Archive for the ‘インターネットトラブル全般’ Category

ネット上の名誉毀損とその法的リスク

2025-05-31

現代において、SNSや掲示板を通じた情報発信は誰でも容易にできるようになりました。しかし、それに伴って「ネット上での名誉毀損」も急増しています。

今回は、インターネットにおける名誉毀損の法的リスクについて、裁判例も交えて解説します。

1 名誉毀損とは?

名誉毀損とは、事実を摘示し、公然と人の社会的評価を低下させる行為を指します(刑法230条1項)。「事実の摘示」は、必ずしも真実である必要はなく、名誉を害する内容であれば対象となり得ます。例えば、SNS上で「○○は横領していた」と投稿した場合、たとえそれが真実であっても、名誉毀損が成立する可能性があります。

インターネットでは、情報が一瞬で拡散し、半永久的に残る特性があります。また、匿名性の高さから、加害者が責任を軽視しがちです。しかし、法的には匿名であっても、プロバイダ責任制限法に基づいて発信者情報開示請求が可能です。

2 裁判例:匿名掲示板での書き込みと損害賠償責任

ある裁判例では、匿名掲示板にて「○○会社はブラック企業」と投稿された事案について、企業の社会的評価が低下したとして、投稿者に損害賠償命令が下されました。本件では、IPアドレスから発信者が特定され、損害額として数十万円の支払いが命じられています。

3 刑事責任と民事責任

名誉毀損行為には、刑事責任(刑法230条)と民事責任(不法行為に基づく損害賠償、民法709条)が問われ得ます。被害者は、刑事告訴のほか、損害賠償請求や投稿削除請求など、複数の法的手段を取ることが可能です。

いずれも簡単な手続ではありませんが、様々な先例が存在しますので、先例を踏まえて対応を行っていくことになります。

たとえ正義感からであっても、個人名や企業名を出して批判的な情報を投稿する際は、名誉毀損リスクを十分に考慮する必要があります。特に事実関係に確証がない場合は、表現方法に注意しなければなりません。

そもそも、真実であったとしても名誉毀損として法的責任を問われる場合があることを認識されていない方も多いですが、この点はくれぐれも注意する必要があるでしょう。

問題が起こった場合は、早期に弁護士に相談することが、被害拡大を防ぐ第一歩です。

弊事務所では、インターネットトラブルを幅広く取り扱っております。インターネットトラブルでお困りの方は、お気軽にご連絡ください。

ルール違反のゲーム実況動画の投稿とペナルティ

2025-05-26

先日の記事でご紹介しましたが、ゲームプレイ動画をインターネット上に投稿する行為は、エンターテインメントとして広く楽しまれる一方で、法律やメーカーのガイドラインに違反した場合には、様々なリスクが生じる可能性があります。

本日は、「違反時のリスク」に焦点を当ててご説明します。

1 動画削除とアカウント停止

ゲームメーカーが公表している「動画投稿ガイドライン」に違反した場合、最も一般的なリスクは動画の削除要請です。例えば、以下のようなケースが該当します。

①禁止されているゲームのストーリーのネタバレを含む動画を投稿した場合

②ガイドライン外のプラットフォームで収益化を目的とした投稿を行った場合

プラットフォームによっては、メーカーからの削除要請が受理されるとアカウントの停止や制限が科されることもあります。このような措置は、過去に著作権違反を繰り返したユーザーに対して厳しく適用される傾向があります。

2 損害賠償請求

動画の内容がゲームメーカーの知的財産権を侵害していると判断された場合、損害賠償請求を受けるリスクがあります。特に、以下のような場合は注意が必要です。

①著作権で保護されたゲーム音楽や映像を無断で使用した場合

②メーカーが特定のシーンやキャラクターの使用を明示的に禁止しているにも関わらず、それを投稿した場合

裁判となった場合、損害額の算定は難しいものの、収益化していた場合にはその収益が賠償額に加算される可能性があります。また、投稿者の意図が悪質と認定されれば、さらに重い責任を負うこともあります。

