Archive for the ‘インターネットトラブル全般’ Category
他者のプライバシーに配慮した投稿を心がけましょう
本日は、SNSや匿名掲示板などにおいて行った投稿が、プライバシー権侵害に該当するリスクについて、具体的な事例を交えながらご説明します。
1 プライバシー権とは?
プライバシー権は、個人の私生活上の情報を他人から干渉されないことを指します。
現在の日本の法律では、明確な「プライバシー権」を規定する法律は存在しませんが、憲法13条に基づく幸福追求権や民法上の不法行為に基づいて保護されています。
プライバシー権の侵害は、第三者が本人の同意なく、私生活上の事実や個人情報を公表した場合に成立する可能性があります。特に、インターネット上の投稿は半永久的に残り、拡散されやすいため、その影響は重大です。
2 具体的な事例
以下は、過去に問題となった事例を元に、プライバシー権侵害が発生する状況を説明します。
①事例1 匿名掲示板での個人情報の暴露
ある匿名掲示板において、特定の個人に関する情報(本名、住所、職場、家族構成など)が投稿されました。この情報は、投稿者が被害者と個人的なトラブルを抱えていたために書き込まれたものですが、第三者によって拡散され、被害者は職場で嫌がらせを受ける事態に発展してしましました。
このような書き込みは、プライバシー権侵害に該当し、書き込み内容によっては、投稿者には名誉毀損罪や損害賠償責任が発生する場合もありますので、十分注意が必要です。
②事例2 SNSでの写真共有
SNS上で、友人同士の飲み会の写真を無断で投稿したところ、後になって写っていた一人が「この写真を公開してほしくなかった」と不快感を示しました。
写真には、会社の同僚が知られたくないプライベートな内容(例:交際関係)が含まれており、結果的にその同僚が職場で不利益を被ることになりました。
よくあるトラブルではありますが、本人の許可を得ずに写真を公開した場合、プライバシー権侵害として損害賠償請求の対象となる可能性がありますので、注意が必要です。
3 プライバシー権侵害がもたらすリスク
SNSや匿名掲示板における不用意な投稿は、以下のような深刻なリスクを招くことがあります。
①民事上の法的責任
被害者から損害賠償請求を受ける可能性があります。
特に名誉毀損や精神的苦痛による慰謝料は相当程度の金額になる場合があります。
②刑事上の法的責任
悪意ある投稿が侮辱罪や名誉毀損罪に該当する場合、刑事罰として罰金や懲役刑が科される可能性があります。
③社会的信用の失墜
投稿者自身が名誉毀損やプライバシー権を侵害する投稿が周囲に発覚することで、社会的信用を失い、就職や人間関係に悪影響を及ぼす可能性があります。
4 インターネット上の投稿にはご注意ください
SNSや匿名掲示板での投稿は手軽で便利な反面、プライバシー権侵害や名誉毀損といった法的責任が発生するリスクが伴います。
不用意な投稿が引き起こす問題は、投稿者本人にも重大な影響を及ぼす可能性があります。
インターネット上での行動には十分な注意を払い、他人の権利を侵害しないよう心がけましょう。何かお困りの際は、ぜひ弁護士にご相談ください。
名誉毀損の参考事例その3
インターネットでの自由な情報発信は便利ですが、その裏にある法的責任を軽視すると思わぬトラブルを招くことがあります。今回は、SNSや匿名掲示板での投稿が引き起こした具体例(実際の事例からは変更を加えております)をご紹介し、そのリスクと対策について考えてみたいと思います。
1 事例①飲食店への虚偽の口コミ投稿
ある飲食店のオーナーHさんは、匿名のSNS投稿で「この店の料理には異物が入っていた」「店員の態度が最悪」といった内容の批判を受けました。この投稿は瞬く間に拡散され、店の評判は大きく傷つき、売上が急激に落ち込みました。
Hさんは、店舗内の監視カメラや従業員の証言を基に調査を進め、これらの投稿が事実無根であることを証明。さらに、SNS運営会社に情報開示請求を行った結果、投稿者は近隣で競合する別の飲食店の関係者Iさんであることが判明しました。
裁判所は、Iさんの行為がHさんの営業利益を損なう意図的な名誉毀損行為であると認定し、200万円の損害賠償を命じました。
2 事例②学生に対する根拠のない批判
大学生Jさんは、ある掲示板で「試験でカンニングをしている」「不正に成績を上げている」などの虚偽の投稿をされました。この情報は大学内で広まり、Jさんは友人関係や教員との信頼を大きく損なう結果となりました。
