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オンラインゲームにおけるトラブルと利用規約・法律の関係
オンラインゲームは今や子どもから大人まで幅広い世代に浸透し、エンタメやコミュニケーションの一手段として欠かせない存在となりました。しかし、仮想空間の中でも「現実の法」は無関係ではありません。アイテム詐欺や誹謗中傷、アカウント売買など、ゲーム内トラブルが現実の法的責任に発展するケースも少なくないのです。今回は、オンラインゲームで起こりがちなトラブルと、利用規約および法的責任の関係について解説します。
1 よくあるオンラインゲームのトラブル例
①アイテム詐欺
「レアアイテムをあげる」と言って相手にゲーム内通貨や装備を渡させた後、一方的に取引を破棄する行為
②アカウント乗っ取り・不正アクセス
他人のログイン情報を盗用し、勝手にゲームにアクセスする行為
③アカウント売買
高レベルアカウントや希少アイテム付きのアカウントを第三者に販売する行為。
④誹謗中傷・暴言チャット
チャット機能での暴言や差別発言、SNSでの晒し行為。
⑤課金トラブル
未成年の高額課金、親の同意のない支払い、返金要求など。
2 利用規約と法的拘束力
オンラインゲームの運営会社は、必ず「利用規約」を定めており、ユーザー登録時にこれへの同意が求められます。この利用規約は、民法上の「契約」として法的効力を持つものであり、規約違反があった場合にはアカウント停止・削除、損害賠償請求などの措置がとられることがあります。
たとえば、「アカウントの譲渡・売買を禁止する」という規定があれば、たとえプレイヤー同士の合意があっても、契約違反として処分対象になります。
3 法的責任が問われるケース
①不正アクセス禁止法違反
他人のアカウントにログインする行為は、不正アクセス禁止法により3年以下の懲役または100万円以下の罰金に処される可能性があります。
②詐欺罪(刑法246条)
アイテム詐欺等で、相手の信頼を欺いて財産的利益(ゲーム内通貨等)を得た場合、実体経済との結びつき次第で詐欺罪に問われる可能性があります。
③名誉毀損・侮辱・業務妨害罪
ゲーム内外の誹謗中傷や晒し行為が悪質な場合、刑事責任(刑法230条、231条など)や民事上の損害賠償が発生し得ます。
4 裁判例:オンラインゲームでの損害賠償が認められたケース
ある裁判例では、オンラインゲーム内でアバターを晒し、侮辱的な言葉で誹謗中傷を繰り返したユーザーに対して、人格権の侵害が認定され、約30万円の慰謝料が命じられました。
この事例は、ゲーム内の発言であっても現実の法的責任を伴うことを明確に示しています。
仮想空間だからといって、現実世界と切り離された“無法地帯”ではありません。オンラインゲーム内の行為であっても、刑法や民法上の責任が発生することを意識する必要があります。
また、利用規約の読み飛ばしや安易なアカウント取引が、将来的に不利益を招くこともあります。トラブルに巻き込まれた場合や、自らが誤って違法行為をしてしまった可能性がある場合は、早めに専門家へご相談ください。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
ネット上のなりすましレビューと刑事・民事責任
飲食店、医療機関、宿泊施設、ECサイトなど、あらゆる業種でネットレビューが重要な影響力を持つようになった現代。その中で、「なりすまし」による虚偽のレビュー投稿が社会問題となっています。他人を装って好意的または悪意的な評価を投稿する行為は、法的に重大な責任を問われる可能性があります。本記事では、なりすましレビューの具体例と、それに伴う刑事・民事の法的リスクを解説いたします。
1 なりすましレビューとは?
