まって確認する習慣を持つことが大切です。不安な場合は、早めに専門家にご相談ください。

ネット上の悪質レビューと店舗・事業者の対処法

2025-09-13

Googleマップや食べログ、楽天レビューなど、口コミ投稿がビジネスの集客や評価に直結する時代。好意的なレビューが集まれば売上が伸びる一方、虚偽や悪意あるレビューによって風評被害を受ける事業者も少なくありません。今回は、ネット上に投稿された悪質レビューへの法的対処法を、実例とともに解説いたします。

1 悪質レビューとは?

口コミ自体は表現の自由の範囲内ですが、次のような投稿は違法性を帯びる可能性があります。

①事実無根の内容(「虫が出た」「異物が入っていた」等の虚偽)

②利用していない者による投稿

③競合他社などによる営業妨害目的の書き込み

④過剰に侮辱的な表現(「最低の店」「人間のクズ」など)

これらは名誉毀損、信用毀損、業務妨害など、刑事・民事両面の違法行為に該当する可能性があります。

2 裁判例:虚偽レビューによる損害賠償命令

ある裁判例では、実際に来店していない人物が飲食店に対し、「不衛生」「態度が悪い」といった虚偽のレビューを投稿した件について、裁判所は名誉毀損を認定。投稿者に対して50万円の損害賠償命令を下しました。

この裁判例では、利用実績のない者による虚偽の投稿が「営業上の信用・評価を著しく傷つけた」と評価されました。

3 プラットフォームへの削除申請

多くの口コミサイトや検索エンジンでは、ガイドライン違反に該当するレビューについて削除申請が可能です。以下のような文言で申請を行うと、削除される可能性が高まります。①「虚偽の内容であり、営業妨害を受けている」

②「実際に来店・利用された形跡がない」

③「競合店舗と思われる人物による悪意ある書き込みである」

申請には投稿内容の具体的な反論や、営業記録などの証拠が添付されると効果的です。

4 投稿者の特定と損害賠償請求

悪質なレビュー投稿者が匿名の場合、発信者情報開示請求によって投稿者のIPアドレスや契約者情報を取得し、損害賠償請求を行うことが可能です。請求には以下のような根拠が用いられます。

①民法709条に基づく不法行為責任(虚偽による名誉毀損・信用毀損)

②刑法230条、233条に基づく刑事責任(名誉毀損罪・業務妨害罪)

裁判を通じて削除と損害賠償を同時に請求することも可能です。

事業者にとってネットレビューは「集客と信頼の命綱」ともいえる存在です。虚偽や悪意のあるレビューを放置すれば、検索結果や評価スコアに悪影響が残り続け、長期的に顧客離れにつながる恐れがあります。

一方で、すべての批判的レビューが違法になるわけではありません。あくまで**「真実に反する」かつ「不当に評価を落とす内容」であるか**がポイントになります。

悪質なレビューを発見した場合は、まず冷静にスクリーンショット等の証拠を確保し、プラットフォームへの削除申請を行うと同時に、必要に応じて弁護士への相談をおすすめします。

動画投稿サイトでの他人の映り込みと肖像権の侵害

2025-09-08

スマートフォンやアクションカメラの普及により、誰もが気軽に動画を撮影・投稿できる時代になりました。観光地やイベント、街中の様子などを映した動画がYouTubeやTikTokなどにアップロードされる一方で、「他人の顔や姿が勝手に映っている」ことを巡るトラブルも増えています。本記事では、動画内での他人の映り込みと肖像権侵害の法的問題について解説いたします。

1 肖像権とは?

