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SNSでの誹謗中傷、削除依頼の方法と注意点:サイト管理者への任意の削除請求
インターネット上の誹謗中傷は、拡散性が極めて高く、放置すれば被害が雪だるま式に拡大していく可能性があります。特にSNSや匿名掲示板では、たった一つの悪質な書き込みが瞬時に拡散し、取り返しのつかない事態に発展するケースが少なくありません。
被害を食い止め、精神的な苦痛を軽減するために、まず最初に行うべき法的措置が「削除請求」です。加害者の特定(発信者情報開示請求)には数ヶ月を要することが多いのに対し、削除請求は迅速性が求められます。
1 任意の削除請求とは?法的手段との違い
削除請求には、主に「任意の手続き」と「裁判所を通じた手続き(仮処分)」の2種類があります。
任意の削除請求とは、被害者側からサイトやSNSの運営者(管理者)に対し、問題の書き込みが名誉毀損やプライバシー侵害などの「権利侵害」にあたることを示し、任意の判断で削除するよう求める手続きです。
【任意の手続きの特徴】
①メリット: 裁判所を通さないため、費用が比較的安価で、迅速な対応が期待できる。
②デメリット: 運営者が独自に定めた基準(利用規約違反など)に基づき判断するため、法的に権利侵害が認められる場合でも、削除されないことがある。
運営者がこの任意の請求に応じない、または対応が遅い場合は、裁判所へ削除の仮処分を申し立てるという、より強制力のある法的手段に移行します。
2 任意の削除請求の手順と注意点
サイト管理者は、プロバイダ責任制限法に基づき、権利侵害の明白性があれば投稿を削除する義務を負います。任意の削除請求を効果的に行うための手順と注意点は以下の通りです。
(1)証拠の保全を最優先する
削除請求を行う前に、必ず問題の書き込みの証拠を保全してください。書き込みが削除されると、その証拠は失われてしまいます。
①証拠保全の具体例: 該当ページのスクリーンショット、URL、投稿日時、ユーザー名などを記録します。
②注意点: 証拠の保全は、後の発信者情報開示請求や損害賠償請求の際にも極めて重要となります。
(2)サイト管理者の窓口を確認する
各SNSや掲示板には、削除依頼のための専用フォームやガイドラインが設けられています。まずはその窓口を探し、その運営者が定めた手順に従うことが基本です。
①SNSの場合: 各プラットフォーム(X、Instagram、Facebookなど)のヘルプセンターや報告機能を利用します。
②匿名掲示板などの場合: サイト内の問い合わせフォームや、運営者に直接メールを送る方法が一般的です。
(3)権利侵害の根拠を明確に示す
単に「不快だから削除してほしい」という感情論では、削除は認められません。「なぜその書き込みが違法な権利侵害(名誉毀損、プライバシー侵害など)にあたるのか」を論理的に説明する必要があります。
3 まとめ:弁護士による迅速な対応がカギ
任意の削除請求は、被害を食い止めるための最初の防御策です。しかし、迅速かつ効果的に削除を実現するためには、法的根拠を明確にし、説得力のある形で請求を行う必要があります。
①証拠保全が遅れると、削除された痕跡も特定困難になります。
②権利侵害性の主張が不十分だと、時間だけが過ぎて被害が拡大します。
当事務所では、誹謗中傷対策の経験豊富な弁護士が、証拠保全からサイト管理者への法的通知書の送付、そして必要に応じた裁判所への仮処分申立てまで、一連の手続きを迅速かつ的確に代行いたします。手遅れになる前に、まずは一度ご相談ください。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
「ネットの誹謗中傷」と「名誉毀損」の違いとは? ネット社会の陰に潜む「誹謗中傷」
インターネットやSNSの普及に伴い、誰もが情報の発信者となれる時代になりました。
しかし、その裏側で深刻化しているのが、匿名の書き込みによる誹謗中傷トラブルです。
