Archive for the ‘インターネットトラブル全般’ Category

インターネット上の意匠権侵害

2025-02-20

SNSや匿名掲示板では、多くの方が日常的に情報やアイデアを発信しています。

しかしながら、知らず知らずのうちに意匠権を侵害してしまうリスクがあります。

意匠権は、デザインの美的価値を保護する重要な知的財産権です。

その侵害が成立すると、損害賠償や差止請求といった法的措置を受ける可能性があるため、十分な注意が必要です。

本日は、具体的な事例を交えてご説明いたします。

1 意匠権とは?

意匠権は、工業的に量産される物品のデザインを保護する権利です(意匠法第1条)。

保護対象となる意匠には、形状、模様、色彩、またはそれらの組み合わせが含まれます。意匠権者は登録されたデザインを独占的に使用する権利を有し、第三者による無断使用を禁じることができます(意匠法第23条)。

SNSや匿名掲示板での投稿内容が意匠権を侵害する場合、たとえ商業目的ではなくても法的トラブルに発展することがあります。

2 具体的な事例

①ハンドメイド商品の販売における意匠模倣
あるユーザーが人気ブランドの独特なデザインのバッグを模倣したハンドメイド商品を制作し、SNSで販売していました。この場合、意匠権の対象となるデザインが無断で使用されているため、意匠権侵害に該当する可能性があります。

特に「オリジナル風アレンジ」を主張しても、意匠法第3条に基づき、「意匠全体の視覚的特徴」が似ている場合には侵害が成立することがあります。

②他人のデザインを参考にしたDIY作品の公開
DIY愛好家が意匠権で保護されたデザインを参考にして家具を作り、その写真を匿名掲示板に投稿した事例があります。

たとえ個人利用の範囲であっても、その内容が広く拡散されると、意匠権者の営業上の利益に影響を与える可能性があり、法的問題に発展することがあります。

③人気商品のデザインを模倣したグッズ制作
特定の人気商品の特徴的なデザインを模倣したスマホケースやアクセサリーを制作し、SNSで宣伝・販売した事例も見られます。この場合、商品そのものが意匠権で保護されている場合には、販売行為だけでなく、宣伝行為そのものも侵害行為に該当する可能性があります。

3 トラブルを防ぐための注意点

①登録意匠を事前に確認する
他人のデザインを参考にする際は、登録意匠として保護されていないか確認しましょう。特許庁のデータベースを利用することで確認できます。

②オリジナルデザインを重視する
意匠権侵害のリスクを避けるためには、他人のデザインに依存せず、自分自身のオリジナルデザインを制作することが重要です。

③ガイドラインやライセンスを確認する
特定ブランドや製品のデザインを使用する際は、公式の利用ガイドラインやライセンス契約の有無を確認しましょう。

④投稿内容を慎重に検討する
SNSや匿名掲示板で自作のデザインや模倣した作品を公開する前に、その行為が意匠権を侵害しないか専門家に相談するのも有効です。

4 意匠権侵害にはご注意ください

SNSや匿名掲示板での自由な発信は創作意欲を刺激する一方で、意匠権をはじめとする知的財産権の侵害リスクを伴います。

不用意な模倣や投稿が原因でトラブルに発展しないよう、意匠権の基本を理解し、注意深く行動することが求められます。もし、意匠権侵害が疑われるケースに直面した場合は、速やかに専門家の助言を受けることをお勧めします。

二次創作と著作権侵害

2025-02-15

SNSや動画投稿サイトが普及した現代では、個人が創作活動を公開するハードルが大幅に下がりました。しかし、創作活動の中には著作権法の枠を超えた行為が含まれることがあり、その結果として法的なトラブルに発展するケースも少なくありません。

本日は、特に問題となりやすい「二次創作物の公開と販売」、「音楽や映画の一部を使用した動画投稿」に焦点を当て、著作権侵害のリスクについて解説します。

1 そもそも二次創作とは?