肖像権とは、自己の容貌・姿態などを撮影・公表されない権利であり、判例上、人格権の一部として認められています。

肖像権は、芸能人などの有名人だけでなく、一般人にも認められます。無断でその姿を動画に映し、インターネット上に公開することは、本人の同意がない限り、肖像権の侵害と評価される可能性があります。

2 よくある映り込みの例

①街頭インタビューやストリート動画に通行人が明確に映っている

②店舗内撮影で他の客の顔がはっきり映っている

③学校・イベントの様子を撮影した動画に、個人が特定できる児童が映っている

④撮影に同意していない知人や友人を勝手に登場させている

「たまたま映っただけ」「モザイクをかけたから問題ない」と考える人もいますが、特定性がある場合には違法性が問題となります。

3 裁判例:無断撮影・投稿による肖像権侵害の認定

ある裁判例では、ある飲食店での食事中に隣席にいた客が撮影され、その動画がYouTubeに投稿された事案について、「本人の承諾なく特定性を持って撮影・公開されたことが人格権を侵害する」として、投稿者に30万円の損害賠償が命じられました。

この裁判例は、「偶然映り込んだだけ」であっても、状況や映り方によっては肖像権侵害が成立することを明示しています。

4 映り込み被害を受けた場合の対応

①動画の証拠確保(URL・スクリーンショットなど)

映り込みが確認できる画面の記録を保存します。

②削除申請・通報

YouTube等の動画プラットフォームに対し、プライバシー・肖像権侵害を理由に削除を求める申請を行います。

③投稿者への削除要請・警告

状況に応じて、投稿者に対し直接削除を要請することも可能です。場合によっては法的警告書を送付します。

④損害賠償請求・仮処分申立て

悪質な場合や削除に応じない場合、民事訴訟や仮処分により削除命令や損害賠償を請求することが可能です。

動画投稿の自由は大切ですが、他人の権利に配慮しない投稿は「違法」となる可能性があります。 公共の場であっても、個人が特定される映り込みには十分注意を払うべきです。 映り込んでしまったことで不快な思いをした場合、まずは冷静に証拠を保全し、削除請求や相談機関への対応を進めてください。特にお子様や職場の同僚など、映ることで影響を受ける立場にある方が被害に遭った場合は、早めに弁護士へご相談ください。

SNSアカウントの乗っ取りと被害者の法的救済手段

2025-09-03

現代社会において、SNSは個人のコミュニケーションだけでなく、仕事・情報発信・ブランド構築にも活用される重要な手段となっています。しかしその反面、アカウントの「乗っ取り」被害が後を絶ちません。乗っ取りによって個人情報や信頼が損なわれ、なりすまし投稿により被害が拡大するケースもあります。本記事では、SNSアカウントの乗っ取り被害と、法的救済手段について解説します。

1 SNSアカウント乗っ取りとは?

アカウント乗っ取りとは、他人のSNSアカウントに不正にログインし、投稿・プロフィール変更・DM送信などを勝手に行う行為を指します。主な手口には以下があります。

①パスワードの漏洩や弱いパスワードの使用

②フィッシング詐欺によるID・パスワードの詐取

③他サービスとの使い回しによる不正アクセス

④不正なアプリ連携による情報流出

乗っ取られたアカウントは、詐欺や誹謗中傷に利用されることも多く、被害者本人だけでなく、フォロワーや第三者にも影響が及びます。

2 法的にはどのような問題になるか

①不正アクセス禁止法違反

他人のID・パスワードを利用してログインする行為は、不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)により禁止されています。違反した者には刑事罰が科される可能性があります。

②なりすましによる名誉毀損・プライバシー侵害

乗っ取ったアカウントで虚偽の投稿や個人情報の流出が行われた場合、名誉毀損やプライバシー侵害として民事責任を問うことができます。

③損害賠償請求(民法709条)

SNSを業務に利用していた場合には、信用低下や営業損害を理由に損害賠償を請求することも可能です。

3 裁判例:SNSアカウント乗っ取りによる損害賠償

ある裁判例では、元従業員が退職後に前職のSNSアカウントを不正に利用し、なりすまし投稿を行った事案について、裁判所は「不正アクセスと名誉毀損が認められる」とし、被告に150万円の損害賠償を命じました。