感情的な批判や心無い言葉は、個人の精神的苦痛だけでなく、企業のブランドイメージや売上にも深刻なダメージを与えます。いざ自分が被害に遭ったとき、「これは違法なのか?」「どうすれば書き込みを消せるのか?」と、多くの方が迷われるでしょう。
ネット上で使われる「誹謗中傷」という言葉は、実は法律上の用語ではありません。この「誹謗中傷」が、刑法や民法上の「名誉毀損」や「侮辱」などに該当するかどうかで、とれる法的手段が変わってきます。
1 「誹謗中傷」の法的分類
「誹謗中傷」とは、悪口を言って相手を傷つけたり、根拠のない悪評を広めたりする行為を指す一般的な言葉です。法律は、この行為をその内容に応じて主に以下の3つの類型に分類し、責任を追及します。
①名誉毀損:具体的な事実を挙げて、公然と人の社会的評価を低下させる行為(例:「あの会社は不正経理をしている」「Aさんは過去に犯罪を犯した」)
②侮辱:事実を挙げずに、公然と人を侮辱する行為(例:「バカ」「無能」など、抽象的な悪口)
③信用毀損・業務妨害:虚偽の情報を流し、特定の個人や法人の信用や業務を妨害する行為(例:「あの店の料理は不衛生で食中毒が出た」という虚偽の書き込み)
2 名誉毀損罪(民事・刑事)が成立する3つの要件
刑法230条および民法709条が定める名誉毀損が成立するためには、以下の3つの要件をすべて満たす必要があります。
(1)公然性があること
「不特定または多数の人が認識できる状態」であることを指します。
インターネット上の掲示板、SNSの公開アカウント、ブログなどは、基本的に公然性があると認められます。
(2)事実を摘示していること
真偽を問わず、具体的な事実を挙げて人の社会的評価を低下させる行為です。
①事実の摘示にあたる例:「○○社の社長は社員にパワハラをしている」「あのクリニックは医療ミスが多い」
②事実の摘示にあたらない例:「ムカつく」「気持ち悪い」といった単なる意見や感想(これは次項の侮辱に該当する可能性が高まります)
(3)他人の名誉を毀損したこと
「名誉」とは、その人の社会的地位や評価を指します。
書き込みによって一般人の感覚から見てその人の社会的評価が低下したと認められる必要があります。実際に評価が低下したかどうかではなく、低下させる危険性があれば足ります。
3 名誉毀損と「侮辱」の決定的な違い
名誉毀損が「事実の摘示」を要件とするのに対し、侮辱罪(刑法231条)は事実の摘示を必要としません。
単なる抽象的な悪口や罵倒(例:「無能なクズ」「キモい」)など、具体的な事実を伴わない方法で公然と人を侮辱した場合に成立します。
侮辱罪は、これまで名誉毀損罪と比べて刑罰が軽微でしたが、刑法改正により厳罰化され、以前より重い処分が科せられる可能性が高まっています。
4 まとめ:インターネットトラブルはスピードが命
ネットの誹謗中傷は、時間の経過とともに拡散し、被害が拡大していく恐れがあります。
また、発信者情報開示請求の手続きは、投稿から一定期間(ログ保存期間)が過ぎると、加害者の特定が困難になってしまいます。
ご自身の被害が「名誉毀損」にあたるか、「侮辱」にあたるか、そしてどのような法的措置が可能かを判断するためには、迅速にインターネットトラブルに精通した弁護士にご相談いただくことが不可欠です。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
AIボイス・ディープフェイクによるなりすましと名誉毀損
AI技術の進化により、「ディープフェイク」と呼ばれる、音声や映像を精巧に加工・生成する技術が一般にも広まりつつあります。とりわけ、実在する人物の声や顔を再現して“発言”や“行動”を捏造するなりすまし行為は、SNSや動画共有サイトを通じて拡散され、深刻な名誉毀損・プライバシー侵害を引き起こす事例が増えています。
本記事では、AIを用いたなりすましがどのように法的問題となるのか、その責任の所在と対応策を解説いたします。