二次創作とは、既存の作品(著作物)を元にして新たな創作物を作り上げる行為を指します。たとえば、人気キャラクターを用いたイラストや、オリジナルのストーリーを加えた小説などが該当します。これらの活動はファン活動の一環として広く行われていますが、著作権法の観点からは注意が必要です。

2 二次創作が侵害に該当する場合

著作権法では、既存の作品を翻案(原作を基に新たな創作を行うこと)する権利は著作権者に専属的に認められています(著作権法第27条)。そのため、著作権者の許可なく二次創作物を公開・販売する行為は、原則として著作権侵害に該当します。

特に問題となるのが、以下のような行為です。

①SNSに二次創作イラストを投稿する

②同人誌を製作し、イベントやオンラインショップで販売する

③二次創作を利用したグッズを制作・販売する

これらの行為は、ファン活動の範囲を超えて営利性が高まる場合、著作権侵害として摘発される可能性が高くなりますので注意が必要です。

3 例外として許可されるケース

著作権者が二次創作に対するガイドラインを設けている場合、一定の条件下で創作活動が許可されることがあります。たとえば、「非営利目的に限る」「特定のプラットフォームで公開する場合のみ認める」などの条件が付されていることが多いです。活動を始める前に必ず公式ガイドラインを確認しましょう。

4 トラブルを避けるための注意点

①権利者の許可を得る
音楽や映画、キャラクターの使用については、著作権者または管理団体(例:JASRAC)から許可を取得することが必要です。

②ガイドラインを確認する
二次創作や動画投稿においては、著作権者が公開している利用ガイドラインを遵守することが大切です。

③引用のルールを守る
動画や映画の一部を利用する場合は、引用の要件を正しく理解し、それを満たす範囲で利用しましょう。

④公式素材を活用する
公式が提供するフリー素材や音源を利用することで、侵害のリスクを回避できます。

5 思わぬ著作権侵害トラブルに巻き込まれないために

二次創作や音楽・映画の一部を使用した動画投稿は、創作活動や情報発信を楽しむための手段として広く親しまれています。

しかしながら、これらの行為には著作権侵害のリスクが伴うことを忘れてはなりません。

トラブルを未然に防ぐためにも、著作権法の基本を理解し、慎重に行動することが重要です。万が一問題が生じた場合は、速やかに専門家に相談することをお勧めします。

インターネット上の著作権侵害

2025-02-10

SNSや匿名掲示板では、多くの方が日常的に情報やコンテンツを発信しています。

しかしながら、気軽な気持ちで投稿した内容が著作権法に違反してしまうケースが後を絶ちません。

本日は、著作権侵害の具体的な事例や注意点について解説します。

1 著作権侵害とは?

著作権は、創作者が自らの著作物を他者に無断で利用されないよう保護するための権利です(著作権法第17条)。著作物には、文章、写真、音楽、映像、イラストなど、多岐にわたる創作物が含まれます。

著作権侵害が成立する主なケースとしては、「無断で複製、翻案、配布、公開」する行為が挙げられます(著作権法第21条〜28条)。特に、SNSや匿名掲示板に投稿した内容が他人の著作物に該当する場合、悪意がなくても侵害にあたる可能性がありますので注意が必要です。

2 具体的な事例

以下は、SNSや匿名掲示板でよく見られる著作権侵害の具体例です。

①他人の画像や動画の無断転載
あるユーザーが、人気アーティストのコンサート写真や映画のスクリーンショットをSNSに投稿し、「好きだからシェアしただけ」と主張しました。このような行為は、原則として著作権者の許諾が必要です。たとえ非営利目的であっても、著作権法第21条(複製権)や第23条(公衆送信権)の侵害に該当する可能性があります。

②引用ルールを守らない投稿
匿名掲示板で他人の記事やブログの一部をコピーして投稿し、その内容について議論が行われることがあります。

著作権法第32条では「引用」が認められていますが、この場合、適切な範囲や引用元の明示が必要です。これを守らずに「全文転載」や「元の文脈を歪めた使用」を行うと、著作権侵害となるリスクが高まります。

3 SNSや匿名掲示板で投稿する際の注意点

①「ネットにあるものは自由に使える」は誤解
インターネット上に公開されている画像や動画であっても、それを勝手に使用することは著作権侵害にあたる場合があります。

②二次創作には許諾が必要
キャラクターや物語を使用した二次創作を公開する際は、著作権者の公式ガイドラインや許可を確認することが重要です。

③引用のルールを守る
正当な引用を行う際には、「引用部分が主従関係にあること」「引用元を明示すること」が必要です。

④SNS運営者のガイドラインを確認する
SNSや匿名掲示板の利用規約には、著作権に関する条項が含まれています。これを無視すると、アカウント停止などの制裁を受ける可能性もあります。