Jさんは、大学や掲示板の管理者と協力して情報開示請求を行い、投稿者が同じ大学のKさんであることを特定。Kさんは、個人的な嫉妬心から虚偽の投稿を行ったと認めました。
裁判所は、Kさんの投稿がJさんの名誉を傷つけたと判断し、損害賠償金50万円と、Jさんへの正式な謝罪を命じました。
3 不用意な投稿が引き起こすリスク
名誉毀損行為が訴えられると、以下のような重大な影響が発生します。
①高額な損害賠償のリスク
名誉毀損が認められた場合、数十万円から数百万円の賠償金を命じられることがあります。
②刑事罰の可能性
名誉毀損罪が成立すれば、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
③投稿者の身元が特定されるリスク
匿名であっても、プロバイダ責任制限法に基づく開示請求によって投稿者が特定される可能性があります。
4 インターネット上の投稿には十分ご注意ください
インターネットでの情報発信は私たちに多くの利便性をもたらしますが、その反面、慎重さを欠いた投稿が深刻なトラブルを引き起こすことがあります。特に虚偽の情報を拡散する行為は、被害者だけでなく加害者自身の人生にも重大な影響を及ぼします。
万が一、名誉毀損の問題に巻き込まれた場合や、不安を感じる場合は、早急に弁護士などの専門家にご相談ください。安全で健全なインターネット利用を心掛け、トラブルを未然に防ぎましょう。
名誉毀損の参考事例その2
SNSや匿名掲示板は、私たちが自由に意見を発信し、情報を共有できる便利なツールです。しかし、不用意な投稿が名誉毀損や誹謗中傷とみなされ、法的責任を問われるケースが後を絶ちません。
今回は、別の具体的な事例(実際の事例からは変更を加えております)をもとに、その危険性について考えてみましょう。
1 事例①個人の職業や経歴に対する誹謗中傷
ある医療関係者のDさんは、匿名掲示板に「資格を偽っている」「患者を騙している」といった投稿をされました。この投稿が拡散され、Dさんのクリニックには患者からの問い合わせや予約キャンセルが相次ぎ、経営に大きな打撃を受けました。
調査の結果、投稿者はかつてDさんとトラブルがあったEさんであることが判明。裁判所は、投稿内容が事実無根であり、Dさんの社会的評価を著しく低下させたと認定しました。最終的に、Eさんには300万円の損害賠償と投稿の削除命令が下されました。
2 事例②教育機関への根拠のない批判
ある小学校の教師Fさんは、SNSで「授業中に暴言を吐いている」「児童を叱責しすぎる」といった内容の投稿をされました。これらの投稿を見た保護者たちが学校に抗議を寄せ、Fさんの職務が妨げられる事態に発展しました。
学校側の調査で、これらの投稿は元職員Gさんによるものだと判明。GさんはFさんを個人的に嫌っていたため、このような投稿を繰り返していました。
裁判では、Gさんが事実と異なる内容を投稿してFさんを貶めたとして、50万円の損害賠償と謝罪文の公開が命じられました。
3 トラブルを招く不用意な投稿を避けるためのポイント
SNSや掲示板でのトラブルを避けるために、以下の点に注意しましょう。
①投稿前に冷静になる
感情的になっているときの投稿は誤解を招きやすいです。一度落ち着いてから内容を見直しましょう。
②匿名性を過信しない
匿名掲示板であっても、投稿者は特定される可能性があります。匿名性に頼りすぎないことが重要です。
③他者への配慮を忘れない
公開する投稿が他者を不快にさせたり、誤解を与えたりする内容でないか、第三者の視点で確認しましょう。
4 インターネット上の投稿にはくれぐれもご注意ください
SNSや匿名掲示板での不用意な投稿が、名誉毀損や誹謗中傷のトラブルを引き起こす可能性は決して低くありません。特に匿名性を盾にしても、法的な追及から逃れることは難しいのが現状です。
もし、投稿に関する問題でお困りの方や、名誉毀損の被害に遭った方は、早めに専門家にご相談ください。法的知識に基づく適切なアドバイスを受けることで、事態を解決する糸口が見つかるはずです。
名誉毀損の参考事例その1
近年、SNSや匿名掲示板を利用した誹謗中傷や名誉毀損が社会問題となっています。
インターネットは気軽に情報を発信できる便利なツールですが、その反面、不用意な投稿が深刻な法的問題を引き起こすリスクも潜んでいます。
本日では、参考事例(実際の事例からをベースに変更を加えております)を交えながら、投稿の危険性と注意点についてご説明いたします。
1 そもそも、名誉毀損とは?
