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X(旧Twitter)での誹謗中傷・裏垢特定-匿名アカウントを訴えるためのステップ
日本国内で圧倒的な利用率を誇るX(旧Twitter)。
その匿名性の高さと拡散力の強さから、誹謗中傷トラブルが最も多発しているプラットフォームの一つです。
「捨て垢(捨てアカウント)だからバレない」、「裏垢(裏アカウント)だから特定されない」 そう高を括って攻撃してくる加害者がいますが、法的な手続きを踏めば特定は十分に可能です。今回はX特有の開示請求のポイントを解説します。
1 X(Twitter)の特定は「ログイン情報」が鍵
かつて、Twitterの書き込み特定は非常に難易度が高いとされていました。なぜなら、投稿時のIPアドレスが短期間で削除される、あるいは保存されていないケースがあったからです。
しかし、現在は法改正や実務の進歩により、「ログイン型」の開示請求が主流になりました。 具体的には、「その投稿をした時」のIPアドレスだけでなく、「そのアカウントにログインした時(直近のログイン履歴)」のIPアドレスを根拠に特定を進めることができます。これにより、以前よりも特定の成功率は上がっています。
2 「裏垢」「捨て垢」でも特定できる?
結論から言うと、特定できます。
どんなに匿名性の高い「裏垢」や、作りたての「捨て垢」であっても、そのアカウントにログインして操作している以上、必ず通信会社を経由しています。
「普段使っている本垢(本アカウント)とは別のメールアドレスで作ったから大丈夫」と勘違いしている加害者もいますが、開示請求で追うのは登録メールアドレスではなく「接続元の回線契約者」です。
自宅のWi-Fiや自分のスマホ回線を使って裏垢にログインしていれば、そこから本名や住所に辿り着くことができます。
3 リポスト(リツイート)や引用ポストも対象
自分が書いた文章でなくとも、他人の誹謗中傷投稿を拡散する行為(リポスト/リツイート)も、法的責任を問われる可能性があります。
過去の最高裁判決でも、リツイート行為によって名誉毀損が成立すると認められた事例があります。「みんなが拡散しているから」という理由は通りません。悪質な拡散行為に対しても、発信者情報開示請求を行うことは可能です。
4 Xでの被害対策:スピード勝負の理由
X社は米国法人であり、日本の法律とは異なる運用ルールを持っています。 特に注意すべきは、「IPアドレスなどのログ保存期間が短い」可能性がある点と、「アカウントが削除されるとログも消える」リスクがある点です。
相手が「ヤバい」と気づいてアカウントを削除してしまうと、特定の手がかりが完全に消滅してしまうことがあります。そのため、被害に気づいたら、相手に警告したり反応したりする前に、まずはURLとスクリーンショットを確保し、水面下で弁護士に相談することが鉄則です。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
開示請求にかかる費用の相場|弁護士費用と実費、相手に請求できる範囲
「誹謗中傷の犯人を特定したいけれど、費用倒れにならないか心配」
これは多くの相談者が抱える切実な悩みです。
発信者情報開示請求は高度な専門性が求められる手続きであり、ある程度の費用がかかります。ここでは、費用の内訳と相場、そして「相手にどこまで請求できるか」について解説します。
1 開示請求にかかる費用の内訳
費用は大きく分けて「弁護士費用」と「実費(裁判所等へ払うお金)」の2つです。
弁護士費用の相場は、手続きの段階や難易度によりますが、一般的な目安は以下の通りです。
(1)着手金(手続き開始時に払うお金)
①IPアドレス開示(仮処分など):20万円〜30万円程度
②住所氏名開示(訴訟など):20万円〜30万円程度
(2)報酬金(特定成功時に払うお金)
10万円〜30万円程度
実費も含めて合計すると、特定完了までに50万円〜80万円程度かかるケースが一般的です。
2 相手に費用を請求できるか?