3 刑事罰の可能性

著作権法の違反行為には、場合によっては刑事罰が適用されることがあります。たとえば、以下の行為は著作権法違反として刑事罰の対象となり得ます。

①ゲームの映像や音楽を許可なく改変し、それを配布する行為

②複製や改変を繰り返して営利目的で公開する行為

刑事罰が科される場合には、5年以下の懲役または500万円以下の罰金(あるいはその両方)が適用される可能性があります。これにより、単なる趣味での投稿が重大な法的問題に発展するリスクがあります。

4 社会的信用の失墜

違反行為が公になることで、投稿者としての信用が失われることも深刻なリスクの一つです。特に、以下のような影響が考えられます。

①他のゲームメーカーやプラットフォームからの締め出し(除名処分)

②SNSやコミュニティ内での信頼喪失

③将来的な活動におけるスポンサー契約やコラボレーションの機会損失

一度失った信用を取り戻すことは非常に困難であり、特に影響力のある投稿者にとっては致命的となる可能性があります。

5 ルールを守って適切な配信を心がけましょう

ゲームプレイ動画の投稿において違反行為が発覚した場合、法的措置や経済的損失だけでなく、社会的信用や活動の自由を失うリスクが伴います。

これらのリスクを回避するためには、メーカーのガイドラインや関連する法律をしっかりと理解し、遵守することが重要です。

もしご自身の投稿行為が違反に該当するか不安がある場合は、専門家に相談することをお勧めします。投稿の自由とリスクを天秤にかけるのではなく、安全で健全なクリエイター活動を目指しましょう。

ゲームの実況動画を投稿する際の注意点

2025-05-21

昨今、動画配信の中でも人気コンテンツとしてゲームのプレイ動画があります。

しかしながら、ゲームのプレイ動画をインターネットに投稿する際には、注意すべきポイントがいくつかあります。

特に、ゲームメーカーが公表するガイドラインや知的財産権に関する法律を理解し、それを遵守することが重要です。

1 メーカーの公表するガイドラインの確認

まず、ゲームメーカーが提供する「動画投稿ガイドライン」を確認することが出発点です。

多くのメーカーは、自社のゲームコンテンツを使用した動画の投稿に関して、特定の条件付きで許可を与えています。このガイドラインでは、以下のような条件が記載されていることが一般的です。

①動画の商用利用の制限

たとえば、広告収益を得ることが許される場合や、特定のプラットフォームに限定されている場合があります。

②改変の範囲

ゲームの映像や音楽を大幅に改変したり、第三者の権利を侵害する形で利用したりすることが禁止されていることがあります。

③公開できる内容の制限

ゲームのストーリーの核心部分のネタバレや、特定のシーンの公開が禁止されている場合もあるため、注意が必要です。

2 知的財産権の理解

ゲームには、著作権や商標権といった知的財産権が付随しています。

これらの権利を侵害しないよう、以下の点を特に注意しましょう。

①著作権

ゲームの映像、音楽、キャラクターデザインは著作権で保護されています。これらを無断で使用することは、著作権侵害となる可能性があります。ただし、メーカーがガイドラインで許可を与えている場合には、その範囲内で使用することが可能です。

②商標権

ゲームのタイトルやロゴは商標権で保護されている場合があります。

動画のサムネイルやタイトルでこれらを無断で使用することは避けましょう。

他者の権利を侵害しない

ゲーム内で使用されている楽曲やキャラクターデザインが、第三者の権利に基づくものである場合、それらの使用にも注意が必要です。また、他のプレイヤーや実況者の映像、音声を無断で使用することも問題となる可能性があります。

3 公序良俗に反しない内容

投稿する動画が公序良俗に反する内容を含んでいる場合、メーカーから削除要請を受けることがあります。たとえば、暴力的な内容や差別的な表現を含む動画は、社会的に問題視される可能性があります。