名誉毀損とは、特定の個人等の社会的評価を低下させる表現を行うことを指します。
日本では、刑法第230条や民法第709条等が、名誉毀損に関係する法規定となります。
匿名でのインターネット上の書き込みも例外ではなく、加害者が特定された場合には、被害者が刑事告訴や民事上の損害賠償請求を行うことも可能です。
2 事例①~SNSにおける誹謗中傷~
あるケースでは、AさんがBさんについて「詐欺師」「違法行為を繰り返している」などとSNSで発言しました。この発言がきっかけでBさんは信用を失い、取引先との契約を打ち切られる事態に発展しました。
裁判では、Aさんの投稿が事実に基づいておらず、Bさんの社会的評価を低下させたことが認定されました。Aさんには100万円の損害賠償が命じられた上、投稿の削除と謝罪文の公開も命じられました。
3 事例②~匿名掲示板での名誉毀損~
ある匿名掲示板において、ある人物がCさんに関する根拠のない噂を投稿しました。
具体的には、「不倫している」「仕事をサボっている」といった内容が繰り返し書き込まれ、Cさんは精神的苦痛を被りました。
そこで、Cさんは、掲示板の運営会社を通じて投稿者の情報開示を受け、投稿者を特定した上で、民事裁判において損害賠償請求を行いました。
この裁判では、投稿者に対し50万円の賠償と、投稿内容の削除が命じられました。
4 不用意な投稿がもたらすリスク
これらの事例からわかるように、SNSや匿名掲示板での投稿が名誉毀損と認定された場合には、以下のようなリスクが伴います。
①損害賠償責任
数十万円から数百万円の賠償金が課される可能性があります。金額は投稿内容や被害者の損害の程度に応じて変動します。
②刑事罰のリスク
刑法第230条により、侮辱罪や名誉毀損罪に問われる場合があります。
名誉毀損罪が成立すると、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。
③社会的信用の失墜
名誉毀損が訴訟沙汰になれば、訴えられた事実が周囲に知られるリスクがあります。匿名性が担保されるとは限りません。
5 インターネット上の投稿には十分ご注意ください
SNSや匿名掲示板での発信は、私たちの日常に欠かせないものとなっていますが、その自由の裏には責任が伴います。
不用意な投稿が法的トラブルや社会的信用の失墜を招く危険性を、決して軽視しないでください。万が一、自身の投稿が問題になった場合や、被害を受けた場合は、早急に専門家へご相談ください。
名誉毀損と侮辱の違いと注意点
今回は、「名誉毀損」と「侮辱」という、どちらも他人の名誉を傷つける行為に関連する法律上の概念について、その違いを具体例を交えてご説明いたします。
1 名誉毀損とは
名誉毀損は、他人の社会的評価を低下させるような事実を「公然と」示す行為を指します。刑法第230条に規定されており、民事でも損害賠償請求の根拠となる場合があります。
名誉毀損が成立する要件としては、
①他人の社会的評価を低下させる行為であること
②「事実」を摘示していること(虚偽・真実を問わず)
③公然と行われていること(不特定多数が知り得る状態)
例えば、以下のようなケースが該当します。
「●さんは過去に詐欺事件で逮捕されたことがある」とSNSで書き込むケース(真実であっても名誉毀損に該当する場合がある)
また、匿名掲示板で特定の飲食店について「食中毒を出した」と事実無根の投稿をする等
これらは、被害者の社会的評価を低下させるため、民事上、刑事上の法的責任の対象となる可能性があります。
2 侮辱とは
一方、侮辱とは、特定の事実を示さなくても、他人を軽蔑し、公然とその名誉を傷つける行為を指します。刑法第231条に規定されています。
侮辱が成立する要件としては、
①社会的評価を低下させる「事実」を示さず、単なる悪口や軽蔑的表現であること
②公然と行われていること
例えば、以下のようなケースが該当します。
路上で「バカ」「この無能が!」と大声で罵るケースや、SNSで「●さんは本当に嫌な奴だ」等と書き込むケース
このような場合、事実を伴わない単なる侮辱的な言葉でも、刑法上の侮辱罪に問われる可能性があります。
3 インターネット上に投稿する際の注意点
名誉毀損と侮辱は、インターネット上で特に問題になりやすい行為です。
匿名で行ったとしても、被害者が発信者情報開示請求等の法的手続きを取ることで投稿者が特定され、民事上の損害賠償や刑事責任を問われるリスクがあります。