なりすましレビューとは、次のような行為を指します。
①他人の名前・写真・勤務先情報などを使ってレビューを投稿
②実在する顧客・患者・取引先を装い、虚偽の内容を投稿
③第三者のふりをして、自社に高評価・競合に低評価を投稿
④SNSや掲示板で「○○さんがこう言っていた」と虚偽記載する
これらの行為は「発言者の身元を偽る」点で悪質性が高く、単なる口コミを超えたなりすまし行為=違法行為として取り扱われます。
2 適用される法的責任
①名誉毀損罪・信用毀損罪(刑法230条、233条)
他人を装って、その人物に不利な情報を流す行為は、名誉毀損罪または信用毀損罪に該当する可能性があります。企業や医療機関などが標的となった場合には、業務妨害罪(刑法234条)も問題となります。
②不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)
虚偽のレビューによって、営業上の信用や社会的評価を失った場合、損害賠償(慰謝料、売上減少分、弁護士費用等)を請求される可能性があります。
③プラットフォーム利用規約違反
レビューサイトやGoogleマップなどの利用規約では、「虚偽の身元での投稿」を禁止しており、アカウント停止やIP制限等の措置が講じられることもあります。
3 裁判例:なりすましレビューによる損害賠償命令
ある裁判例では、他人の名前を用いてある美容クリニックに対して「最悪の対応だった」「効果がない」とする虚偽レビューを投稿したユーザーに対して、名誉毀損・信用毀損が認定され、80万円の損害賠償命令が下されました。
この裁判例では、「口コミという形式を用いても、人格権を侵害する表現は許されない」と明確に述べられています。
4 被害を受けた場合の対応
①証拠保全
スクリーンショット、投稿日時、IPアドレス(開示が可能な場合)などを保存します。
②削除申請
プラットフォームに対し、規約違反・虚偽記載・なりすましを理由に削除を申し立てます。
③発信者情報開示請求
投稿者が匿名である場合、IPアドレスを特定し、プロバイダへ契約者情報の開示請求を行うことが可能です。
④損害賠償請求・刑事告訴
投稿者が特定された場合、民事・刑事の両面から法的責任を追及することができます。
ネットレビューは、言論の自由の下で一定の保護を受けますが、それは**「正しい情報に基づいた誠実な評価」であることが前提**です。
なりすましによって評価を偽装することは、他者の権利を侵害し、重大な違法行為として厳しく追及される可能性があることを忘れてはなりません。
事業者の方は、虚偽のレビューを見つけたら、放置せずに速やかに削除申請と証拠保全を行い、必要に応じて法的措置を検討されることをお勧めします。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
ネット中継と肖像権・プライバシーの境界線
スマートフォンひとつでライブ配信やストリーミング中継が可能となった現代では、個人が街中やイベント会場でリアルタイムに撮影・発信を行う機会が増えています。便利で楽しい一方で、知らないうちに他人を撮影・配信してしまい、「肖像権侵害」や「プライバシー侵害」といった法的問題に発展するケースも少なくありません。今回は、ネット中継における法的リスクと許される範囲について解説します。
1 ライブ配信・中継におけるリスクの実例
①通行人が映り込んだままライブ配信
②飲食店内の様子を無断で中継し、他の客の顔や会話が映る
③自宅からの配信で、家族や同居人の姿・声が含まれている
④学校行事や会社のイベントを許可なくリアルタイム配信
⑤ストリートパフォーマンスの観客や演者を無断撮影
このような中継では、第三者の肖像や私生活情報が本人の同意なく公開されることが問題になります。
2 肖像権とプライバシー権の基本
肖像権とは、本人の承諾なく自己の容貌・姿態を撮影・公表されない権利です(判例上確立された人格権の一部)。
プライバシー権とは、私生活上の情報をみだりに公開されない権利を指します。
ネット中継では、「映った人物が誰か識別可能であるか」「プライベートな空間で撮影されているか」が、法的に重要な判断要素となります。
3 裁判例:ライブ配信による肖像権侵害の認定
ある裁判例では、街頭で配信された動画に通行人の顔がはっきり映り、SNSで拡散された事案について、「本人の同意なく肖像をインターネット上に公開したことは違法」として、配信者に対し20万円の損害賠償が命じられました。
この事案は、公共の場所であっても一定の配慮を欠いた撮影・配信は違法と評価され得ることを示すものです。
4 トラブルを防ぐためのポイント
①撮影・配信の前に「周囲の状況」を確認する
②第三者が映る可能性がある場合はモザイクや編集を施す
③プライベート空間での撮影は、同席者の同意を得る
④子どもや未成年者が映る場合は、親権者の同意を取る
⑤通報や削除要請には速やかに対応する
「公共の場所だから撮影しても大丈夫」と思われがちですが、ネットに投稿・配信することは「公表」という別の行為であり、個人の権利を侵害することがあります。
とりわけ、ライブ配信は“編集できない”という性質上、法的トラブルに直結しやすい点に注意が必要です。
自身の発信で第三者の権利を侵害していないか、事前に一度立ち止まって考える習慣が、トラブル防止の第一歩です。問題が起こった場合は、速やかに削除と法的対応を検討し、必要に応じて弁護士に相談しましょう。

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“違法ダウンロード”を巡る法的リスクと誤解
インターネット上には音楽、映画、漫画、書籍などのコンテンツが溢れており、「無料で見られる・聴けるサイト」やアプリも数多く存在します。しかし、これらの中には著作権を侵害する違法アップロードサイトも多く、利用者が“ただダウンロードしただけ”であっても刑事罰の対象となる可能性があることをご存知でしょうか?本記事では、違法ダウンロードに関する法的リスクと、よくある誤解を解説いたします。
1 違法ダウンロードとは?