この判決は、乗っ取り行為が刑事的にも民事的にも重大な違法行為であることを裏付けています。

4 被害に遭った場合の対応策

①プラットフォームへの通報・復旧申請

SNS運営者に対し、不正アクセスによるアカウント被害であることを報告し、復旧・ログイン制限などの対応を求めます。

②投稿削除・被害拡大の防止

アカウントが回復できる場合は、問題となる投稿の削除やアプリ連携の解除を行いましょう。

③警察への被害届提出

不正アクセス禁止法に基づき、警察へ被害届を提出することが可能です。証拠となるスクリーンショットやログを準備しておきましょう。

④発信者情報開示請求

加害者が誰か特定できない場合でも、ログインIPアドレス等の情報から追跡を行う法的手続があります。

⑤損害賠償請求

業務妨害や名誉毀損が認められる場合には、民事訴訟により損害賠償請求が可能です。

SNSアカウントは現代における“デジタルな人格”ともいえる存在です。乗っ取り行為は単なるイタズラではなく、重大なプライバシー侵害・信用毀損・刑事犯罪に該当し得ます。

被害に気づいたら、まずは冷静に証拠を確保し、運営会社・警察・弁護士と連携して迅速な対処を行うことが重要です。

誹謗中傷の加害者となった場合の法的責任と対応

2025-08-29

インターネット上では、軽い気持ちで投稿・コメントを行った結果、それが「誹謗中傷」と評価され、加害者として責任を問われるケースが増えています。名誉毀損やプライバシー侵害に該当すれば、被害者から損害賠償や刑事告訴を受ける可能性もあり、個人であっても決して免責されません。本記事では、誹謗中傷の加害者側となった場合の法的責任と、取るべき対応について解説いたします。

1 誹謗中傷とは?

誹謗中傷とは、他人を悪く言ったり、社会的評価を下げたりする表現行為をいいますが、特に次のような発言が問題となります。

①「○○は犯罪者」「詐欺会社だ」などの根拠なき断定

②「バカ」「死ね」などの侮辱的な言葉

③セクシャルハラスメント的なコメントや人種・性別に関する差別的表現

④外見や障害を揶揄するような投稿

たとえ事実であっても、公共性や公益性がなく、表現が過剰であれば違法とされる可能性があります。

2 加害者が負う法的責任

①民事責任(損害賠償)

名誉毀損(民法710条)やプライバシー侵害によって、慰謝料・弁護士費用等の損害賠償を請求されることがあります。金額は数十万円から数百万円に及ぶこともあります。

②刑事責任

刑法上は、名誉毀損罪(刑法230条)、侮辱罪(231条)などが成立する可能性があります。被害者の告訴により、警察の捜査や検察による起訴がなされることもあります。

③仮処分や投稿削除の義務

③裁判所の仮処分命令により、当該投稿の削除や再投稿の禁止が命じられることもあります。

3 実例:SNS投稿者に対する損害賠償命令

ある裁判例では、Twitter上で芸能人に対し「整形モンスター」「性格が終わってる」などと繰り返し投稿したユーザーに対し、名誉毀損が認定され、110万円の損害賠償が命じられました。被告は「表現の自由」を主張しましたが、裁判所は「社会的相当性を欠く侮辱的表現」として違法性を認定しました。

4 誹謗中傷してしまった場合の対応

①投稿の削除・謝罪

問題となる投稿に気づいたら、速やかに削除することが重要です。任意の謝罪や、被害者との直接連絡を検討する余地もあります。

②被害者との示談交渉

損害賠償請求や刑事告訴を防ぐため、謝罪文や一定の解決金を支払う形で示談を図ることが可能です。

③弁護士への相談

対応を誤ると、損害が拡大したり法的責任が重くなる可能性があります。専門家のアドバイスを受けながら、適切な対応を検討しましょう。

④匿名でも責任は免れないことを自覚する

匿名での投稿であっても、発信者情報開示請求を通じて身元が特定される可能性があります。過去の投稿が問題視されるケースもあるため、履歴の見直しも重要です。

インターネットは感情的になりやすく、「つい言い過ぎた」ということが誹謗中傷につながるリスクを孕んでいます。重要なのは、発信には責任が伴うという意識を持つことです。