1 ディープフェイク・AIボイスの典型的な悪用例
①有名人・政治家の“偽発言”を生成し拡散
AI音声やディープフェイク映像で、存在しない発言や記者会見映像を創作。
②一般人の顔・声を用いた誹謗中傷動画の投稿
元交際相手や職場の同僚などをターゲットに、捏造された“スキャンダル”動画を公開。
③詐欺目的でのなりすまし音声使用
「親戚のフリをした音声通話」「社長を装った指示」など、本人そっくりの声で金銭を騙し取るケースも発生しています。
2 法的評価と責任の所在
ディープフェイクによるなりすましは、以下のような法的責任を問われる可能性があります。
①名誉毀損罪・侮辱罪(刑法230条・231条)
事実でない発言をあたかも本人が述べたかのように作成・公開する行為は、社会的評価を低下させるものとして名誉毀損罪が成立する可能性が高いです。
②私生活の平穏を害するプライバシー侵害
私的な映像・音声を加工して公開した場合、人格権としてのプライバシー権を侵害したとして不法行為責任(民法709条)が認められる可能性があります。
③著作権・肖像権侵害
本人の顔・声・表現を無断で模倣する行為が、著作物に準じて保護される場合や、肖像権の侵害と評価されることもあります。
3 裁判例・実務対応の動向
国内ではディープフェイクを直接扱った判例は多くありませんが、音声や映像の捏造によって社会的信用を失墜させた投稿が名誉毀損と認められたケースは多数存在します。
一方、米国では2023年に、ある俳優の顔をディープフェイクで使用した“わいせつ動画”について、加害者に対し高額の損害賠償が命じられた事例があり、今後日本でも同様の判断が下される可能性が高いと考えられます。
4 被害者がとるべき対応
①該当コンテンツの証拠保全(画面録画・URL等)
削除される前に、拡散状況や発言内容を証拠として確保します。
②プラットフォームへの削除申請
YouTubeやX(旧Twitter)等では、本人確認と違法性主張により削除が可能です。
③発信者情報開示請求
匿名で投稿された場合でも、法的手続きを通じて投稿者の特定が可能です。
④損害賠償請求や刑事告訴
悪質なケースでは、慰謝料請求や刑事責任の追及も視野に入れます。
ディープフェイクは、ジョークやパロディとして利用される場面もありますが、特定の人物を装い、虚偽の発言・行動を創作する行為は一線を越える違法行為です。
加害者が「AIが勝手に作った」と主張したとしても、生成・公開・拡散の意思を持って行った以上、法的責任から逃れることはできません。
被害に遭った場合は、速やかに証拠保全と法的措置の準備を進めることが極めて重要です。

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バーチャル空間(メタバース)でのトラブルと法適用の難しさ
「メタバース」という言葉が一般化し、仮想空間上での交流・経済活動・エンタメ体験が日常的になりつつあります。アバターを用いたコミュニケーションや、デジタルアイテムの売買、バーチャルイベントなどが盛んに行われる一方で、現実世界とは異なる“空間”であるがゆえに、法的なグレーゾーンやトラブルが生じやすいのが実情です。
本記事では、メタバース上で発生する典型的なトラブルと、それに対する法的なアプローチの難しさについて解説いたします。
1 メタバースで起きる典型的なトラブル例
①アバター同士のハラスメント・セクハラ
近距離での接触行為、暴言、嫌がらせ的な動き、性的な表現など、現実では違法とされる行為が、アバターを通して再現されるケース。
②デジタル資産の盗難・詐欺
NFTアートやアバター用衣装などが不正に取得されたり、詐欺的な取引により奪われるトラブル。
③著作権・商標権の侵害
他人の作品を模倣したアバター衣装や建築物、企業ロゴの無断使用など。
④バーチャル土地・建物の所有権トラブル
高額で売買された土地が「削除された」「所有者が不明になった」などの問題も報告されています。
2 法適用の難しさ