4 インターネット上の著作権侵害にはご注意ください

SNSや匿名掲示板での気軽な投稿が、思いもよらず著作権侵害となることは少なくありません。 こうしたリスクを避けるためには、著作権法の基本を理解し、慎重に行動することが重要です。不用意なトラブルを防ぐためにも、投稿する前に著作物の取り扱いについて確認し、必要であれば専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

インターネット上の商標権侵害

2025-02-05

SNSや匿名掲示板といったオンラインプラットフォームでは、多くの方が気軽に意見を発信し、情報を共有しています。しかしながら、この自由な発信が商標権を侵害する行為につながるケースが少なくありません。特に「知らず知らずのうちに侵害していた」という事例が増加しており、そのリスクを理解しておくことは非常に重要です。

本日は、具体的な事例を交えてご説明いたします

1 商標権侵害とは?

商標権は、特許法や著作権法と並ぶ知的財産権の一種で、特定の商品やサービスを他の商品やサービスと区別するための目印ともいえる商標を保護するための権利です。

この権利を第三者が侵害すると、民事責任や刑事責任が発生する可能性があります(商標法第37条、第78条など)。

例えば、他人の登録商標を無断で使用し、商品やサービスを販売したり宣伝したりすることは明確な侵害行為に該当します。しかしながら、もっと微妙なケースであっても侵害が成立する可能性がありますので注意が必要です。

2 具体的な事例

以下に、よくある商標権侵害の事例をいくつか紹介します。

①ハンドメイド商品の販売における商標使用
あるユーザーが人気ブランドのロゴを模倣したデザインをアクセサリーに使用し、SNSで販売していたケースがあります。この場合、「人気ブランド風」という意図であっても、登録商標を無断で使用しているため侵害に該当する可能性があります。

②商品レビューにおけるロゴ画像や名称の使用
匿名掲示板で特定ブランドの商品レビューを投稿する際、商標が含まれる画像を無断で添付したり、商標権者の許可を得ずにその名称を頻繁に使用する行為も、誤認混同を引き起こす可能性があるため問題となることがあります。

特に営利目的で投稿が行われた場合には、商標権の侵害に該当するリスクは高まります。

③パロディやファンアートの投稿
あるキャラクターやブランドをモチーフにしたファンアートをSNSに投稿し、さらにそのデザインをグッズ化して販売した事例もあります。

この場合、商標として登録されている場合には、デザインの一部が似ているだけでも侵害と判断されることがあります。

3 商標権侵害となる投稿を回避するために重要なこと

①商標登録の有無を確認する
投稿前に、自分が扱うロゴやブランド名が商標権で保護されていないか確認しましょう。

②画像やロゴの使用に注意する
他人の商標が含まれる(可能性のある)画像やデザインを無断で使用しないことが大切です。

③営利目的の行為を控える
商標権者の許可を得ないまま、販売や宣伝に結びつく行為をしないようにしましょう。

4 商標権侵害にはご注意ください

SNSや匿名掲示板での発信は、自由である反面、法的な責任も伴います。

不用意な投稿が商標権侵害に該当しないよう、十分な注意を払うことが大切です。万が一、侵害に関するトラブルに巻き込まれた場合は、速やかに弁護士に相談することをお勧めします。

知的財産権に注意して投稿を行いましょう

2025-01-31

本日は、SNSや匿名掲示板などでの投稿が、知的財産権を侵害する場合のリスクについて、具体的な事例を交えながらご説明いたします。

1 知的財産権とは?