著作権法により、違法にアップロードされた著作物を知りながらダウンロードする行為は、原則として違法となります。特に以下のようなコンテンツが対象です。
①海賊版の映画・音楽・漫画・書籍
②テレビ番組の録画動画
③有料コンテンツの無断アップロード
令和2年の著作権法改正により、静止画(漫画の1コマ等)や文章なども違法ダウンロードの対象に拡大され、個人利用目的であっても処罰対象になる場合があります。
2 刑事罰の可能性
違法ダウンロードのうち、音楽・映像に関するコンテンツを反復継続的に行った場合は刑罰が科される可能性があります。
刑事告訴が必要な「親告罪」ではありますが、摘発例も存在し、教育機関等でも注意喚起が行われています。
3 よくある誤解と落とし穴
①「アップロードしてないからセーフ」?
→ 誤りです。ダウンロードするだけでも違法となる場合があります。
②「バレないから大丈夫」?
→ 違法サイトやアプリの利用履歴、接続情報はログに残ります。大規模な摘発で利用者が特定されることもあります。
③「無料アプリに出てたから大丈夫」?
→ アプリやサイトの見た目が正規に見えても、違法にアップロードされたコンテンツが含まれていればダウンロードは違法です。
④「スクリーンショットや録画ならOK」?
→ 著作権者の許諾なしに画像・動画を保存・共有する行為も、私的利用の範囲を超えれば違法となる場合があります。
4 裁判例:違法ダウンロードと民事責任
ある裁判例では、有料漫画を無断アップロードしたサイトから漫画を大量にダウンロードしていた利用者に対し、著作権者が損害賠償請求を提起。裁判所は「違法アップロードと知りながら利用した」と認定し、30万円の損害賠償を命じました。
この事例は、刑事責任だけでなく民事的な賠償責任も生じることを示しています。
5 違法ダウンロードを避けるためのポイント
①公式サイト・正規サービス(Netflix、Amazon、Spotify等)を利用する
②「無料」「無制限」などの広告には要注意
③著作権表示のあるサイトであっても中身を精査する
④子ども・学生の利用端末にもフィルタリングや制限を設ける
違法ダウンロードは「軽い気持ち」で行われがちですが、刑事・民事のリスクは決して軽視できません。 特に、家庭内で子どもが使用している端末でのトラブルも多く、保護者の管理責任も問われる可能性があります。
一方で、知らずに利用してしまった場合や、警告書などを受け取った場合には、冷静に状況を整理し、弁護士に相談することが適切な対応への第一歩です。

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生成AIによる偽情報の拡散と法的問題
近年、ChatGPTをはじめとする生成AIの発展により、誰でも簡単に文章・画像・動画などのコンテンツを自動生成できる時代が到来しました。しかし、この技術の利便性とは裏腹に、AIが作成した偽情報や誤解を招く内容が無批判に拡散され、名誉毀損や風評被害を引き起こす事例も急増しています。本記事では、生成AIによって作られた偽情報の法的リスクと、実務上の対応について解説します。
1 生成AIによる偽情報とは?