4 ルールを守って適切な配信を心がけましょう

ゲームプレイ動画を投稿する際には、必ずメーカーのガイドラインを確認し、それを遵守することが必要です。また、知的財産権を侵害しないよう注意し、他者の権利や公序良俗にも配慮することが重要です。

インターネット上にコンテンツを公開する行為には責任が伴うため、慎重に行動するよう心がけましょう。

動画配信にあたって、少しでも不安な点がある場合には、まずは弁護士等の専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。

高齢者とインターネットトラブル

2025-05-16

インターネットは老若男女問わず便利なツールですが、その一方で、トラブルに巻き込まれるケースも増えています。今回は、高齢者によくあるインターネットトラブルと、それに関連する法的論点について解説します。

1 高齢者によくあるインターネットトラブルの例

高齢者が巻き込まれる、または関与するトラブルには以下のようなものがあります。

①詐欺被害

高齢者をターゲットにしたネット詐欺は後を絶ちません。フィッシングメールや偽通販サイトに誘導され、金銭をだまし取られるケースが典型例です。

②著作権侵害

ファイル共有ソフトやSNSでの画像・音楽の無断使用により、知らないうちに著作権を侵害してしまう場合があります。

③ネット詐欺加担のリスク

悪意のない高齢者が、なりすましメールや偽装されたアプリを利用することで、結果的に他人への詐欺行為に加担してしまうこともあります。

④誹謗中傷や名誉毀損

SNSや掲示板での書き込みが名誉毀損やプライバシー侵害とみなされ、損害賠償請求を受けるケースも見られます。

⑤ネット契約トラブル

定期購入の罠や、解約の難しいオンラインサービスに登録してしまうトラブルもよくあります。

2 高齢者特有の法的論点

①判断能力の問題

高齢者の場合、認知機能の低下や健康状態の影響で契約内容やリスクを正しく理解できないケースがあります。この場合、民法第96条の「意思表示の瑕疵」や、第8条の「成年後見制度」に基づき、契約を取り消したり無効とすることが可能な場合があります。

②詐欺被害における救済

高齢者がインターネット詐欺に遭った場合、詐欺罪(刑法第246条)の立証を目指すほか、不当利得返還請求を行うことで、被害金の一部を回収できる可能性があります。

③監督責任の有無

高齢者が意図せず他者の権利を侵害した場合でも、その行為が故意または過失によるものであれば責任を負うことになります。ただし、判断能力が著しく低下していた場合、責任を問われない可能性もあります。

3 トラブル発生時の対応

高齢者がトラブルに巻き込まれた場合、以下の手順で対応することが重要です。

①事実確認

高齢者本人から事情を聞き取り、どのような行為が問題となっているのかを把握します。

②専門家への相談

トラブルの内容に応じて、弁護士や消費生活センターに相談することで、早期の解決を目指します。

③交渉または法的手続き

詐欺被害であれば被害届を提出し、損害賠償請求が発生している場合は和解交渉を行うことが一般的です。

4 再発防止のために

高齢者が同じトラブルに巻き込まれないためには、以下の対策が有効です:

①インターネットの基本知識の習得

インターネットやSNSの正しい使い方、危険なサインの見分け方を教えることが大切です。

②フィルタリングや利用制限の活用

家族や専門家が支援し、安全な環境を整えることも重要です。

③家族や支援者との連携

高齢者がインターネットを利用する際に相談できる体制を整えることで、トラブルを未然に防ぐことができます。

5 まとめ

高齢者がインターネットトラブルに巻き込まれることは珍しくありませんが、その背景には判断能力の低下やインターネット知識の不足がある場合が多いです。

トラブルに巻き込まれた場合は、早めに弁護士や専門機関に相談し、適切に対処することが大切です。

未成年の子供がファイル共有ソフトを利用してしまった場合

2025-05-11

今回は、未成年の子供がファイル共有ソフトを利用して著作権侵害をしてしまい、著作権者から損害賠償請求を受けた場合の親としての対応についてご紹介します。

未成年者が関与するケースでは、通常の損害賠償請求と異なる法的論点も含まれるため、注意が必要です。

1 まずは事実関係を確認

最初に行うべきことは、子供が本当に著作権侵害を行ったかどうかを確認することです。特に以下の点を調査してください。

①子供がファイル共有ソフトを使用した記録や行動

②著作権侵害に該当する具体的な行為(アップロードまたは配布の有無)