「悪いのは相手なのだから、かかった費用は全額相手に払わせたい」
当然の感情ですが、現在の日本の裁判実務では、弁護士費用の「全額」を相手に認めさせることは難しいのが現状です。
損害賠償請求において認められる「調査費用(特定にかかった費用)」は、実際に掛かった費用の「1割〜数割程度」、あるいは「相当と認められる額(数万円〜数十万円)」に制限される場合があります(事案によってはかなりの割合を認められるケースも相当程度存在します)。
つまり、特定にかかった費用(例:60万円)が、慰謝料と調査費用の認定額(例:合計50万円)を上回り、金銭的には赤字(費用倒れ)になってしまうケースも珍しくありません。
3 それでも開示請求を行うメリット
金銭的な収支だけを見ればマイナスになる可能性があるにもかかわらず、多くの方が開示請求を行うのはなぜでしょうか。
①「お金の問題ではない」という正義感:泣き寝入りせず、相手に責任を取らせたいという気持ちの解決。
②再発防止・抑止力:「身元がバレた」「訴えられた」という事実が、加害者への強力な制裁となり、二度と誹謗中傷をしなくなります。
③刑事処罰への道:特定できれば、刑事告訴を行い、前科をつける(処罰を与える)手続きへ進むことができます。
4 費用対効果を一緒に考えましょう
当事務所では、ご相談時に「慰謝料の見込み額」と「かかる費用の概算」を提示し、経済的なメリット・デメリットを隠さずお伝えします。 その上で、「赤字でもやる価値がある」と判断された場合に、全力でサポートさせていただきます。まずは見積もりだけでもお気軽にご相談ください。

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IPアドレスが開示されても犯人が特定できないケースとは?公衆Wi-Fiや海外プロキシの課題
発信者情報開示請求を行えば、100%必ず犯人が見つかるわけではありません。
残念ながら、法的な手続きを尽くしても「技術的な壁」や「物理的な壁」によって、個人の特定に至らないケースが存在します。
依頼者の期待と費用のミスマッチを防ぐためにも、当事務所ではリスクについて事前に正直にご説明しております。今回は、特定が困難になる代表的なケースをご紹介します。
1 公衆Wi-Fi(フリーWi-Fi)からの投稿
カフェ、ホテル、コンビニ、駅などの「公衆無料Wi-Fi」を利用して書き込みが行われた場合です。この場合、IPアドレスから辿り着けるのは「そのカフェのルーター」や「その施設」までです。
「その日、その時間に、その店にいた誰か」までは絞り込めますが、そこから「誰が使ったか」を特定するには、利用登録情報や防犯カメラの映像などが必要になります。しかし、会員登録不要のWi-Fiであったり、防犯カメラの保存期間が過ぎていたりすると、個人の特定は極めて困難になります。
2 ネットカフェからの投稿
ネットカフェの場合、入店時に会員証の提示が必要な店舗であれば、利用した個室やパソコンの特定から、入店記録を照合して犯人を特定できる可能性があります。しかし、本人確認が不要な店舗や、PCを使わずに店舗のWi-Fiに自分のスマホを繋いで投稿した場合などは、特定の難易度が上がります。
3 海外プロキシ・VPN・Torの利用
「プロキシサーバー」や「VPN」といった技術を使い、接続元を偽装・経由して投稿された場合です。特に、ログを保存しない方針(ノーログポリシー)を掲げる海外のVPNサービスや、匿名化ツール「Tor(トーア)」を経由されると、追跡が事実上不可能になるケースが多いです。ただし、「VPNを使っているから絶対安全」と過信している加害者が設定ミスをしているケースもあるため、最初から諦める必要はありません。
4 海外プロバイダの壁
IPアドレスの割り当て元が海外のサーバー会社である場合、日本の裁判所の命令が届かない、あるいは無視されることがあります。現地の弁護士を雇って現地の裁判所で手続きをする必要が出てくると、費用対効果の面で現実的ではなくなることが多いです。
5 それでも弁護士に依頼する意味
「特定できないリスク」があることは事実です。しかし、多くの一般ユーザーによる誹謗中傷は、ご自宅のWi-Fiやスマートフォンのキャリア回線から行われており、これらは特定可能です。