仮に誹謗中傷の加害者となってしまった場合も、誠実に謝罪し、早期に被害回復に努めることで、被害拡大や訴訟リスクを軽減できる場合があります。ご自身の立場に不安を感じたら、迷わず弁護士にご相談ください。

誤認逮捕とネット報道の二次被害

2025-08-24

インターネットニュースやSNSの普及により、事件・事故の報道はリアルタイムで拡散されるようになりました。しかし、中には「誤認逮捕」であったにもかかわらず、その情報が半永久的にネット上に残り続け、本人や家族に深刻な影響を与える事態も起きています。本記事では、誤認逮捕とネット報道による“二次被害”の法的問題を取り上げます。

1 誤認逮捕とは?

誤認逮捕とは、実際には無実であるにもかかわらず、犯罪の容疑者として逮捕されることを指します。防犯カメラの誤認、目撃証言の錯誤、捜査機関の過失など、原因はさまざまです。

一旦逮捕されると、警察や報道機関が氏名・年齢・住所などを発表し、インターネットメディアやSNSを通じて全国に広まる可能性があります。たとえ不起訴や無罪となっても、“逮捕された”という事実だけが先行し続けるのが現状です。

2 ネット上に残るデジタルタトゥー

報道記事やSNS投稿は、一度ネット上に掲載されると、検索エンジンやまとめサイト、コピー転載等によって拡散・保存され、完全な削除が極めて困難になります。これがいわゆる「デジタルタトゥー」と呼ばれる現象です。

本人が就職・転職・結婚など新たな生活を始めようとしても、ネット検索で逮捕歴(たとえ誤認であっても)が出てしまえば、不利益が生じる可能性があります。

3 裁判例:誤認逮捕報道記事の削除請求

ある裁判例では、誤認逮捕された男性が、ポータルサイトに残った当時の報道記事に対し「名誉毀損かつプライバシー侵害」であるとして削除請求を行いました。裁判所は「既に不起訴処分が確定し、報道を残す公益性が乏しい」として、検索結果からの削除を命じました。

このように、報道の公益性と個人の名誉・プライバシーとのバランスが裁判では重要視されます。

4 被害に遭った場合の救済策

①報道機関・ポータルサイトへの削除要請

逮捕の事実が誤認である場合、不起訴・無罪となった証拠を添えて削除や訂正を求めます。

②検索結果の削除申立て

GoogleやYahoo!などの検索エンジンに対し、「忘れられる権利」に類似する主張をもって削除申請が可能です。

③損害賠償請求

違法な報道や掲載が原因で名誉毀損が成立する場合、民法上の損害賠償請求が認められる可能性があります。

④再発防止と報道倫理の問題提起

報道機関への申し入れを通じて、匿名報道や経過報道の徹底を求めることも有効です。

誤認逮捕そのものは不運であっても、報道による二次被害を放置してはいけません。名誉・プライバシーが不当に侵害された場合には、法的手段により一定の修復を図ることが可能です。

報道の削除や検索結果の抹消は時間と手間を要しますが、適切な手順を踏めば成功事例も増えています。泣き寝入りせず、早期に専門家へご相談ください。

ライブ配信における違法行為とその責任

2025-08-19

YouTube Live、Instagram Live、TikTok Liveなど、個人による「ライブ配信」が一般化した現代において、視聴者とのリアルタイムなやり取りの中で、思わぬ違法行為やトラブルが発生するケースが増えています。ライブ配信では、その場の勢いや軽い気持ちで発言・行動してしまいがちですが、その内容によっては刑事・民事の責任を負う可能性があります。本記事では、ライブ配信における主な違法行為と法的責任について解説いたします。