③請求書に記載されている詳細(侵害された著作物や請求額の内訳)

子供自身に確認することも重要ですが、冷静に話し合い、正確な情報を把握してください。

2 未成年者の責任能力について

日本の民法では、未成年者に「責任能力」がない場合、損害賠償責任を負わない可能性があります。責任能力は、一般的に10歳前後を境に、行為の善悪や結果を理解できる能力があるかどうかで判断されます。

仮に子供が責任能力を持たないと判断される場合、親が「監督義務」を果たしていたかどうかが次の焦点となります。

3 親の監督義務とその責任

民法第714条では、責任能力がない未成年者の行為について、親(監督義務者)が適切に監督義務を果たしていなかった場合に賠償責任を負うと規定されています。これには以下が含まれます。

①子供にインターネット利用や著作権に関するルールを十分に教えていたか

②ファイル共有ソフトの利用を監視し、制限していたか

親が適切に監督義務を果たしていたと証明できる場合、損害賠償責任を免れる可能性があります。しかし、監督が不十分だったと判断されると、親が賠償責任を負う可能性があります。

4 損害賠償請求への対応

請求書を受け取った場合、以下の手順で対応することが重要です:

①内容を確認する

請求額が適正か、法的に根拠があるかを確認してください。

②弁護士に相談する

子供の年齢や責任能力、親の監督義務の履行状況に基づき、弁護士が法的な見解を示します。特に請求額が高額な場合は、専門的な助言が不可欠です。

③和解の検討

子供の行為が実際に著作権侵害に該当する場合、著作権者と和解交渉を行うことが多いです。弁護士を通じて、適切な賠償額を提案することが望ましいでしょう。

5 再発防止策を講じる

今回の問題を受けて、再発防止策を講じることも重要です。以下の取り組みを検討してください。

①子供とインターネット利用に関するルールを再確認し、共有する

②著作権や法的責任についての教育を行う

③保護者がフィルタリング機能や利用制限を設定し、利用状況を監視する

6 まとめ

未成年者が著作権侵害を行った場合、法的には子供の責任能力や親の監督義務が問われます。対応を誤ると、不当な賠償請求に応じてしまうリスクがあるため、冷静に事実を確認し、早めに弁護士に相談することが重要です。当事務所では、未成年者が関与する著作権問題についても豊富な経験がありますので、ぜひお気軽にご相談ください。

ファイル共有ソフトを利用してしまった場合

2025-05-06

今回は、ファイル共有ソフトを利用して著作権を侵害してしまい、著作権者側から損害賠償請求を受けた場合の対応についてご紹介いたします。

このような事案は、知らず知らずのうちに著作権法に違反してしまうケースも多く、冷静に適切な対応を行うことが重要です。

1 まずは冷静に内容を確認

損害賠償請求を受けた場合、最初に行うべきことは、その通知書等の内容を冷静に確認することです。通知書には、侵害されたとされる著作物の具体的な情報、請求額、支払い期限などが記載されています。この段階で内容を理解しないまま慌てて支払うことや、放置することは避けましょう。