メタバース上のトラブルが注目される中で、「どの法律が適用されるのか?」という問題に直面します。
①場所の不特定性:仮想空間には国境がなく、プラットフォーム運営者の所在地によって法管轄が分かれる。
②人格の匿名性:現実とは異なるアバターを用いるため、加害者の特定が極めて困難。
③契約関係の曖昧さ:資産取引にあたって明確な契約書が存在しないケースが多く、法的根拠が不十分。
④刑事法との距離感:アバター同士の“接触”が暴行罪や強制わいせつ罪に該当するかは、現行法では未整理の部分が多い。
3 実務上の対応と判断の傾向
現状では、メタバース上の行為に対して、以下のようなアプローチが取られる傾向にあります。
①プラットフォーム規約違反としての対応
違反者のアカウント停止・アクセス制限・コンテンツ削除など、運営会社独自のルールに基づく措置が一般的です。
②民事上の不法行為責任
デジタル資産の詐取や名誉毀損的発言について、民法709条に基づく損害賠償請求がなされるケースも増えています。
③仮想行為の“現実性”が問われる裁判例の登場
たとえば、あるユーザーがバーチャル空間上で他者のアバターに性的な動きを行った件では、「精神的苦痛を与えたことは否定できない」として、慰謝料の支払義務が発生したとする和解事例が存在します。
メタバースの魅力は、現実では体験できない自由な創造・交流にあります。
しかし同時に、現実世界と同様に“他者の権利”が存在しており、違法行為が免責される空間ではありません。
法律の未整備な部分があるからこそ、プラットフォームルールと法的常識の両方を意識した行動が必要です。トラブルに遭遇した場合には、早めに法的助言を求めることが適切な対処につながります。

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SNS上での“仮想通貨・投資詐欺”と被害回復の壁
近年、仮想通貨やNFT、海外投資商品などをテーマにした“投資系アカウント”がSNS上で急増しています。「元手5万円で月利20%」「スマホ1台で不労所得」など、魅力的な言葉で投資初心者を引きつける手法が多く見られます。しかしその中には、**実態のない投資話や出口のない仕組みを用いた“投資詐欺”**も多数含まれており、若年層を中心に被害が拡大しています。
本記事では、SNS上で行われる仮想通貨・投資詐欺の典型的な手口と、被害回復を困難にしている法的課題について解説いたします。
1 よくある詐欺の手口
①高配当を謳う偽の投資話
「3カ月で2倍」「必ず儲かる」といった触れ込みで、出金できない自社トークンや海外プラットフォームに資金を送金させる。
②偽の仮想通貨取引所への誘導
本人確認なしで登録できる「独自取引所」へ誘導し、出金不能の状態に。サポートも存在せず、資金が実質凍結される。
③“美人アカウント”による恋愛型投資詐欺(ロマンス詐欺)
SNSで交流した相手から親密さを装って投資を持ちかけられる。実在しない人物・案件であることが多い。
④マルチ商法型の紹介報酬制度
「紹介すればするほど稼げる」と説明されるが、実際は後続の資金が途切れると破綻する典型的なポンジ・スキーム。
2 法的に問われ得る責任
①詐欺罪(刑法246条)
最初から返金意思がないにもかかわらず資金を募っていた場合は、詐欺罪が成立する可能性があります。
②出資法・金融商品取引法違反
無登録での投資勧誘や、虚偽の投資内容で資金を集める行為は、出資法や金融商品取引法に違反します。
③不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)
個人間であっても、虚偽説明により金銭を交付させた行為は、損害賠償の対象となります。
3 被害回復が困難な理由
①加害者が海外拠点・実体不明
仮想通貨詐欺では、加害者が海外に拠点を置き、個人情報も偽名・使い捨てアカウントである場合が多く、民事訴訟・刑事告訴の相手特定自体が困難です。
②送金手段が追跡しにくい