「高度な隠蔽工作をしているかもしれないから」と躊躇するよりも、「もし特定できれば責任を追及したい」という意思があるならば、まずは調査(IPアドレスの開示)を試みてみる価値はあります。まずは初回の段階で「特定の見込み」について、専門家の見解を聞いてみてください。

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書き込みの犯人を特定できる期間(タイムリミット)-ログ保存期間の壁に注意
「もう少し様子を見てから相談しよう」、「仕事が落ち着いたら対応しよう」
そう考えている間に、犯人を特定する唯一の手がかりである「アクセスログ」が消滅し、永久に特定不可能になってしまうケースが多発しています。今回は、このシビアな「タイムリミット」についてご紹介します。
1 「ログ」には保存期間がある
犯人特定の手がかりとなる「IPアドレス」や「タイムスタンプ」といった通信記録(アクセスログ)。これらは、プロバイダ(通信会社)のサーバーに永遠に残っているわけではありません。
プロバイダごとに保存期間は異なりますが、一般的な目安は以下の通りです。
①携帯キャリア(docomo、au、SoftBankなど):約3ヶ月
②固定回線プロバイダ:約3ヶ月〜6ヶ月
つまり、書き込みが行われてから3ヶ月が経過すると、特定できる可能性が激減します。
「3ヶ月」というのは、弁護士を探し、契約し、裁判所に申し立てを行い、開示命令が出るまでの期間を考えると、極めて短い時間です。
2 「書き込み削除」の罠
被害者心理として、「まずは目障りな書き込みを消したい」と考え、サイト管理者に削除依頼を出すことがあります。しかし、ここに大きな落とし穴があります。
サイトによっては、「記事データを削除すると同時に、サーバー上のアクセスログも消去される」仕様になっている場合があります。投稿を削除したがために、いざ犯人を訴えようとした時には証拠(ログ)が残っていない、という事態になりかねません。
犯人特定を希望する場合は、削除依頼を出す前に、必ずログの保全(発信者情報開示請求)を先行させる必要があります。
3 投稿から時間が経ってしまった場合
「もう3ヶ月以上経っているから無理でしょうか?」というご相談もいただきますが、決して諦める必要はありません。以下の可能性があります。
①ログイン型サービスの場合:最近のログイン履歴が残っていれば、そこから特定できる可能性があります。
②プロバイダによっては長期間保存している:一部のプロバイダでは、6ヶ月以上ログを保存している場合もあります。
4 今すぐやるべきこと
この記事を読んでいる今、誹謗中傷の書き込みからどれくらいの時間が経過しているでしょうか? もし数週間以内であれば、急いでください。1ヶ月以上経っているなら、一刻を争います。
まずは以下の2点を確保し、すぐに弁護士へ連絡することをお勧めします。
①URL(書き込みがあるページの厳密なアドレス)
②投稿日時などがわかるスクリーンショット(PDF保存が望ましい)
「時間切れ」で泣き寝入りすることだけは避けましょう。

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「改正プロバイダ責任制限法」で何が変わった?新しい裁判手続について
2022年10月に施行された「改正プロバイダ責任制限法」。
ネット上の誹謗中傷被害に遭い、法的措置を検討している方にとって、この法改正は非常に強力な武器となります。
「以前は大変だったと聞くけれど、今はどうなったの?」 「具体的に何が楽になったの?」
今回は、改正によって被害者の負担がどのように軽減されたのか、旧法との違いを見ていきましょう
1 最大の変更点-「2回の裁判」が「1回」に
これまでの発信者情報開示請求において、被害者にとって最大の壁は「手続きの煩雑さ」でした。犯人を特定するためには、原則として以下の2つの異なる裁判手続きを行う必要があったのです。
①コンテンツプロバイダ(SNS運営者など)に対する仮処分(IPアドレスの開示)
②アクセスプロバイダ(携帯キャリアなど)に対する訴訟(住所・氏名の開示)