2 事実関係の確認

次に、自身が本当に著作権侵害を行ったかどうかを確認してください。

以下のポイントを確認することが重要です。

①ファイルをアップロードまたは共有した覚えがあるか

②その行為が著作権法で保護されている著作物に該当するか

③著作権者の権利を侵害する行為に該当するか

もし、自分が行った覚えがない場合や、請求内容が不明瞭な場合は、その旨を著作権者または代理人に伝えるべきです。

3 弁護士に相談

損害賠償請求を受けた場合、専門家である弁護士に相談することも強くお勧めします。

弁護士は、請求の正当性や、請求額が妥当であるかを判断し、適切な対応策を提案します。特に、次のような場合には必ず弁護士の助けを借りてください。

①請求額が高額である場合

②著作権侵害を認めるべきか判断がつかない場合

③著作権者と交渉を行う必要がある場合

4 交渉または法的対応

著作権者からの請求額が過大である場合や、著作権侵害に該当しないと考えられる場合には、弁護士を通じて交渉を行うことが一般的です。

また、和解による解決を目指すことが多いですが、場合によっては裁判となることもあります。裁判では、以下のような点が争点となることがあります。

①著作権侵害が本当に行われたか

②損害額がどの程度であるか

5 再発防止策を講じる

たとえ損害賠償請求が解決したとしても、再び著作権を侵害することがないように注意が必要です。ファイル共有ソフトの利用を控えること、著作権について正しい知識を身につけること、また合法的にコンテンツを利用する方法を検討することが重要です。

損害賠償請求を受けた場合、初期対応が非常に重要です。不適切な対応をしてしまうと、より大きな損害を被る可能性がありますので、まずは落ち着いて内容を確認し、専門家に相談することをお勧めします。 お困りの際は、弁護士等の専門家にご相談いただくことをおすすめいたします。

若年層のオンラインカジノの利用

2025-05-01

近年、インターネットの普及に伴い、若年層によるオンラインカジノへのアクセスが容易になりました。

しかし、そもそもオンラインカジノは日本国内では違法とされる可能性が高く、さらに未成年者が利用することは法律上も問題となります。

今回は、未成年者がオンラインカジノに多額を課金してしまった場合の法的な対応方法や具体的な事例について、ご紹介いたします。

1 オンラインカジノと法律の基本的な知識

日本国内において、オンラインカジノは「賭博行為」に該当する可能性が高いとされています。賭博行為は刑法第185条や186条により禁止されており、利用者はもちろん、運営者も罰せられる可能性があります。

未成年者がオンラインカジノを利用して課金した場合は、以下の2つの側面から問題を捉える必要があります。

①未成年者の契約の取り消し(民法第5条)

未成年者が親の同意なく行った契約は、原則として取り消すことができます。

②オンラインカジノ自体の違法性

違法なサービスでの取引に対しては、そもそも契約自体が無効となる可能性があります(民法第90条「公序良俗違反」)。

2 具体的な事例『中学生がオンラインカジノで50万円課金したケース』

ある中学生が保護者のクレジットカード情報を使い、オンラインカジノで50万円を賭けてしまったケースです。このような場合、どのように対応すればよいでしょうか。

①課金の発覚と証拠の確認

保護者がカード明細を確認したことで課金が発覚しました。

この場合、まずは課金履歴やサイトの利用状況をスクリーンショットで記録する必要があります。

②オンラインカジノ運営元への連絡の検討

運営元に対し、「未成年者による契約の取り消し」を主張することが考えられます。

ただし、海外の運営者であることが多く、そもそも応答がない可能性も十分あります。

③クレジットカード会社への申請

クレジットカード会社に未成年者の不正利用であることを報告し、支払いの停止を求めることは重要な方法の一つです。カード会社側が調査を行い、タイミングによっては返金される場合もあります。

④警察への相談

オンラインカジノが違法であるかどうかを踏まえて、警察に相談することも一つの方法です。

3 未然に防ぐことが非常に重要です

①クレジットカード情報の管理

子供が勝手に利用できないよう、クレジットカードの管理を徹底しましょう。

②インターネットフィルタリングの設定

未成年者が違法サイトにアクセスできないよう、インターネットのフィルタリング機能を導入します。

③子供とのコミュニケーション

オンラインカジノが違法であり、リスクが高いことを子供に説明し、課金や賭博の危険性を理解させることが重要です。

4 冷静な対応を心がけましょう

未成年者がオンラインカジノで課金してしまった場合は、早急に証拠を確保し、クレジットカード会社や弁護士に相談することが重要です。

また、オンラインカジノ自体が違法である可能性が高いため、警察への相談も視野に入れましょう。未然に防ぐための対策を徹底し、家庭内でのルール作りも忘れずに行うことが、トラブルを防ぐ鍵となります。