知的財産権とは、特許権、著作権、商標権など、創作やアイデアを保護する法律上の権利の総称です。これらの権利は、創作者や発明者がその成果を独占的に利用する権利を保障し、不正利用を防ぐために設けられています。

SNSや匿名掲示板での投稿は、これらの権利を侵害する可能性がある行為に該当することが少なくありません。不用意な投稿が招く問題を具体的に見てみましょう。

2 具体的な事例

①事例1 著作権の侵害『他人の作品の無断使用』
あるユーザーが、人気の漫画やアニメの画像をSNSに投稿しました。

この投稿には加工したセリフや自作のコメントが添えられていましたが、原作者や出版社に無断で使用されたものでした。その画像は瞬く間に拡散され、投稿者には「ファンアートのつもりだった」との弁明がありました。

しかしながら、このような投稿は著作権法違反に該当する可能性があります。著作権は、原則として作者の許諾なしに利用できません。たとえ加工したとしても、原作を基にした二次創作は著作権侵害となる場合がありますので、十分注意が必要です。

②事例2 商標権の侵害『ブランドロゴの無断使用』
ある個人が、匿名掲示板において人気ブランドのロゴを使用したオリジナルグッズの画像を投稿し、販売リンクを共有しました。

ブランドの公式商品ではないことが明らかでしたが、購入希望者が集まり、結果的に商標権者から警告を受けました。
このような投稿は、商標権の侵害に該当する可能性が非常に高いです。商標権はブランドの識別性を保護する権利であり、無許可で使用した場合は損害賠償請求や刑事罰の対象となる可能性があるため、安易な投稿は非常にリスクが高いと言えます。

3 投稿時に注意すべきポイント

インターネット上で知的財産権を侵害する投稿をすることを避けるためには、以下の点に注意することが重要です。

①権利者の許諾を得る
他人の作品や技術を使用する場合は、事前に権利者の許可を取る必要があります。

②引用ルールを守る
著作物を引用する場合は、出典を明示し、公正な範囲内で行うことが求められます。

③商標やロゴに注意する
特に営利目的で使用する場合、商標権を侵害するリスクが高まります。

④独自の創作を心がける
他人の権利に頼ることなく、自分自身のオリジナルコンテンツを作成することが最善の防衛策です。

4 不用意な投稿は避け、安全なインターネットの利用を心がけましょう

SNSや匿名掲示板は、情報発信が簡単で便利なツールですが、その分、知的財産権を侵害するリスクも高まります。不用意な投稿が法的トラブルを引き起こすことのないよう、慎重な行動を心がけましょう。

問題が発生した場合や、投稿内容についての不安がある場合は、専門家である弁護士にご相談ください。権利侵害を未然に防ぎ、安全にインターネットを利用することが重要です。

他者のプライバシーに配慮した投稿を心がけましょう

2025-01-26

本日は、SNSや匿名掲示板などにおいて行った投稿が、プライバシー権侵害に該当するリスクについて、具体的な事例を交えながらご説明します。

1 プライバシー権とは?

プライバシー権は、個人の私生活上の情報を他人から干渉されないことを指します。

現在の日本の法律では、明確な「プライバシー権」を規定する法律は存在しませんが、憲法13条に基づく幸福追求権や民法上の不法行為に基づいて保護されています。

プライバシー権の侵害は、第三者が本人の同意なく、私生活上の事実や個人情報を公表した場合に成立する可能性があります。特に、インターネット上の投稿は半永久的に残り、拡散されやすいため、その影響は重大です。

2 具体的な事例

以下は、過去に問題となった事例を元に、プライバシー権侵害が発生する状況を説明します。

①事例1 匿名掲示板での個人情報の暴露
ある匿名掲示板において、特定の個人に関する情報(本名、住所、職場、家族構成など)が投稿されました。この情報は、投稿者が被害者と個人的なトラブルを抱えていたために書き込まれたものですが、第三者によって拡散され、被害者は職場で嫌がらせを受ける事態に発展してしましました。
このような書き込みは、プライバシー権侵害に該当し、書き込み内容によっては、投稿者には名誉毀損罪や損害賠償責任が発生する場合もありますので、十分注意が必要です。

②事例2 SNSでの写真共有
SNS上で、友人同士の飲み会の写真を無断で投稿したところ、後になって写っていた一人が「この写真を公開してほしくなかった」と不快感を示しました。