これらを防ぐためには、まずは以下の点に注意することから始める必要があります。
①感情的な投稿を控える
怒りや不満をそのままネットに投稿するのは非常に危険です。
②事実であっても投稿するかどうかは極めて慎重に判断する
真実を述べたとしても、それが相手の名誉を傷つける可能性がある場合、責任を問われる可能性があります。
③匿名でも責任が発生するケースが多くあること
SNSや掲示板での匿名投稿でも、法的手続きにより特定されます。
ネット上での発言は一瞬で広まり、取り返しのつかない事態を招くことがあります。
投稿する前に一度冷静になり、自分の発言が他人の名誉や感情にどう影響を与えるかをよく考えることが重要です。
名誉毀損に該当する投稿にはご注意ください
インターネットトラブルは増加の一途をたどっており、中高生や場合によっては小学生以下の年齢でトラブルに巻き込まれることも多くあると言うのが実情です。
本日はSNSや匿名掲示板などにおいて名誉毀損に該当する投稿を行うことのリスクについて民事・刑事の両面からご説明いたします。
1 名誉毀損とは
名誉毀損とは、端的に言うと、他人の社会的評価を低下させる表現を公開する行為を指します。例えば、特定の個人を誹謗中傷したり、虚偽の情報を流布したりする行為がこれに該当します。
このような行為は、日本の法律において、民事、刑事の両面から規制されています。
2 民事上のリスク
まず、民事上の法的責任についてですが、
①損害賠償請求
名誉毀損の被害を受けたと感じた個人等は、投稿者に対して損害賠償を請求することができます。この損害賠償には、精神的な苦痛に対する慰謝料や、名誉回復のための費用が含まれます。
②投稿の削除請求
被害者は、裁判所を通じて、名誉毀損に該当する投稿の削除を求めることができます。
特にSNSや掲示板の運営会社が対応しない場合、裁判手続きを通じて強制的に削除を実現することが可能です。
③投稿者を特定するための発信者情報開示請求
匿名で投稿を行った場合でも、被害者は裁判所に対して投稿者の特定を求めることができます。運営会社やプロバイダーは裁判所の命令により、投稿者のIPアドレスや個人情報を開示する義務があります。
民事事件では、投稿者が「真実を述べたに過ぎない」と主張しても、その情報が公然と広める必要がなかった場合等、名誉毀損が成立する可能性があります。
3 刑事上のリスク
次に刑事上の法的責任についてですが、
①名誉毀損罪(刑法230条)
名誉毀損罪が成立する場合、3年以下の懲役もしくは禁錮、または50万円以下の罰金が科される可能性があります。この罪は「公然と事実を摘示し、他人の名誉を毀損する」行為が対象となります。
②侮辱罪(刑法231条)
具体的な事実を示さずとも、単なる悪口や侮辱的な表現でも刑事責任が問われる場合があります。侮辱罪では、拘留または科料の処罰が科される可能性があります。
③偽計業務妨害罪や威力業務妨害罪(刑法233条、234条)
虚偽の情報を拡散し、それによって特定の会社や個人の業務に支障を与えた場合、これらの罪に問われる可能性があります。
4 インターネット上の投稿にはくれぐれもご注意ください
SNSや匿名掲示板は便利なコミュニケーションツールですが、その使用には責任が伴います。名誉毀損が成立すると、民事・刑事の両面で厳しい責任を追及される可能性があります。投稿前に一呼吸おいて、冷静に内容を確認する習慣をつけましょう。 法的トラブルに巻き込まれないよう、投稿内容には十分注意してください。不安や疑問があれば、専門家に相談することをおすすめします。
イカサマ商品という表現
昨今インターネットの幅広い普及で、インターネットは老若男女問わず利用されております。
このような状況は、幅広い意見が提起されるという側面からは良いことですが、その一方で、安易な名誉毀損や誹謗中傷を含む様々な権利侵害が多数発生してしまっているという問題もあり、この問題は社会問題となっております。
本日は、この問題を考える際に参考となる裁判例(東京地判令和元年8月28日)をご紹介いたします(なお、ご紹介の都合上、概要の記載にとどめております。)。
1 事案の概要
ペット用サプリメントの販売等を営む原告が、被告がインターネット上のサイトにおいて、原告に関してイカサマ商品を販売している等と投稿したことについて、名誉権を侵害するものとして被告に対して損害賠償請求を行った事案です。
2 裁判所の判断