この「2段階」のハードルにより、特定までに1年近くかかったり、その間にログが消えてしまったりするケースが後を絶ちませんでした。
今回の改正により新設された「発信者情報開示命令」という手続き(非訟手続)では、この2つのステップを1つの手続きの中で一体的に行うことが可能になりました。これにより、裁判所への申し立てが一本化され、迅速な救済が期待できるようになりました。
2 「ログイン型」投稿の特定がスムーズに
Twitter(現X)やInstagram、YouTubeなどのログイン型サービス(アカウントにログインして利用するサービス)では、投稿時のIPアドレスだけでなく、「ログイン時のIPアドレス」等の情報も開示対象として明記されました。
以前は、投稿時の通信ログが保存されていない場合、特定を断念せざるを得ないことがありました。しかし改正法により、ログイン時の情報(侵害関連通信)も開示の対象となったことで、SNSでの誹謗中傷における特定の成功率向上が期待されています。
3 証拠の散逸の防止
新しい手続きでは、裁判所がコンテンツプロバイダに対して「アクセスプロバイダの情報(どの通信会社を使ったか)」を提供するよう命令できます。そして、その情報をもとに、被害者はアクセスプロバイダに対して「開示命令の申し立て」を行うことができます。
この際、アクセスプロバイダに対して「ログを消さないよう命令してほしい(消去禁止命令)」を出すことも可能になり、手続き中に証拠が散逸されるリスクを減らす仕組みも整備されました。
4 適切な手続の利用が必要な理由
手続きは簡素化・迅速化されましたが、「誰でも簡単に自分でできるようになった」わけではありません。
新しい「非訟手続」を利用するか、従来の「訴訟」を選択するかは、事案の性質やプロバイダの対応方針によって使い分ける必要があります。また、依然として法的な主張立証(権利侵害の明白性の証明)は厳格に求められます。
適切な手続を利用するためにも、最新の運用に精通した弁護士にご相談ください。

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「死ね」「ブス」はアウト。ネット上の暴言が法的責任を問われるライン
ネット上の喧嘩や炎上でよく見かける、「死ね」「消えろ」「ブス」「キモい」といった単純な暴言。言われた方は深く傷つきますが、こうした短い言葉だけで法律上の責任を問うことはできるのでしょうか?
結論から言うと、「言葉単体」での判断は難しく、前後の文脈や回数、執拗さによって「アウト(違法)」かどうかが決まります。
1 「受忍限度」という考え方
裁判所が違法性を判断する際、「受忍限度」という基準を使います。
これは「社会生活を送る上で、我慢すべき限界」のことです。ネット上の多少の言い争いは「お互い様」とされることもありますが、この受忍限度を超えた攻撃は違法となり得ます。
2 「死ね」「殺す」などの生命に関わる言葉
「死ね」という言葉は、単発であれば侮辱罪にとどまるケースが多いですが、執拗に繰り返されたり、精神的に追い詰められたりした場合は違法性が認められやすくなります。
さらに進んで「殺すぞ」「家に行って火をつけるぞ」といった具体的な危害の告知が含まれる場合は、「脅迫罪」が成立する可能性があります。これは名誉毀損や侮辱よりも重い罪であり、警察が緊急で動くケースもあります。
3 「ブス」「デブ」などの容姿に関わる言葉
容姿に対する誹謗中傷は、具体的な事実の摘示ではないため、主に「侮辱(名誉感情の侵害)」の問題となります。 一回言われただけでは法的措置が難しい場合もありますが、以下のようなケースでは違法と判断される可能性が高まります。
①執拗な繰り返し:何度も粘着質に投稿されている。
②拡散性:多くの人が見る掲示板やSNSで、タグ付けをして拡散させている。
③職業への影響:アイドルやモデルなど、容姿が業務に直結する人の場合、営業妨害として捉えられることもあります。
4 実際の裁判例の傾向
近年、ネット上の誹謗中傷に対する司法の判断は厳しくなっています。かつては「ネットは便所の落書きだから仕方ない」と軽視される風潮もありましたが、現在は「匿名であっても人格攻撃は許されない」という判断が主流です。