写真には、会社の同僚が知られたくないプライベートな内容(例:交際関係)が含まれており、結果的にその同僚が職場で不利益を被ることになりました。

よくあるトラブルではありますが、本人の許可を得ずに写真を公開した場合、プライバシー権侵害として損害賠償請求の対象となる可能性がありますので、注意が必要です。

3 プライバシー権侵害がもたらすリスク

SNSや匿名掲示板における不用意な投稿は、以下のような深刻なリスクを招くことがあります。

①民事上の法的責任
被害者から損害賠償請求を受ける可能性があります。

特に名誉毀損や精神的苦痛による慰謝料は相当程度の金額になる場合があります。

②刑事上の法的責任
悪意ある投稿が侮辱罪や名誉毀損罪に該当する場合、刑事罰として罰金や懲役刑が科される可能性があります。

③社会的信用の失墜
投稿者自身が名誉毀損やプライバシー権を侵害する投稿が周囲に発覚することで、社会的信用を失い、就職や人間関係に悪影響を及ぼす可能性があります。

4 インターネット上の投稿にはご注意ください

SNSや匿名掲示板での投稿は手軽で便利な反面、プライバシー権侵害や名誉毀損といった法的責任が発生するリスクが伴います。

不用意な投稿が引き起こす問題は、投稿者本人にも重大な影響を及ぼす可能性があります。

インターネット上での行動には十分な注意を払い、他人の権利を侵害しないよう心がけましょう。何かお困りの際は、ぜひ弁護士にご相談ください。

名誉毀損の参考事例その3

2025-01-21

インターネットでの自由な情報発信は便利ですが、その裏にある法的責任を軽視すると思わぬトラブルを招くことがあります。今回は、SNSや匿名掲示板での投稿が引き起こした具体例(実際の事例からは変更を加えております)をご紹介し、そのリスクと対策について考えてみたいと思います。

1 事例①飲食店への虚偽の口コミ投稿

ある飲食店のオーナーHさんは、匿名のSNS投稿で「この店の料理には異物が入っていた」「店員の態度が最悪」といった内容の批判を受けました。この投稿は瞬く間に拡散され、店の評判は大きく傷つき、売上が急激に落ち込みました。

Hさんは、店舗内の監視カメラや従業員の証言を基に調査を進め、これらの投稿が事実無根であることを証明。さらに、SNS運営会社に情報開示請求を行った結果、投稿者は近隣で競合する別の飲食店の関係者Iさんであることが判明しました。

裁判所は、Iさんの行為がHさんの営業利益を損なう意図的な名誉毀損行為であると認定し、200万円の損害賠償を命じました。

2 事例②学生に対する根拠のない批判

大学生Jさんは、ある掲示板で「試験でカンニングをしている」「不正に成績を上げている」などの虚偽の投稿をされました。この情報は大学内で広まり、Jさんは友人関係や教員との信頼を大きく損なう結果となりました。

Jさんは、大学や掲示板の管理者と協力して情報開示請求を行い、投稿者が同じ大学のKさんであることを特定。Kさんは、個人的な嫉妬心から虚偽の投稿を行ったと認めました。
裁判所は、Kさんの投稿がJさんの名誉を傷つけたと判断し、損害賠償金50万円と、Jさんへの正式な謝罪を命じました。

3 不用意な投稿が引き起こすリスク

名誉毀損行為が訴えられると、以下のような重大な影響が発生します。

①高額な損害賠償のリスク
名誉毀損が認められた場合、数十万円から数百万円の賠償金を命じられることがあります。

②刑事罰の可能性
名誉毀損罪が成立すれば、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

③投稿者の身元が特定されるリスク
匿名であっても、プロバイダ責任制限法に基づく開示請求によって投稿者が特定される可能性があります。

4 インターネット上の投稿には十分ご注意ください

インターネットでの情報発信は私たちに多くの利便性をもたらしますが、その反面、慎重さを欠いた投稿が深刻なトラブルを引き起こすことがあります。特に虚偽の情報を拡散する行為は、被害者だけでなく加害者自身の人生にも重大な影響を及ぼします。

万が一、名誉毀損の問題に巻き込まれた場合や、不安を感じる場合は、早急に弁護士などの専門家にご相談ください。安全で健全なインターネット利用を心掛け、トラブルを未然に防ぎましょう。