1 ライブ配信で問題となりやすい行為

ライブ配信中には、以下のような行為が法的問題を引き起こすことがあります。

①著作権侵害

BGMとして市販の楽曲を流したり、アニメ・映画などを画面に映したりする行為。

②名誉毀損・侮辱

特定の個人や企業を中傷・嘲笑する発言、虚偽の事実を語る行為。

③プライバシー侵害

無関係な第三者の顔や声、住所・氏名・電話番号などが映り込む行為。

④暴行・器物損壊などの実況

「迷惑系配信」と称して、飲食店での迷惑行為や他人への暴言・暴行を配信する行為。

⑤わいせつ・児童ポルノの配信

露出度の高い衣装や性的な言動を含む配信、未成年を出演させる行為。

これらは「エンタメ」として行われていたとしても、重大な法的問題となる場合があります。

2 裁判例:配信中の中傷行為による損害賠償

ある裁判例では、ライブ配信者がある個人について「犯罪者」「詐欺師」などと根拠なく言及し、配信のアーカイブ動画が残った事案で、裁判所は名誉毀損が成立するとして配信者に110万円の損害賠償を命じました。

本件は、ライブ配信であっても発言が後に保存・拡散されることを前提に、録画内容に基づく法的責任が生じることを示しています。

3 配信者が負う法的責任

①刑事責任

暴行罪・名誉毀損罪・著作権法違反・児童福祉法違反など、内容によっては刑事告発・逮捕の対象になります。

②民事責任(損害賠償)

配信によって名誉やプライバシーが侵害された場合、慰謝料や営業上の損害賠償を請求される可能性があります。

③プラットフォーム規約違反によるアカウント停止

YouTubeやTikTokなどでは、一定の違反行為を検知すると配信停止やアカウント削除が行われます。これにより収益機会を失うケースもあります。

4 被害を受けた場合の対応策

①録画・スクリーンショットの保存

配信内容が後に削除されても、証拠が残っていれば法的対応が可能です。

②削除申請と通報

プラットフォーム運営者に対して、規約違反を理由に動画削除を求めます。

③発信者情報開示請求

配信者が匿名の場合でも、動画の掲載者・ライブ主を特定する法的手段が取れます。

④損害賠償・刑事告訴の検討

悪質な内容の場合、民事・刑事の両面から責任追及が可能です。

ライブ配信の「リアルタイム性」は魅力である反面、法的トラブルに直結しやすい点でもあります。一度配信された内容は記録として残り、後から責任を問われる可能性が高いことを認識すべきです。

配信を行う際には、著作権や肖像権、名誉・プライバシーといった法的権利への配慮を忘れず、視聴者を巻き込む前に適切な判断を心がけましょう。

ネット掲示板における悪質なデマとその拡散責任

2025-08-14

インターネット掲示板やSNSでは、不確かな情報や噂話が急速に拡散されることがあります。その中には、特定の個人や企業に対する悪質な「デマ(虚偽情報)」が含まれている場合も少なくありません。デマが拡散されることで、当事者に深刻な社会的・経済的損害が生じるだけでなく、拡散に関わった第三者も法的責任を問われる可能性があります。本記事では、ネット上のデマとその拡散に関する法的リスクを解説いたします。

1 「デマ」とは何か?

デマとは、事実に反する虚偽の情報を、他人に伝達または拡散する行為を指します。ネット上では次のような例が典型です。

①「○○社は倒産寸前らしい」などの経済的信用に関する虚偽情報

②「○○さんは不倫している」「○○は前科がある」といった個人の名誉を毀損する内容

③「この商品には発がん性物質が含まれている」といった科学的根拠のない風評

④犯罪事件に関して「犯人は○○ではないか」と根拠なく特定する投稿

これらのデマは、投稿者自身が創作したものでなくとも、無責任に共有・拡散すること自体が違法行為となり得る点に注意が必要です。

2 デマ投稿・拡散に対する法的責任

①名誉毀損(刑法230条・民法710条)