生成AIは、インターネット上の膨大な情報をもとに学習しています。そのため、以下のような誤情報や誤認識に基づく生成が行われることがあります。
①実在しない人物の犯罪歴を“事実”として記述
②実在する法人・店舗について、根拠のない悪評を出力
③著名人や一般人の発言を“発言した”と誤って記述
④虚構のニュース記事や裁判例を“実在するもの”として紹介
こうした生成物がそのままSNSやブログで引用・拡散された場合、重大な法的責任が発生する可能性があります。
2 法的に問題となる行為
①名誉毀損・信用毀損(民法709条、刑法230条等)
AIが出力した情報が虚偽であっても、それを拡散したユーザーが名誉毀損の加害者とされる場合があります。情報の正誤を確認せず投稿・拡散した場合、過失責任が問われる余地があります。
②著作権侵害
AIが生成した画像・文章が、既存の著作物を模倣・複製していた場合、それを使用・公開することで著作権侵害が成立することもあります。
③プライバシー権侵害・肖像権侵害
実在する人物の顔写真をAIが加工・生成し、ネガティブな文脈で拡散した場合には、人格権の侵害が問われることがあります。
3 裁判例・実務対応の動き
現時点では生成AIに関する直接的な判例は多くありませんが、類似の構造をもつ判例は存在します。たとえば、ネット上に存在しない記事の要約を信じて、特定の企業を中傷した投稿に対して損害賠償が認められたケースがあります。
また、2023年以降、経済産業省・消費者庁・文化庁などが「生成AIの適正利用に関するガイドライン」を整備しつつあり、拡散者の注意義務・確認義務の重要性が今後さらに高まる見込みです。
4 トラブルを避けるためのチェックポイント
①AIが出力した情報は必ず一次情報で裏取りする(公式サイト・報道など)
②生成された画像や文章をそのまま公開・販売しない
③第三者の名前・顔・所属情報が含まれる場合は特に慎重に扱う
④万一虚偽情報を拡散してしまった場合は速やかに削除・謝罪する
生成AIは非常に強力なツールですが、「自動で出力されたから責任はない」という言い訳は通用しません。出力結果を利用・発信する者が、その内容に対して一定の責任を負うという考え方が、今後の法的判断のスタンダードとなっていくでしょう。
万が一、AIによる偽情報が原因で被害を受けた場合や、逆に拡散してしまった可能性がある場合には、早期に専門家へ相談することが、トラブル拡大を防ぐ第一歩となります。

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掲示板・SNSでの“実名晒し”と法的責任
匿名でのやり取りが主流であるインターネット空間において、他人の「実名」を晒す(公開する)行為は、重大なプライバシー侵害や名誉毀損に該当し得る違法行為です。「正当な理由があるから」「自分も被害を受けたから」といった動機があったとしても、実名晒しは極めて高い法的リスクを伴います。本記事では、掲示板・SNS上での実名晒しと、その法的責任について解説します。
1 実名晒しが問題となる典型例
①事件やトラブルの当事者の実名・勤務先・住所を投稿
②被害を受けた相手を名指しで告発
③喧嘩・クレーム・恋愛トラブルの当事者情報を晒す
④匿名掲示板での「○○は●●会社に勤務している」などの書き込み
これらは「ネット私刑」と呼ばれることもあり、社会的制裁を与える目的で個人情報を公表する行為として問題視されています。
2 プライバシー権と名誉権の侵害
実名晒しは、主に以下の法的権利を侵害する可能性があります。
①プライバシー権の侵害
個人の氏名・職業・住所・学歴などの情報は、原則として本人の同意なく公表してはならない「私生活情報」に該当します。たとえ公的情報であっても、晒す文脈や影響によっては違法となることがあります。
②名誉毀損(民事・刑事)
事実が真実であるか否かを問わず、実名とともに否定的な情報(不倫、借金、暴力など)を投稿する行為は、社会的評価を下げる行為として名誉毀損と評価される可能性が高いです。
3 裁判例:実名晒しと損害賠償命令
ある裁判例では、個人の実名とともに「過去にいじめをしていた」とする投稿が匿名掲示板に掲載された事案において、名誉毀損およびプライバシー侵害が認定され、投稿者に50万円の損害賠償が命じられました。
このように、「事実だから」としても、晒すこと自体が違法とされる場合があります。
4 実名を晒された側の対応策
①投稿の証拠保全
スクリーンショットやURLを保存し、投稿日時と内容を記録します。