名誉毀損の参考事例その2

2025-01-16

SNSや匿名掲示板は、私たちが自由に意見を発信し、情報を共有できる便利なツールです。しかし、不用意な投稿が名誉毀損や誹謗中傷とみなされ、法的責任を問われるケースが後を絶ちません。

今回は、別の具体的な事例(実際の事例からは変更を加えております)をもとに、その危険性について考えてみましょう。

1 事例①個人の職業や経歴に対する誹謗中傷

ある医療関係者のDさんは、匿名掲示板に「資格を偽っている」「患者を騙している」といった投稿をされました。この投稿が拡散され、Dさんのクリニックには患者からの問い合わせや予約キャンセルが相次ぎ、経営に大きな打撃を受けました。

調査の結果、投稿者はかつてDさんとトラブルがあったEさんであることが判明。裁判所は、投稿内容が事実無根であり、Dさんの社会的評価を著しく低下させたと認定しました。最終的に、Eさんには300万円の損害賠償と投稿の削除命令が下されました。

2 事例②教育機関への根拠のない批判

ある小学校の教師Fさんは、SNSで「授業中に暴言を吐いている」「児童を叱責しすぎる」といった内容の投稿をされました。これらの投稿を見た保護者たちが学校に抗議を寄せ、Fさんの職務が妨げられる事態に発展しました。

学校側の調査で、これらの投稿は元職員Gさんによるものだと判明。GさんはFさんを個人的に嫌っていたため、このような投稿を繰り返していました。

裁判では、Gさんが事実と異なる内容を投稿してFさんを貶めたとして、50万円の損害賠償と謝罪文の公開が命じられました。

3 トラブルを招く不用意な投稿を避けるためのポイント

SNSや掲示板でのトラブルを避けるために、以下の点に注意しましょう。

①投稿前に冷静になる
感情的になっているときの投稿は誤解を招きやすいです。一度落ち着いてから内容を見直しましょう。

②匿名性を過信しない
匿名掲示板であっても、投稿者は特定される可能性があります。匿名性に頼りすぎないことが重要です。

③他者への配慮を忘れない
公開する投稿が他者を不快にさせたり、誤解を与えたりする内容でないか、第三者の視点で確認しましょう。

4 インターネット上の投稿にはくれぐれもご注意ください

SNSや匿名掲示板での不用意な投稿が、名誉毀損や誹謗中傷のトラブルを引き起こす可能性は決して低くありません。特に匿名性を盾にしても、法的な追及から逃れることは難しいのが現状です。

もし、投稿に関する問題でお困りの方や、名誉毀損の被害に遭った方は、早めに専門家にご相談ください。法的知識に基づく適切なアドバイスを受けることで、事態を解決する糸口が見つかるはずです。

名誉毀損の参考事例その1

2025-01-11

近年、SNSや匿名掲示板を利用した誹謗中傷や名誉毀損が社会問題となっています。

インターネットは気軽に情報を発信できる便利なツールですが、その反面、不用意な投稿が深刻な法的問題を引き起こすリスクも潜んでいます。

本日では、参考事例(実際の事例からをベースに変更を加えております)を交えながら、投稿の危険性と注意点についてご説明いたします。

1 そもそも、名誉毀損とは?

名誉毀損とは、特定の個人等の社会的評価を低下させる表現を行うことを指します。

日本では、刑法第230条や民法第709条等が、名誉毀損に関係する法規定となります。

匿名でのインターネット上の書き込みも例外ではなく、加害者が特定された場合には、被害者が刑事告訴や民事上の損害賠償請求を行うことも可能です。

2 事例①~SNSにおける誹謗中傷~

あるケースでは、AさんがBさんについて「詐欺師」「違法行為を繰り返している」などとSNSで発言しました。この発言がきっかけでBさんは信用を失い、取引先との契約を打ち切られる事態に発展しました。
裁判では、Aさんの投稿が事実に基づいておらず、Bさんの社会的評価を低下させたことが認定されました。Aさんには100万円の損害賠償が命じられた上、投稿の削除と謝罪文の公開も命じられました。