事実でないことを公然と摘示して、特定の個人や企業の社会的評価を低下させると、名誉毀損に該当します。

②信用毀損罪・業務妨害罪(刑法233条~234条)

企業に対して虚偽情報を流し、顧客離れや取引中止に追い込むようなケースでは、信用毀損や威力業務妨害罪が成立する可能性があります。

③拡散者の共同不法行為責任(民法719条)

デマの投稿者だけでなく、それを積極的に拡散(リツイート、まとめ投稿、引用投稿)した第三者にも損害賠償責任が生じる場合があります。

3 裁判例:デマの拡散による賠償命令

ある裁判例では、虚偽の風評を含む投稿をSNSで引用・拡散したユーザーに対し、名誉毀損の共同不法行為者として55万円の損害賠償が命じられました。裁判所は「投稿者が虚偽であることを容易に知り得たのに、安易に拡散した」として違法性を認定しています。

このように、拡散者も「加害者」として扱われるリスクがあることを認識すべきです。

4 被害を受けた場合の対応

①投稿の証拠保全

投稿内容、投稿日時、URL、拡散の状況などを記録します。画面のスクリーンショットも有効です。

②削除請求・開示請求

デマ投稿に対して、掲示板管理者やSNS事業者に削除申請を行います。悪質な場合は発信者情報開示請求も検討します。

③損害賠償請求・仮処分申立て

投稿者・拡散者に対し、名誉毀損・信用毀損を理由に損害賠償を請求することが可能です。④検索結果削除の申し立て

デマが検索結果に残る場合、Google等の検索事業者に対し削除を要請する方法もあります。

インターネットは情報の流通速度が速く、虚偽情報であっても瞬時に拡散され、被害はあっという間に拡大します。デマの投稿や拡散は「軽い気持ち」で行える反面、その法的責任は非常に重い場合があることを自覚すべきです。

被害に気づいた時点で、冷静に証拠を保全し、早期に弁護士へご相談いただくことが重要です。

ネット上の著作権侵害と投稿削除の実務

2025-08-09

インターネット上では、画像や動画、文章、音楽などのコンテンツが日々大量に投稿・共有されています。その一方で、著作権者に無断でコンテンツが使用される「著作権侵害」も多数発生しており、投稿者本人が違法行為に気づかずに拡散してしまうケースも少なくありません。本記事では、ネット上の著作権侵害の基本と、削除要請等の実務対応について解説いたします。

1 著作権侵害とは?

著作権侵害とは、著作権者の許可なく、その著作物を複製・公衆送信・翻案等する行為をいいます。代表的な著作物には以下が含まれます。

①写真、動画、イラスト、音楽、文章(ブログや記事など)

②ゲーム画面、アニメ、映画、楽曲の一部切り抜き動画

③他人が撮影・編集した作品

特に、YouTubeやTikTok、X(旧Twitter)などに投稿された二次創作や「転載」は、著作権者の事前許諾がない限り、原則として違法となる可能性があります。

2 よくある侵害パターン

①他人のブログ記事や画像を無断転載

②人気漫画のコマをスクリーンショットで紹介

③他人が撮影した写真を「フリー素材」と誤認して利用

④有名アーティストの楽曲をBGMにして動画投稿

⑤テレビ番組を録画し、YouTubeへ無断アップロード

これらは、たとえ「非営利目的」や「少しだけ」であっても、法的には著作権侵害に該当し得ます。

3 裁判例:無断転載に対する損害賠償命令

ある裁判例では、写真家が撮影した風景写真を無断で観光ブログに転載された事案について、裁判所は著作権侵害を認定し、投稿者に対して30万円の損害賠償を命じました。

本件では、著作物の出所を明示していても、「著作権者の同意なく使用してはならない」原則が優先されると判断されています。

4 被害に遭った場合の対応手順

①証拠の確保

侵害されたコンテンツの元データ、無断投稿のURLやスクリーンショットなどを確保します。

②削除要請(任意)