「バカ」の一言でも、それが数百回書き込まれれば、平穏な生活を害するとして不法行為と認定されるケースは十分にあります。
5 一人で悩まず、証拠を持って相談を
「これくらいの悪口で相談していいのかな?」と迷う必要はありません。 「死ね」「キモい」といった言葉の羅列であっても、それがあなたに恐怖や苦痛を与えているなら、それは立派な権利侵害です。
発信者情報開示請求を行うかどうかは、費用の対効果も含めて慎重に検討する必要がありますが、まずは専門家の意見を聞くことが解決への第一歩です。相手の投稿が消される前に、URLとスクリーンショットを保存してご相談ください。

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ネットの書き込みは犯罪になる?刑事告訴(警察への相談)と民事訴訟の違い
ネットトラブルの被害に遭った際、「相手を訴えたい」という言葉をよく耳にします。しかし、この「訴える」には、大きく分けて2つの意味が含まれていることをご存知でしょうか。
それは「刑事(けいじ)」の手続きと「民事(みんじ)」の手続きです。この2つは目的も手続きも全く別物です。 ここを混同していると、解決までの道のりで思わぬ壁にぶつかることがあります。
1 刑事手続:相手に「罰」を与える
刑事手続きの目的は、国家が加害者に対して刑罰(懲役、罰金、科料など)を与えることです。被害者が警察署に「告訴状」や「被害届」を提出することから始まります。
①対象となる罪
名誉毀損罪、侮辱罪、脅迫罪、業務妨害罪など。
②メリット
相手に「犯罪者」としての責任を負わせることができ、再犯防止の強力な抑止力になります。
③注意点
警察が動いて犯人を逮捕・起訴してくれても、被害者にお金(慰謝料)が入ってくるわけではありません。罰金刑になっても、そのお金は国庫に入ります。
また、警察は「民事不介入」の原則があるため、単なる悪口のレベルや、犯罪構成要件を満たしているか微妙な事案では、なかなか動いてくれないこともあります。
2 民事手続き:相手から「賠償」を得る
民事手続きの目的は、被害者の損害を回復することです。具体的には、書き込みの削除や、慰謝料(損害賠償金)の支払いを求めます。 弁護士に依頼して行う「発信者情報開示請求」は、主にこの民事手続きの準備段階にあたります。
①できること
投稿の削除、投稿者の特定、慰謝料請求、謝罪広告の掲載請求など。
②メリット
金銭的な被害回復ができ、調査費用(弁護士費用)の一部も相手に請求できる場合があります。
③注意点
相手にお金がない場合、回収できないリスクがあります。また、民事で勝訴しても、相手に「前科」がつくわけではありません。
3 刑事と民事、どちらを選ぶべき?
結論から言えば、「どちらか一方」ではなく「両方」行うケースが多いです。
特に悪質な誹謗中傷の場合、以下のような流れが一般的です。
①民事手続きで犯人を特定する (警察はIPアドレスの特定捜査に慎重な場合も多いため、まずは弁護士が民事で特定することが近道になることが多いです)
②特定した相手に対して、損害賠償請求(民事)を行う
③同時に、警察へ刑事告訴(刑事)を行う 「示談に応じなければ刑事告訴を取り下げない」という交渉カードとしても機能します。
4 最適な戦略を立てるために
「とにかく相手を刑務所に入れたい」のか、「慰謝料をとって反省させたい」のか、被害者の方が何を一番望むかによって、とるべき戦略は変わります。
当事務所では、依頼者様の気持ちに寄り添い、刑事・民事の両面から最適な解決策をご提案します。まずは法律相談にて、現在のご状況をお聞かせください。

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肖像権侵害の判断基準-SNSに勝手に写真を載せられた場合の対処法
スマートフォンの普及により、誰もが気軽に写真を撮り、SNSにアップする時代になりました。それに伴い急増しているのが「肖像権」に関するトラブルです。
「友人が勝手に私の変顔をインスタに載せた」「街中で撮影された動画に自分が映り込んでいてYouTubeにアップされた」 これらは法律的に許されるのでしょうか?
1 肖像権とは?