3 事例②~匿名掲示板での名誉毀損~

ある匿名掲示板において、ある人物がCさんに関する根拠のない噂を投稿しました。

具体的には、「不倫している」「仕事をサボっている」といった内容が繰り返し書き込まれ、Cさんは精神的苦痛を被りました。

そこで、Cさんは、掲示板の運営会社を通じて投稿者の情報開示を受け、投稿者を特定した上で、民事裁判において損害賠償請求を行いました。

この裁判では、投稿者に対し50万円の賠償と、投稿内容の削除が命じられました。

4 不用意な投稿がもたらすリスク

これらの事例からわかるように、SNSや匿名掲示板での投稿が名誉毀損と認定された場合には、以下のようなリスクが伴います。

①損害賠償責任
数十万円から数百万円の賠償金が課される可能性があります。金額は投稿内容や被害者の損害の程度に応じて変動します。

②刑事罰のリスク
刑法第230条により、侮辱罪や名誉毀損罪に問われる場合があります。

名誉毀損罪が成立すると、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

③社会的信用の失墜
名誉毀損が訴訟沙汰になれば、訴えられた事実が周囲に知られるリスクがあります。匿名性が担保されるとは限りません。

5 インターネット上の投稿には十分ご注意ください

SNSや匿名掲示板での発信は、私たちの日常に欠かせないものとなっていますが、その自由の裏には責任が伴います。

不用意な投稿が法的トラブルや社会的信用の失墜を招く危険性を、決して軽視しないでください。万が一、自身の投稿が問題になった場合や、被害を受けた場合は、早急に専門家へご相談ください。

名誉毀損と侮辱の違いと注意点

2025-01-06

今回は、「名誉毀損」と「侮辱」という、どちらも他人の名誉を傷つける行為に関連する法律上の概念について、その違いを具体例を交えてご説明いたします。

1 名誉毀損とは

名誉毀損は、他人の社会的評価を低下させるような事実を「公然と」示す行為を指します。刑法第230条に規定されており、民事でも損害賠償請求の根拠となる場合があります。

名誉毀損が成立する要件としては、

①他人の社会的評価を低下させる行為であること

②「事実」を摘示していること(虚偽・真実を問わず)

③公然と行われていること(不特定多数が知り得る状態)

例えば、以下のようなケースが該当します。

「●さんは過去に詐欺事件で逮捕されたことがある」とSNSで書き込むケース(真実であっても名誉毀損に該当する場合がある)

また、匿名掲示板で特定の飲食店について「食中毒を出した」と事実無根の投稿をする等

これらは、被害者の社会的評価を低下させるため、民事上、刑事上の法的責任の対象となる可能性があります。

2 侮辱とは

一方、侮辱とは、特定の事実を示さなくても、他人を軽蔑し、公然とその名誉を傷つける行為を指します。刑法第231条に規定されています。

侮辱が成立する要件としては、

①社会的評価を低下させる「事実」を示さず、単なる悪口や軽蔑的表現であること

②公然と行われていること

例えば、以下のようなケースが該当します。

路上で「バカ」「この無能が!」と大声で罵るケースや、SNSで「●さんは本当に嫌な奴だ」等と書き込むケース

このような場合、事実を伴わない単なる侮辱的な言葉でも、刑法上の侮辱罪に問われる可能性があります。

3 インターネット上に投稿する際の注意点

名誉毀損と侮辱は、インターネット上で特に問題になりやすい行為です。

匿名で行ったとしても、被害者が発信者情報開示請求等の法的手続きを取ることで投稿者が特定され、民事上の損害賠償や刑事責任を問われるリスクがあります。

これらを防ぐためには、まずは以下の点に注意することから始める必要があります。

①感情的な投稿を控える

怒りや不満をそのままネットに投稿するのは非常に危険です。

②事実であっても投稿するかどうかは極めて慎重に判断する

真実を述べたとしても、それが相手の名誉を傷つける可能性がある場合、責任を問われる可能性があります。

③匿名でも責任が発生するケースが多くあること

SNSや掲示板での匿名投稿でも、法的手続きにより特定されます。

ネット上での発言は一瞬で広まり、取り返しのつかない事態を招くことがあります。

投稿する前に一度冷静になり、自分の発言が他人の名誉や感情にどう影響を与えるかをよく考えることが重要です。

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