まずはプラットフォームや投稿者に対し、著作権侵害を理由に削除申請を行います。多くのサービスには専用フォームが用意されています。

③プロバイダ責任制限法に基づく削除請求

投稿者が削除に応じない場合、プラットフォーム運営者に対し、正式に削除申請を行うことができます。あわせて発信者情報の開示請求も検討されます。

④損害賠償請求・仮処分申立て

被害が大きい場合は、民事訴訟による損害賠償請求や、仮処分による差止命令を申し立てることが可能です。

「ネットに出回っている=自由に使ってよい」という誤解が、著作権侵害を助長しています。特に、個人・企業の写真やイラスト、動画には、たとえ無償であっても著作権が発生している場合が多くあります。

著作権侵害に気づいたときには、まず冷静に証拠を保全し、任意の削除交渉と併せて、法的手段を講じることが大切です。自らの権利を守るためにも、早めに弁護士にご相談ください。

オンラインストーカー行為と接近禁止命令の活用

2025-08-04

SNSやメッセージアプリなどの普及により、物理的な接触がなくとも相手に執拗につきまとう「オンラインストーカー」被害が増加しています。被害者の多くは、精神的に追い詰められ、日常生活に支障をきたす事態に発展することも少なくありません。本記事では、インターネット上でのストーカー行為の法的問題と、接近禁止命令などの保護手段について解説いたします。

1 オンラインストーカーとは

オンラインストーカーとは、インターネット上で以下のような行為を継続的に行うことを指します。

①SNSやメールで繰り返しメッセージを送信する

②被害者の投稿に執拗に反応し続ける(「いいね」攻撃など)

③匿名アカウントで監視・追跡を行う

④他人の投稿欄に中傷や攻撃的コメントを連続して書き込む

⑤被害者の住所・交友関係・行動履歴を調査・公開する(いわゆる“ネットストーキング”)

これらは一見すると物理的接触がないため軽視されがちですが、被害者にとっては深刻な精神的苦痛を与える行為です。

2 ストーカー規制法の対象になるか?

従来のストーカー規制法(ストーカー行為等の規制等に関する法律)は、面会の強要や尾行など「リアルなつきまとい行為」が中心でしたが、平成28年の法改正により、SNS等を通じた連続的なメッセージ送信行為も規制対象に追加されました(同法2条1項2号の2)。

したがって、SNSを通じた繰り返しのメッセージ送信や監視的行動は、ストーカー行為として警告や禁止命令、さらに刑事処分の対象となる場合があります。

3 裁判例:SNSを利用した執拗なメッセージ送信

ある裁判例では、元交際相手に対してSNS上で「復縁しろ」「無視するな」などのメッセージを100回以上送信した行為について、ストーカー規制法違反が成立し、被告人に罰金刑と保護命令違反による警告が言い渡されました。

この事例は、インターネット上のつきまといも明確にストーカー行為に該当し得ることを示しています。

4 被害者がとれる法的措置

①警察への相談・警告申出

最寄りの警察署に相談し、相手に対する警告を出してもらうことができます。被害の内容や証拠の提示が重要です。

②接近禁止命令(裁判所)

ストーカー規制法に基づき、地方裁判所に「禁止命令(接近・連絡の禁止)」を申し立てることが可能です。

③仮処分申立・損害賠償請求

民事上の手段として、加害者に対してSNSのブロック命令や慰謝料請求を行うことも検討できます。

④証拠の確保

メッセージ履歴やSNSの通知、スクリーンショット、通話記録などを保存しておくことが、後の手続で有効になります。

オンライン上のストーカー行為は、「物理的に近づいていないから安全」とは限りません。むしろ精神的圧迫感が強く、長期的な苦痛をもたらすケースが多く見受けられます。繰り返しの連絡や監視的行動を受けたら、それが“ストーカー行為”に該当する可能性があることを認識すべきです。

被害を感じたら、早めに警察や弁護士へ相談し、証拠保全・警告申出・接近禁止命令などの手続を通じて、自身の安全を確保しましょう。

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