②削除申請・仮処分申立て
SNS運営者・掲示板管理者に削除を申請し、応じない場合は裁判所に仮処分を申し立てます。
③発信者情報開示請求
匿名投稿者の特定を行い、損害賠償請求や刑事告訴を進めることができます。
④名誉毀損・プライバシー侵害による損害賠償請求
精神的苦痛の慰謝料、弁護士費用などの請求が可能です。
感情的な怒りや正義感から「実名を晒してやりたい」という衝動に駆られることはあるかもしれません。しかし、実名晒しは違法行為であり、自らが加害者になるリスクを負う行為です。
逆に、実名を晒された被害者側は、泣き寝入りすることなく、法律を通じて救済を求める道があります。特に、仕事・家庭・人間関係などに支障が出る場合は、早期に弁護士へ相談することを強くおすすめします。

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インターネットにおける“バズる”と著作権・商標権の意外なリスク
SNSや動画投稿サイトで「バズる(=爆発的に拡散される)」ことは、個人や企業の知名度向上に繋がる一方で、他人の権利を侵害してしまうリスクもはらんでいます。軽い気持ちで使用した画像やフレーズが、実は著作権や商標権を侵害していたというケースも多く、拡散後にトラブルへ発展する例も少なくありません。本記事では、「バズる」に潜む知的財産権の落とし穴について解説します。
1 著作権侵害の典型例
①有名キャラクターやイラストの無断使用
たとえば、アニメキャラクターの画像を使ってコラ画像を作成し、SNSに投稿する行為は、著作物の複製・公衆送信に該当し、著作権侵害にあたる可能性があります。
②他人の撮影した画像・映像の転載
TwitterやYouTubeから拾ってきた動画や写真を、出典を示さず「自分のコンテンツ」として使用すると、原則として違法です。
③楽曲や音声の無断使用
TikTokやInstagram Reelsなどで、J-POPなどの市販楽曲をBGMに使用する場合、原則として権利者の許諾が必要です。
2 商標権の意外な落とし穴
「〇〇る」「△△活」など、バズワードやキャッチフレーズの中には、実は商標登録されているものもあります。以下のようなケースが問題となり得ます。
①他人が登録した商標を、自社商品やキャンペーンに無断で使用
②登録商標を含んだハッシュタグを使って販促を行う
③パロディ的に商標を用いたTシャツや雑貨を制作・販売
これらは、商標権侵害に該当するおそれがあり、損害賠償や差止請求の対象となることがあります。
3 裁判例:SNS投稿が著作権侵害と認定された事例
ある裁判例では、人気イラストレーターが描いたキャラクター画像を無断でTシャツに印刷・販売したユーザーに対し、著作権侵害が認定され、200万円の損害賠償が命じられました。
この事件では、たとえバズによって注目を集めた商品であっても、「他人の著作物を勝手に使った」ことが法的責任の中心になった点が注目されます。
4 バズる投稿を行う際の注意点
①使用する画像・音源・フレーズの権利確認を行う
「フリー素材」「商用利用可」などの明示がない限り、無断使用は避けましょう。
②出典・クレジットの明記
正当に使用している場合でも、作者や出所を明記することでトラブル防止になります。
③「パロディ」や「オマージュ」でも注意
ユーモアのつもりであっても、権利者が不快に感じれば侵害とされることがあります。
④商標の使用には特に注意
企業名やブランド、バズワードを無断で商品化・販促に使用することは避けましょう。
SNSで注目を集めることは、クリエイターや事業者にとって大きなチャンスですが、「著作権や商標権を尊重する」という基本が欠けていては、拡散がそのまま“法的リスクの拡大”につながってしまいます。
バズ投稿をする前には、一呼吸置いて「この画像・音楽・言葉は使って大丈夫か?」と立ち止まって確認する習慣を持つことが大切です。不安な場合は、早めに専門家にご相談ください。

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ネット上の悪質レビューと店舗・事業者の対処法
Googleマップや食べログ、楽天レビューなど、口コミ投稿がビジネスの集客や評価に直結する時代。好意的なレビューが集まれば売上が伸びる一方、虚偽や悪意あるレビューによって風評被害を受ける事業者も少なくありません。今回は、ネット上に投稿された悪質レビューへの法的対処法を、実例とともに解説いたします。
1 悪質レビューとは?