暗号資産は送金履歴がブロックチェーン上に残るものの、ウォレット所有者の特定には限界があり、追跡しても現実的に資金回収ができないことが多いです。
③被害届の受理が消極的なケースも
捜査機関によっては「個人間のトラブル」「詐欺とは断定できない」として、受理に消極的なケースもあります。
4 裁判例・行政対応
金融庁は、未登録業者による仮想通貨販売や海外投資詐欺について、継続的に警告を発出しています。また、一部の自治体では“ロマンス詐欺”による仮想通貨被害に対する特設相談窓口を設けており、高齢者や若年層への啓発も進められています。
ただし、被害回復には至らない例も多く、民事・刑事の両面での対応には相応の労力と専門性が求められます。
SNS上での投資勧誘は、その匿名性と親密さから、一見して正当な取引に見えることが多いのが特徴です。
しかし、冷静に考えれば「元本保証」や「必ず儲かる」投資など存在せず、短期間で高利益を約束する話の大半は詐欺に近い構造です。
少しでも不審に感じたら、送金や口座登録の前に専門家へ相談することが、最大の防御策になります。万一被害に遭った場合は、証拠を確保し、弁護士や消費生活センターに速やかに相談しましょう。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
ネットアンケートや投票の不正操作と信用毀損
インターネット上では、ユーザーの意見を集めるためのアンケートや人気投票が頻繁に行われています。選挙制度を模した「推し活」投票、企業の商品評価、キャンペーン参加型アンケートなど、形式は多岐にわたりますが、その信頼性が評価や賞に直結することも多くなっています。
しかしながら、これらの仕組みを意図的に操作し、特定の選択肢を有利・不利にする不正行為が問題視されるケースが増加しています。本記事では、ネット上の投票・アンケートに対する不正操作の法的評価と、企業や主催者側が講じるべき対応策について解説します。
1 不正操作の典型的な手口
①複数アカウントの使用による多重投票
1人1票が原則のアンケートに、複数のSNSアカウントを用いて不正投票する行為。
②自動投票プログラム(BOT)の使用
プログラムを用いて、短時間に大量の投票を行う。
③他者のIPを使った成りすまし投票
VPNやプロキシを経由し、重複を回避して大量投票する行為。
④組織的な操作(いわゆる“組織票”)
特定の団体が構成員に指示を出して一斉に投票を行うケースも、状況によっては公正性を損なう行為と見なされ得ます。
2 法的責任が問われる可能性
①信用毀損罪・業務妨害罪(刑法233条・234条)
企業や主催者が提供するサービスの公正性・信用を損なう行為は、刑事上の信用毀損罪・業務妨害罪に該当する可能性があります。
②不正アクセス禁止法違反
ログインが必要なアンケートに、他人のアカウントを無断利用して投票した場合には、不正アクセス禁止法に抵触するおそれがあります。
③不法行為に基づく損害賠償請求(民法709条)
不正投票によって、特定の参加者が受賞を逃したり、企業のキャンペーンが中止になった場合などは、損害賠償請求の対象となり得ます。
3 主催者・企業側がとるべき対応
①1人1票の制限技術を導入する
IP制限、Cookie管理、ログイン必須化など、投票の多重化を技術的に抑止する仕組みが必要です。
②利用規約で不正行為の禁止を明示する
規約違反時の無効措置・法的対応の可能性を明文化することで、抑止力を高めます。
③不自然な投票行動の検知・対応
短時間に大量投票がある場合には、早期に調査・無効化を行うなど、透明性の確保が重要です。
④第三者機関による集計・監査の導入
重要な賞レースや表彰を伴う場合は、外部監査を導入することで、公平性への信頼を高めることができます。
「ネット上のアンケートや投票は遊びだから」「バレなければ問題ない」といった認識が、不正の温床になっています。
しかしその結果、第三者の権利・評価・社会的信用が損なわれる以上、法的な責任を免れることはできません。