若年層のゲームへの多額の課金

2025-04-26

近年、若年層によるスマートフォンゲーム(ソーシャルゲーム、以下「ソシャゲ」といいます。)への課金問題が社会的な話題となっています。

特に未成年の子供が保護者の知らないうちに高額な課金をしてしまうケースが増えています。今回は、未成年者によるソシャゲ課金問題の法律的側面と具体的な対応方法について、実際の事例を交えながらご紹介します。

1 未成年者契約の無効について

未成年者は法律上「行為能力が制限された者」とされ、親権者(保護者)の同意がない場合、原則として契約を取り消すことが可能です(民法第5条)。

ソシャゲの課金もこの「契約」に該当し、未成年者が行った課金については原則として取り消しを主張することができます。

ただし、以下のような場合には注意が必要です:

①成年に達した後に同意を示した場合

未成年者が成年(18歳)になった後に課金の内容を承認した場合、契約の取り消しはできなくなります。

②親権者の同意が推定される場合
課金を行ったゲームが親権者の知るところでプレイされていた場合、保護者の黙認が同意と見なされる可能性があります。

2 具体的な事例『高校生が300万円を課金したケース』

ある高校生が親名義のクレジットカードを利用してソシャゲに約300万円を課金しました。このケースでは、以下のような対応を取ることが考えられます。

①運営会社への連絡

保護者が運営会社に連絡し、未成年者による契約であることを主張する必要があります。

②証拠の提示

課金履歴や子供の年齢を証明する書類、スマホの使用状況等の資料を運営会社に提出します。これにより、未成年者の行為であることを推認させていきます。

③返金交渉

早期に対応し、冷静かつ丁寧に運営会社と交渉することが重要です。

3 ソシャゲへの課金問題への具体的な対応方法

①速やかな確認と証拠収集

子供の課金内容、金額、日時を確認し、スクリーンショットなどで記録します。また、ゲーム内のユーザー情報も控えておきましょう。

②運営会社への連絡

ゲームの運営会社のサポート窓口に問い合わせます。未成年者による契約であることを説明し、契約の取り消しを求めます。

③弁護士への相談

運営会社との交渉が難航した場合は、弁護士に相談することで、法的手段を通じた対応が可能です。

未成年者による課金問題は、多くの家庭で起こりうる問題です。

しかしながら、法的な知識を持ち、迅速かつ適切に対応することで、被害を最小限に抑えることが可能です。不明点がある場合は、まずは弁護士に相談することをお勧めします。

疑問形の表現と名誉毀損

2025-04-21

本日は、新型コロナウイルス感染拡大の中で虚偽の情報が拡散され、個人の名誉が侵害された事案に関する裁判例をご紹介いたします(大阪地判令和6年2月22日)。

1 事案の概要

原告は、高級クラブに勤務をしている方(通称「D」)です。

被告Aおよび被告Bは、匿名掲示板において、有名芸能人が新型コロナウイルス感染後に亡くなった原因が、原告であると示唆する投稿を行いました。

原告はこれらの投稿によって自身の社会的評価が低下し、精神的苦痛を受けたとして、被告らに対し損害賠償を請求しました。

2 裁判所の判断

(1)名誉毀損の成立

裁判所は、一般的な読者の注意と読み方を基準にして、両名の投稿はいずれも具体的な事実を示すものであり、原告の社会的評価を低下させ、名誉毀損にあたると判断されました。

(2)損害額の認定

裁判所は以下の内容を考慮し、被告AおよびBそれぞれに対し12万円の損害賠償を認めました。

①投稿内容が虚偽であり、原告に精神的苦痛を与えたこと。
②ただし、同様の噂がすでにインターネット上に広まっていたことから、投稿の影響は限定的であった。
③原告が特定するための調査費用および弁護士費用として2万円も加算。