口コミ自体は表現の自由の範囲内ですが、次のような投稿は違法性を帯びる可能性があります。
①事実無根の内容(「虫が出た」「異物が入っていた」等の虚偽)
②利用していない者による投稿
③競合他社などによる営業妨害目的の書き込み
④過剰に侮辱的な表現(「最低の店」「人間のクズ」など)
これらは名誉毀損、信用毀損、業務妨害など、刑事・民事両面の違法行為に該当する可能性があります。
2 裁判例:虚偽レビューによる損害賠償命令
ある裁判例では、実際に来店していない人物が飲食店に対し、「不衛生」「態度が悪い」といった虚偽のレビューを投稿した件について、裁判所は名誉毀損を認定。投稿者に対して50万円の損害賠償命令を下しました。
この裁判例では、利用実績のない者による虚偽の投稿が「営業上の信用・評価を著しく傷つけた」と評価されました。
3 プラットフォームへの削除申請
多くの口コミサイトや検索エンジンでは、ガイドライン違反に該当するレビューについて削除申請が可能です。以下のような文言で申請を行うと、削除される可能性が高まります。①「虚偽の内容であり、営業妨害を受けている」
②「実際に来店・利用された形跡がない」
③「競合店舗と思われる人物による悪意ある書き込みである」
申請には投稿内容の具体的な反論や、営業記録などの証拠が添付されると効果的です。
4 投稿者の特定と損害賠償請求
悪質なレビュー投稿者が匿名の場合、発信者情報開示請求によって投稿者のIPアドレスや契約者情報を取得し、損害賠償請求を行うことが可能です。請求には以下のような根拠が用いられます。
①民法709条に基づく不法行為責任(虚偽による名誉毀損・信用毀損)
②刑法230条、233条に基づく刑事責任(名誉毀損罪・業務妨害罪)
裁判を通じて削除と損害賠償を同時に請求することも可能です。
事業者にとってネットレビューは「集客と信頼の命綱」ともいえる存在です。虚偽や悪意のあるレビューを放置すれば、検索結果や評価スコアに悪影響が残り続け、長期的に顧客離れにつながる恐れがあります。
一方で、すべての批判的レビューが違法になるわけではありません。あくまで**「真実に反する」かつ「不当に評価を落とす内容」であるか**がポイントになります。
悪質なレビューを発見した場合は、まず冷静にスクリーンショット等の証拠を確保し、プラットフォームへの削除申請を行うと同時に、必要に応じて弁護士への相談をおすすめします。

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動画投稿サイトでの他人の映り込みと肖像権の侵害
スマートフォンやアクションカメラの普及により、誰もが気軽に動画を撮影・投稿できる時代になりました。観光地やイベント、街中の様子などを映した動画がYouTubeやTikTokなどにアップロードされる一方で、「他人の顔や姿が勝手に映っている」ことを巡るトラブルも増えています。本記事では、動画内での他人の映り込みと肖像権侵害の法的問題について解説いたします。
1 肖像権とは?
肖像権とは、自己の容貌・姿態などを撮影・公表されない権利であり、判例上、人格権の一部として認められています。
肖像権は、芸能人などの有名人だけでなく、一般人にも認められます。無断でその姿を動画に映し、インターネット上に公開することは、本人の同意がない限り、肖像権の侵害と評価される可能性があります。
2 よくある映り込みの例
①街頭インタビューやストリート動画に通行人が明確に映っている
②店舗内撮影で他の客の顔がはっきり映っている
③学校・イベントの様子を撮影した動画に、個人が特定できる児童が映っている
④撮影に同意していない知人や友人を勝手に登場させている
「たまたま映っただけ」「モザイクをかけたから問題ない」と考える人もいますが、特定性がある場合には違法性が問題となります。
3 裁判例:無断撮影・投稿による肖像権侵害の認定
ある裁判例では、ある飲食店での食事中に隣席にいた客が撮影され、その動画がYouTubeに投稿された事案について、「本人の承諾なく特定性を持って撮影・公開されたことが人格権を侵害する」として、投稿者に30万円の損害賠償が命じられました。
この裁判例は、「偶然映り込んだだけ」であっても、状況や映り方によっては肖像権侵害が成立することを明示しています。
4 映り込み被害を受けた場合の対応
①動画の証拠確保(URL・スクリーンショットなど)