①「原告の販売する本件商品は「詐欺商品」「イカサマ商品」であって,原告は薬効のない本件商品を犬の7種類の癌と腎不全,てんかんに効くかのように虚偽の宣伝広告をして販売している」との事実が広く流布されているものと認められるから、被告による本件各記事の投稿は、原告の名誉・信用を故意に毀損するものとして、不法行為に当たるというべきである。
②本件各記事は、「原告は薬効のない本件商品を犬の7種類の癌と腎不全,てんかんに効くかのように虚偽の宣伝広告をして販売している」との事実を流布するものと認められるところ、このような事実が真実であることを認めるに足りる証拠はない。
上記の裁判所の判断は、一般的な感覚からしても自然な判断であると思われます。
自分自身としては公益目的等をもっていたとしても、客観的な裏付けのない事実を投稿等してしまうと、名誉毀損に該当することは避けられません。
3 インターネット上での表現行為には十分ご注意ください
投稿した人物にとっては、公益目的での批判やそこまでにはいかずに単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないという自覚のもとに行われたものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。 インターネット上に何らかの投稿を行う場合には、まずはその投稿を行って問題となるかどうかを冷静に考えることが何よりも重要である点には再度ご注意ください。
身体的特徴と名誉毀損
昨今インターネットの幅広い普及で、インターネットは老若男女問わず利用されております。また、SNSや各種の匿名掲示板といったインターネット上の場において、様々な内容について個人が意見を表明することも容易になっております。
このような状況は、幅広い意見が提起されるという側面からは良いことですが、その一方で、安易な名誉毀損や誹謗中傷を含む様々な権利侵害が多数発生してしまっているという問題もあり、この問題は社会問題となっております。
本日は、この問題を考える際に参考となる裁判例(東京地判令和元年10月30日)をご紹介いたします(なお、ご紹介の都合上、概要の記載にとどめております。)。
1 事案の概要
原告が、インターネット上のサイトにおいて、自身に関して「わきが」等と掲載されたことがプライバシー権及び名誉権を侵害するものとして、アクセスプロバイダに対して、発信者情報開示請求を行った事案です。
2 裁判所の判断
①わきがであるという情報は、一般人の感受性を基準にして他人に知られたくないと感じる私的な事柄であると認められるから、本件記事1は、原告のプライバシー権を侵害するものと認められる。
②「貸した金かえせー」とある部分は、一般閲覧者の通常の注意と読み方を基準とすると、同記事の投稿者が原告に対して金員を貸し付けたが返済を受けるべき時期を過ぎても返済を受けていないとの事実を摘示していると理解されるものというべきであり、上記記載は原告の社会的評価を低下させてその名誉を毀損するものと認められる。
3 インターネット上での表現行為には十分ご注意ください
投稿した人物にとっては、公益目的での批判やそこまでにはいかずに単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないという自覚のもとに行われたものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。
また、昨今の状況を踏まえて、非常に簡易な罵倒表現であっても名誉毀損などに該当すると判断される場合も多くあり、自分としては問題ないと判断して行った投稿であっても、ネガティブな内容を含む表現には危険が伴うことは十分に注意する必要があります。 インターネット上に何らかの投稿を行う場合には、まずはその投稿を行って問題となるかどうかを冷静に考えることが何よりも重要である点には再度ご注意ください。
元芸能人に対する名誉毀損
昨今インターネットの幅広い普及で、インターネットは老若男女問わず利用されております。また、SNSや各種の匿名掲示板といったインターネット上の場において、様々な内容について個人が意見を表明することも容易になっております。
このような状況は、幅広い意見が提起されるという側面からは良いことですが、その一方で、安易な名誉毀損や誹謗中傷を含む様々な権利侵害が多数発生してしまっているという問題もあり、この問題は社会問題となっております。