企業や主催者としては、事前の対策・告知、異常時の対応フローを整えておくことが、信頼維持とリスク管理の両面から重要です。

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クラウドファンディングと未達成・炎上トラブル
クラウドファンディングは、商品開発や社会活動、映像作品制作など、さまざまなプロジェクトを実現するための資金調達手段として定着しています。特に近年は、SNS等と連動したキャンペーンが行われ、個人や小規模団体でも大きな資金を集められる時代となりました。
しかしその一方で、集めた資金の使途に不透明さがあったり、リターン(返礼品)が届かない、プロジェクト自体が頓挫するといったトラブルも頻発しています。本記事では、クラウドファンディングに関する典型的な炎上・法的トラブルと、起案者・支援者の責任や救済について解説します。
1 よくあるクラウドファンディングのトラブル例
①リターン未達・大幅遅延
支援者に対して約束された商品や体験が、長期間届かない・実行されない。
②プロジェクト中止・撤退
「目標達成後に開発困難となった」「体調不良により継続できない」などの理由で実行が放棄される。
③虚偽の説明・誇大表示
過去の実績や開発状況について虚偽があり、支援者をミスリードした。
④資金の私的流用
集まった資金が、当初の目的とは異なる用途に使用されていた。
2 プラットフォームの仕組みと法的性質
クラウドファンディングには大きく分けて2つの方式があります。
①All-or-Nothing方式:目標金額に到達した場合のみ資金が引き出される
②All-in方式:目標未達でも集まった分を受け取れる
多くのプラットフォームでは、利用規約上「プロジェクトの実行は起案者の責任であり、プラットフォームは関与しない」旨が明記されており、支援者と起案者との間に個別契約が成立する形式をとっています。
3 起案者が負う法的責任
①契約責任(債務不履行)
支援者との間でリターンを提供する契約が成立している場合、それが履行されなければ債務不履行となり、返金や損害賠償を請求される可能性があります。
②不法行為責任(民法709条)
明らかな虚偽説明・詐欺的な資金調達であったと判断されれば、不法行為に基づく損害賠償請求の対象となります。
③刑事責任(詐欺罪など)
資金を集める意思のみで、最初から実行の意思がなかったとされる場合は、詐欺罪(刑法246条)に問われる可能性も否定できません。
4 裁判例・問題化した実例
東京地裁では、クラウドファンディングを通じて数百万円を集めた起案者がリターンを履行せず、不誠実な対応を続けた結果、返金と慰謝料の支払いを命じられた例があります(詳細非公開)。また、SNS上では「開発者が音信不通になった」「そもそも商品化の目処が立っていなかった」などの事案が炎上につながっています。
5 支援者側の対処法
①プロジェクトページ・契約条件を確認
「リターンの到着はいつか」「All-or-NothingかAll-inか」など、条件を明確に理解することが重要です。
②証拠の保存(ページ、やりとり、投稿)
万が一のトラブルに備え、支援内容・リターンの説明・連絡履歴などは保存しておきましょう。
③内容証明郵便や簡易裁判の検討
起案者が誠実に対応しない場合、法的手段による請求(内容証明郵便・支払督促など)を行うことで返金を求めることも可能です。
クラウドファンディングはあくまで「資金の預託を受けて、目的を実行する」という信頼ベースの契約関係です。起案者は資金を得た時点で法的・道義的責任が発生していることを自覚し、誠実な対応を心がける必要があります。
一方、支援者としても「購入」や「投資」ではないことを理解しつつ、トラブル時には法的手段での対応を検討すべきです。

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ライブコマース中の法令違反と運営者・配信者の責任