映り込みが確認できる画面の記録を保存します。
②削除申請・通報
YouTube等の動画プラットフォームに対し、プライバシー・肖像権侵害を理由に削除を求める申請を行います。
③投稿者への削除要請・警告
状況に応じて、投稿者に対し直接削除を要請することも可能です。場合によっては法的警告書を送付します。
④損害賠償請求・仮処分申立て
悪質な場合や削除に応じない場合、民事訴訟や仮処分により削除命令や損害賠償を請求することが可能です。
動画投稿の自由は大切ですが、他人の権利に配慮しない投稿は「違法」となる可能性があります。 公共の場であっても、個人が特定される映り込みには十分注意を払うべきです。 映り込んでしまったことで不快な思いをした場合、まずは冷静に証拠を保全し、削除請求や相談機関への対応を進めてください。特にお子様や職場の同僚など、映ることで影響を受ける立場にある方が被害に遭った場合は、早めに弁護士へご相談ください。

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SNSアカウントの乗っ取りと被害者の法的救済手段
現代社会において、SNSは個人のコミュニケーションだけでなく、仕事・情報発信・ブランド構築にも活用される重要な手段となっています。しかしその反面、アカウントの「乗っ取り」被害が後を絶ちません。乗っ取りによって個人情報や信頼が損なわれ、なりすまし投稿により被害が拡大するケースもあります。本記事では、SNSアカウントの乗っ取り被害と、法的救済手段について解説します。
1 SNSアカウント乗っ取りとは?
アカウント乗っ取りとは、他人のSNSアカウントに不正にログインし、投稿・プロフィール変更・DM送信などを勝手に行う行為を指します。主な手口には以下があります。
①パスワードの漏洩や弱いパスワードの使用
②フィッシング詐欺によるID・パスワードの詐取
③他サービスとの使い回しによる不正アクセス
④不正なアプリ連携による情報流出
乗っ取られたアカウントは、詐欺や誹謗中傷に利用されることも多く、被害者本人だけでなく、フォロワーや第三者にも影響が及びます。
2 法的にはどのような問題になるか
①不正アクセス禁止法違反
他人のID・パスワードを利用してログインする行為は、不正アクセス行為の禁止等に関する法律(不正アクセス禁止法)により禁止されています。違反した者には刑事罰が科される可能性があります。
②なりすましによる名誉毀損・プライバシー侵害
乗っ取ったアカウントで虚偽の投稿や個人情報の流出が行われた場合、名誉毀損やプライバシー侵害として民事責任を問うことができます。
③損害賠償請求(民法709条)
SNSを業務に利用していた場合には、信用低下や営業損害を理由に損害賠償を請求することも可能です。
3 裁判例:SNSアカウント乗っ取りによる損害賠償
ある裁判例では、元従業員が退職後に前職のSNSアカウントを不正に利用し、なりすまし投稿を行った事案について、裁判所は「不正アクセスと名誉毀損が認められる」とし、被告に150万円の損害賠償を命じました。
この判決は、乗っ取り行為が刑事的にも民事的にも重大な違法行為であることを裏付けています。
4 被害に遭った場合の対応策
①プラットフォームへの通報・復旧申請
SNS運営者に対し、不正アクセスによるアカウント被害であることを報告し、復旧・ログイン制限などの対応を求めます。
②投稿削除・被害拡大の防止
アカウントが回復できる場合は、問題となる投稿の削除やアプリ連携の解除を行いましょう。
③警察への被害届提出
不正アクセス禁止法に基づき、警察へ被害届を提出することが可能です。証拠となるスクリーンショットやログを準備しておきましょう。
④発信者情報開示請求
加害者が誰か特定できない場合でも、ログインIPアドレス等の情報から追跡を行う法的手続があります。
⑤損害賠償請求
業務妨害や名誉毀損が認められる場合には、民事訴訟により損害賠償請求が可能です。
SNSアカウントは現代における“デジタルな人格”ともいえる存在です。乗っ取り行為は単なるイタズラではなく、重大なプライバシー侵害・信用毀損・刑事犯罪に該当し得ます。
被害に気づいたら、まずは冷静に証拠を確保し、運営会社・警察・弁護士と連携して迅速な対処を行うことが重要です。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。