肖像権とは、法律の条文に明記されているわけではありませんが、判例上認められている権利で、「みだりに自分の容ぼう等を撮影されたり、公表されたりしない権利」のことを指します。大きく分けて以下の2つの側面があります。
①プライバシー権的側面
勝手に撮影・公表されない権利(一般人が主に対象)
②パブリシティ権
顧客誘引力(経済的価値)を勝手に利用されない権利(芸能人・有名人が主に対象)
一般の方のトラブルでは、前者の「プライバシー権としての肖像権」が問題になります。
2 肖像権侵害になるかどうかの基準
すべての「無断掲載」が違法になるわけではありません。裁判所は、主に以下の要素を総合的に考慮して判断します。
①人物が特定できるか
顔がはっきり映っているかどうかが重要です。遠くの風景の一部として小さく映っている場合や、後ろ姿、ピンボケ、マスクやサングラスで個人が識別できない場合は、侵害とは認められにくいです。
②撮影・公開の場所
自宅内などのプライベートな空間か、公園や路上などの公共の場所か。公共の場所であっても、特定の人物を狙って執拗に撮影する行為は違法となる可能性があります。
③撮影・公開の目的と必要性
報道目的や防犯目的など正当な理由があるか、あるいは単なる興味本位や嫌がらせか。
④本人の承諾(許可)の有無
「撮っていいよ」と言ったとしても、「SNSに載せていいよ」と言ったことにはなりません。撮影の許可と公開の許可は別物です。
3 よくあるケースと対応策
①集合写真のSNSアップ
友人間でのトラブルで多いのがこれです。基本的には「掲載を取り下げてほしい」と直接伝えるのが一番ですが、関係性がこじれている場合や、悪意を持って晒されている場合は弁護士による削除請求が有効です。
②隠し撮り・リベンジポルノ
交際相手との私的な写真や動画が公開された場合、これは重大な権利侵害です。肖像権侵害だけでなく、リベンジポルノ防止法違反や名誉毀損に該当する可能性が高く、警察への刑事告訴も視野に入れるべき緊急事態です。
4 泣き寝入りせず削除を求める
「風景の一部だから大丈夫」「モザイクをかけたから大丈夫」と投稿者は主張するかもしれませんが、文脈や周囲の情報と合わせることで個人が特定できる場合、肖像権侵害は成立し得ます。
勝手に写真を公開され、精神的苦痛を感じている場合は、画像の削除や損害賠償請求が可能です。まずはスクリーンショットを保存の上、ご相談ください。

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「プライバシー侵害」はどこから?ネットでの実名・住所晒しへの法的対応
「ネット掲示板に勝手に本名を書かれた」、「自宅の住所が晒されている」
こうした「プライバシー侵害」は、名誉毀損と並んで非常に多い相談の一つです。
匿名性が基本のインターネットにおいて、個人の私生活に関する情報が暴露されることは、精神的に大きな苦痛を伴います。では、具体的にどのような情報が公開されると「プライバシー侵害」として法的措置が取れるのでしょうか。
1 プライバシー侵害の「3つの基準」
過去の裁判例(「宴のあと」事件など)から、プライバシー侵害が成立するかどうかは、主に以下の3つの要件ですべて満たすかどうかで判断されます。
①私生活上の事実、または私生活上の事実らしく受け取られる事柄であること
②これまで一般の人々に知られていない事柄であること(非公知性)
③一般人の感覚として、公開されることを欲しない事柄であること
つまり、「誰にも知られたくない私生活の秘密」を「勝手にバラされた」場合に成立します。
2 具体的にアウトになる情報の例
以下のような情報は、プライバシー侵害として認められる可能性があります。
①氏名、住所、電話番号: 個人の特定に直結する基本情報
②勤務先、年収、資産状況: 経済的な信用に関わる情報
③前科、前歴: 過去の犯罪歴(実名報道されていても、時間が経過していれば保護される場合があります)
④病歴、身体的特徴、性的指向: 極めてデリケートな情報(センシティブ情報)
⑤家庭内のトラブル: 離婚歴、不倫の事実、家族構成など。
3 実名や顔写真が出ているだけでは不十分?