本日は、この問題を考える際に参考となる裁判例(東京地判令和元年11月7日)をご紹介いたします(なお、ご紹介の都合上、概要の記載にとどめております。)。
1 事案の概要
以前グラビアアイドル活動を行っていたXが、インターネット上のサイトにおいて、自身の生育状況や素行などについて虚偽の事実を掲載されて名誉権が侵害されたことを理由として、アクセスプロバイダに対して、発信者情報開示請求を行った事案です。
2 裁判所の判断
①同摘示に係る事実は、原告の成長過程における経済的状況や未成年の頃の就労状況が劣悪であったことをうかがわせるものであるから、その社会的評価を低下させることは明らかである。
②同事実は、原告が一時の感情によって非常識な行動に及んだことをうかがわせるものであるから、その社会的評価を低下させるものであることは明らかである。
③これらの表現は、原告が深刻な精神疾患等に罹患しているかのような表現にとどまらず、異常な行動を行っていることを頭が壊れているとか、薬物中毒であるなどとして侮辱しているものであり、そのような表現は著しく原告の名誉感情を侵害するものであるし、その表現自体を見ても断定的かつ攻撃的な記載を並べているものであり、言論としての社会的相当性を大きく逸脱しているものとして、名誉権侵害に当たるといえる。
3 インターネット上での表現行為には十分ご注意ください
投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。
また、昨今の状況を踏まえて、非常に簡易な罵倒表現であっても名誉毀損などに該当すると判断される場合も多くあり、自分としては問題ないと判断して行った投稿であっても、ネガティブな内容を含む表現には危険が伴うことは十分に注意する必要があります。 インターネット上に何らかの投稿を行う場合には、まずはその投稿を行って問題となるかどうかを冷静に考えることが何よりも重要である点には再度ご注意ください。
元郵便局職員に対する名誉毀損
昨今インターネットの幅広い普及で、インターネットは老若男女問わず利用されております。また、SNSや各種の匿名掲示板といったインターネット上の場において、様々な内容について個人が意見を表明することも容易になっております。
このような状況は、幅広い意見が提起されるという側面からは良いことですが、その一方で、安易な名誉毀損や誹謗中傷を含む様々な権利侵害が多数発生してしまっているという問題もあり、この問題は社会問題となっております。
本日は、この問題を考える際に参考となる裁判例(東京地判令和元年11月7日)をご紹介いたします(なお、ご紹介の都合上、概要の記載にとどめております。)。
1 事案の概要
郵便局に勤務していたXは、インターネット上のサイトにおいて「犯罪者の名前+犯罪名」などと表示され、本件各投稿には、「脅迫」、「ストーカー」、「変態男」、「個人情報使って脅迫」、「貯金の顧客情報を勝手に持ち出している」などと記載されことを理由として、アクセスプロバイダに対して発信者情報開示請求を行った事案です。
2 裁判所の判断
①本件各投稿は、Xの氏名や、勤務地の郵便局名等が記載されており、本件各投稿がXのことを指すものであることは明白である。
②摘示事実からすれば、上記の各投稿は、原告が、職務上知り得た事実を悪用して、脅迫及びストーカー行為に及ぶ反社会的な行動傾向のある人物であるとの印象を一般の閲読者に与え、原告の社会的評価を低下させるものというべきである。
③原告は、その名誉権又は名誉感情を侵害されており、そのため、原告は、上記各投稿を投稿した本件発信者に対する損害賠償を請求するために、本件発信者の情報の開示を求めているものと認められる。そのため、正当事由が認められる。
3 インターネット上での表現行為には十分ご注意ください
投稿した人物にとっては、単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。
また、昨今の状況を踏まえて、非常に簡易な罵倒表現であっても名誉毀損などに該当すると判断される場合も多くあり、自分としては問題ないと判断して行った投稿であっても、ネガティブな内容を含む表現には危険が伴うことは十分に注意する必要があります。 インターネット上に何らかの投稿を行う場合には、まずはその投稿を行って問題となるかどうかを冷静に考えることが何よりも重要である点には再度ご注意ください。
« Older Entries