3 インターネット上の投稿にはご注意ください

本件は、インターネット上の匿名掲示板の投稿が名誉毀損にあたるか否か、特に「匿名性」と「疑問形の表現」に焦点が当てられた事例です。

被告Bの投稿は「感染したのか」という疑問形でしたが、裁判所は投稿前後の文脈やスレッドの流れを考慮し、「事実を示唆する内容」と判断しました。疑問形であっても、名誉を傷つける内容であれば名誉毀損が成立しうる点は重要です。

また、被告らは「掲示板の閲覧者数が少ない」、「信憑性がない」等と主張しましたが、裁判所は「誰でもアクセス可能であること」「内容が著名人の死因に関わる重大な事実を示唆するもの」であることを重視しました。匿名の投稿であっても、不特定多数に広まる可能性がある限り、法的責任を免れることは難しいと示されました。

インターネット上の情報発信は手軽である一方、その影響力と責任は決して軽視できないものです。個人の名誉を傷つける投稿は法的責任を負うリスクがあることを再認識し、正確な情報発信を心がけることが重要です。 インターネット上のトラブルに何らかの形で巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただき、冷静な対応を心がけることが重要です。

元政治家に対する行き過ぎた記事

2025-04-16

本日は、元政治家とその亡父について、雑誌記事および広告が名誉を毀損したと主張し、謝罪広告と損害賠償を求めた事案をご紹介いたします(福井地判令和6年3月6日)。

1 事案の概要

原告は、元政治家であり、被告は雑誌『A』を発行している出版社です。

被告は同誌上で以下の内容を記載しました。

①原告の亡父が、かつてごみ焼却施設の建設を「仲の良い業者」に独断で発注した。

②原告がその「癒着関係」を引き継ぎ、特定候補を応援した背景に業者の利益を図る意図があった。

さらに、この見出しを新聞紙の広告欄にも掲載しました。

原告は「父の名誉と自身の社会的評価が著しく低下した」と主張し、謝罪広告の掲載と損害賠償を請求しました。

2 裁判所の判断

(1)名誉毀損の成否

①裁判所は「独断」「ツルの一声」との表現が、亡父が公正でない方法で業者に便宜を図ったとの印象を与えると認定した上で、建設工事の発注には議会の手続きを経ており、不公正な事実は確認できないとしました。さらに、被告が十分な取材を行わず掲載したことも指摘し、「亡父の名誉と原告の敬愛追慕の情を侵害した」と判断しました。

②原告の社会的評価の低下について

「亡父から引き継いだ癒着関係を利用して、市長選で業者の利益を図った」との事実を示唆されたことに関して、被告はその根拠を示せず、取材不足も認定されました。

裁判所は「原告の社会的評価を低下させる内容」と判断しました。

(2)違法性阻却事由

被告は「公共の利害に関する内容であり、真実と信じる理由があった」と主張しましたが、裁判所は取材不足と虚偽の内容を認定し、違法性の阻却を認めませんでした。

(3)損害額

裁判所は以下を点を考慮し、原告の損害を55万円と認定しました。

①本件記事および広告の影響の程度

②内容が抽象的であり、誇張表現も含まれること

③名誉毀損の程度は重大ではあるが限定的であること

なお、謝罪広告の請求は、損害賠償で十分に回復されるとして認められませんでした。

3 まとめ

この裁判例は、報道機関が公共性や公益性を盾に名誉毀損を免れるためには、十分な裏付け取材が不可欠であることを示しています。

また、故人や遺族の名誉にも当然に配慮が必要であり、表現の自由と名誉保護のバランスが厳格に問われる事案でした。 名誉毀損に当たるか否かは「事実の真偽」や「取材の相当性」に大きく依存するため、情報発信者には慎重な対応が求められることは今一度再確認する必要があります。

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