「自分の名前がネットにあるだけで消したい」という相談もありますが、単に名前があるだけでは削除が難しい場合もあります。
例えば、会社の代表者としてホームページに名前が載っている場合や、自らSNSで公開している情報は、「他人に知られたくない秘密」とは言えないからです。
しかし、前後の文脈が重要です。「〇〇(実名)は詐欺師だ」のように、実名と共に誹謗中傷が書かれている場合は、プライバシー侵害と名誉毀損の両方を主張できる可能性があります。
4 プライバシー侵害への対処法
プライバシー情報は一度拡散してしまうと回収が困難です(デジタルタトゥー)。
そのため、名誉毀損よりもさらに「スピード」が重要になります。
①サイト管理者への削除請求
裁判手続きを経なくても、ガイドライン違反として削除に応じてもらえるケースがあります。
②送信防止措置依頼
プロバイダ責任制限法に基づき、正式な書類を送って削除を求めます。
③法的措置(仮処分・開示請求)
削除に応じない場合や、投稿者を特定して慰謝料を請求したい場合は、裁判手続きを行います。
ご自身の情報が晒されて不安な日々を過ごされている方は、すぐに弁護士へ相談し、情報の拡散を止める手立てを講じましょう。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
誹謗中傷と名誉毀損の違いとは?侮辱罪との境界線や成立要件
インターネット上で悪口を書かれたとき、「これは誹謗中傷だ!」「名誉毀損で訴えてやる!」と思う方は多いでしょう。しかし、法律の世界には「誹謗中傷罪」という名称の犯罪は存在しません。
法的に問題となるのは、主に「名誉毀損(めいよきそん)」と「侮辱(ぶじょく)」の2つです。この2つは似ているようで、成立するための条件が大きく異なります。
今回は、ネットトラブルで最も重要なこの2つの違いについて解説します。
1 「事実」を摘示しているかどうかが分かれ目
名誉毀損と侮辱、どちらに当てはまるかを判断する最大のポイントは、書き込みの中に「具体的な事実」が含まれているかどうかです。
(1)名誉毀損罪(刑法230条)
「公然と事実を摘示し、人の名誉を毀損した」場合に成立します。
ここでのポイントは「事実の摘示」です。
例えば、「Aさんは会社の金を横領している」「Bさんは不倫をしている」といった書き込みは、証拠の有無にかかわらず「具体的なエピソード(事実)」を示して相手の社会的評価を下げているため、名誉毀損になり得ます。
(2)侮辱罪(刑法231条)
「事実を摘示しなくても、公然と人を侮辱した」場合に成立します。
具体的なエピソードはなくとも、相手の人格を否定するような言葉がこれに該当します。 例えば、「バカ」「アホ」「チビ」「ハゲ」「無能」といった抽象的な罵倒は、事実の摘示ではないため、名誉毀損ではなく侮辱罪の対象となります。
2 「公然と」とはどういう意味か?
どちらの罪にも共通する要件として「公然と」という言葉があります。
これは「不特定または多数の人が認識できる状態」を指します。
インターネット上の掲示板、X(旧Twitter)、インスタグラムのコメント欄などは、誰でも見ることができるため「公然と」の要件を満たします。
一方で、1対1のダイレクトメール(DM)や、少人数の鍵付きグループチャット内での悪口は、原則として「公然性」がないため、名誉毀損や侮辱罪は成立しにくい傾向にあります
3 民事上の損害賠償額(慰謝料)の違い
刑事罰だけでなく、民事裁判で慰謝料を請求する場合も、名誉毀損と侮辱では相場が異なります。
①名誉毀損の場合
社会的信用へのダメージが大きいため、慰謝料相場は数十万円〜百万円程度(個人の場合)と高めになる傾向があります。
②侮辱(名誉感情の侵害)の場合
抽象的な悪口にとどまるため、数万円〜数十万円程度にとどまるケースが多いです。
4 どちらかわからなくても弁護士へ相談を
「この書き込みは事実のような、悪口のような、どちらとも取れる…」と迷うケースも少なくありません。 ご自身で判断して「これは罪にならないかも」と諦めてしまう前に、専門家である弁護士にご相談ください。文脈全体を分析し、法的にどの権利侵害を主張できるか、最適な構成案をご提案します。

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