SNSや動画配信プラットフォームの進化により、ライブ配信中に商品を紹介・販売する「ライブコマース」が急拡大しています。視聴者とリアルタイムで交流しながら商品を紹介できる点が魅力とされ、インフルエンサーや芸能人、一般の配信者まで参入が進んでいます。
しかしながら、ライブ配信という即時性のある手段であるがゆえに、景品表示法・薬機法・特商法などへの違反が生じやすく、トラブルが多発しているのが現実です。本記事では、ライブコマースに潜む法的リスクと、関係者が負う責任の範囲について解説します。
1 ライブ配信で問題となる典型的違反例
①景品表示法違反(誇大広告)
「これを飲めば1週間で5キロ痩せます!」「絶対に儲かる投資案件です!」といった根拠のない表現は、景品表示法が禁じる優良誤認表示・有利誤認表示に該当します。
②薬機法違反
健康食品や化粧品について「がんが治る」「シミが完全に消える」などと効能効果をうたう行為は、医薬品的効能の広告として違法です。
③特定商取引法違反
返品不可であるにもかかわらず表示を怠ったり、会社概要の表示が不十分なまま商品を販売する行為は、特定商取引法に基づく表示義務違反となる可能性があります。
④著作権・商標権侵害
偽ブランド商品や許諾のないキャラクターグッズをライブ中に販売する行為も、権利侵害として刑事・民事上の責任を問われ得ます。
2 裁判例:インフルエンサーの薬機法違反に対する処分
近年の行政処分では、フォロワー数10万人を超えるインフルエンサーが**「このサプリで妊娠体質に変わった」などと発言したことが薬機法違反に該当**するとされ、当該企業が行政指導を受けた例があります。
このように、配信者自身が企業の「広告媒体」として評価される場合、企業側だけでなく、発信者個人にも連帯的な責任が及ぶ可能性があります。
3 配信者と運営者、それぞれの責任
①配信者個人の責任
虚偽や誇張表現を用いた場合、消費者に対して不法行為責任(民法709条)や行政処分の対象となる可能性があります。企業との契約内容によっては、損害賠償請求もあり得ます。
②企業・プラットフォームの責任
企業が配信内容を管理・指示していた場合、または広告委託していた場合には、配信者の違法行為について連帯責任を問われることがあります。
また、明らかに違法な販売行為を放置していた場合、プラットフォーム運営会社にも注意義務違反の問題が生じる可能性があります。
4 実務上の対策ポイント
①広告ガイドラインの作成と配布
配信者に対し、法律で許されない表現やNGワードを明記したガイドラインを提供します。
②リアルタイム監視体制の整備
企業としてライブ配信の内容をモニタリングし、問題があれば即座に指摘・修正を促す体制を整えましょう。
④販売ページ・契約条件との整合性チェック
ライブ配信での説明内容と、ECサイトの販売条件が一致していることが重要です。
ライブコマースは、臨場感があり消費者の購買意欲を刺激する一方、法令遵守が後回しになりがちな危険な販売手段でもあります。
「広告」としての性質を常に意識し、企業・配信者の双方が法的リスクに備えた体制づくりを怠らないことが、トラブルを未然に防ぐ鍵となります。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
SNS広告コメント欄の荒らし行為と事業者の責任
近年、InstagramやX(旧Twitter)、Facebookなどに表示される広告投稿(プロモーション投稿)は、企業にとって重要なマーケティング手段となっています。しかしながら、それらの広告のコメント欄に悪意ある書き込みが殺到し、「炎上状態」となるケースも珍しくありません。中には、関係のない誹謗中傷や虚偽の風評、競合他社による妨害と思われる投稿も含まれており、広告主の社会的信用や売上に深刻な影響を及ぼすこともあります。
本記事では、SNS広告のコメント欄における「荒らし行為」とその法的評価、企業が取り得る対応策を解説します。
1 コメント欄の荒らし行為とは?
SNS広告のコメント欄に見られる荒らし行為には、以下のようなものがあります。
①「詐欺企業」「違法商法」など根拠のない中傷
②関係のない性的・暴力的表現
③競合他社の名を出して誘導するコメント
④宣伝内容に対する極端に攻撃的な揶揄や風評
⑤同じ文言のスパム投稿を繰り返す
これらは、単なる批判の域を超えて、名誉毀損、信用毀損、業務妨害などの違法行為に該当する可能性があります。
2 荒らし投稿者の法的責任
広告主やその商品・サービスに対して虚偽の内容や誇張した攻撃を加えた場合、以下の法的責任が生じるおそれがあります。
①名誉毀損・信用毀損罪(刑法230条・233条)
「○○社は詐欺」「○○製品に有害物質がある」など虚偽の情報で企業の名誉を傷つけた場合、刑事責任を問われる可能性があります。
②業務妨害罪(刑法234条)
広告投稿に意図的に大量の嫌がらせコメントを付け、顧客の流入を阻害するような行為は、業務妨害罪が成立し得ます。
③不法行為による損害賠償(民法709条)
風評被害により売上が下がった場合、投稿者に対し損害賠償を請求できる場合があります。
3 裁判例:SNSコメントによる業務妨害の認定
ある裁判例では、SNS広告に対し「詐欺だ」「騙された」などと執拗に書き込んだユーザーに対し、広告主が発信者情報開示請求を行い、特定後に100万円の損害賠償を認めた事例があります。
裁判所は「表現の自由を逸脱した違法な名誉毀損」と認定しました。
4 広告主の対応策とリスク管理
①削除・ブロック対応
明らかに違法または規約違反に該当する投稿は、プラットフォームのルールに従って速やかに削除申請し、必要に応じて投稿者をブロックします。
②証拠の保存と開示請求
悪質な場合はスクリーンショット等で証拠を保存し、SNS運営会社に発信者情報開示請求を行います。
③広報・法務の連携
炎上時には広報対応と並行して、法的措置を検討していることを発信することで、被害の拡大を防止する効果もあります。
SNS上の広告は双方向性を活かせる強力なマーケティング手段ですが、コメント欄という“公共空間”に近い場をどう管理するかが問われる時代です。違法な書き込みに対しては、毅然とした態度で臨むとともに、法的手段を講じる構えを見せることで、一定の抑止効果も期待できます。
トラブルの芽は放置せず、早期の対応と記録保存を徹底しましょう。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
生成AIによる著作物の無断使用と権利処理の実務
生成AIの急速な普及により、文章・画像・音楽・プログラムなどのコンテンツが誰でも簡単に生成できる時代が到来しました。しかしその一方で、生成AIが著作権保護された既存作品を無断学習・模倣しているのではないかという懸念が広がっています。本記事では、生成AIと著作権の交差点で生じる法的論点と、実務上の注意点について解説いたします。
1 「学習」行為は著作権侵害になるか?
AIが著作物を利用するタイミングとして主に問題となるのは、「学習」と「出力」の2段階です。
まず、学習については、著作権法第30条の4により、情報解析のための著作物の利用(いわゆる「テキスト・データマイニング」)は一定の場合に許容されるとされています。この規定により、非営利かつ限定的な目的であれば、許可なく著作物をAIに学習させることが可能とされています。
しかし、営利目的のサービスや大規模データセットの構築にあたり、著作物を網羅的・継続的に取り込む行為が「著作権の濫用」と評価される可能性もあり、今後の判例動向が注目されます。
2 出力結果に他人の著作物が含まれている場合
実務上特に問題となるのが、AIが生成したコンテンツに、既存の著作物と酷似する内容が含まれている場合です。たとえば次のようなケースが考えられます。
①有名漫画の画風や構図を再現した画像生成
②特定の小説の登場人物やセリフを再構成した文章生成
③人気楽曲とほぼ同一の旋律を含むAI作曲
このような生成結果が既存著作物の「翻案(=改変的利用)」に該当する場合、著作権侵害と評価される可能性があります。
3 実務対応:利用者が注意すべきポイント
①生成物の商用利用には慎重になる
とくに類似性が懸念される作品(アニメ・漫画・楽曲等)に類似する内容を使う場合は、事前に著作権者の許諾を得るのが安全です。
②生成サービスの利用規約を確認する
ChatGPT、Midjourneyなどの生成AIサービスには、「出力物に関する権利関係」「利用者の責任範囲」などが記載されています。
「利用者が出力内容の合法性を確認する義務がある」と明記されているケースが大半です。
③他人の著作物に似ていると感じたら使用を控える
微妙なケースでは、著作権法の「依拠性」「類似性」判断が必要になります。著作権に詳しい専門家の意見を仰ぐのが適切です。
生成AIはクリエイティブな可能性を大きく広げるツールですが、それゆえに**「何を参考にして生成されたか分かりにくい」リスクを内包しています。
生成されたコンテンツがたとえAIによるものであっても、最終的に責任を問われるのは利用者自身です。トラブルを避けるためには、生成物の内容と出典を常に意識し、利用目的に応じた法的確認を怠らないことが重要です

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。