「ネット掲示板に勝手に本名を書かれた」、「自宅の住所が晒されている」
こうした「プライバシー侵害」は、名誉毀損と並んで非常に多い相談の一つです。
匿名性が基本のインターネットにおいて、個人の私生活に関する情報が暴露されることは、精神的に大きな苦痛を伴います。では、具体的にどのような情報が公開されると「プライバシー侵害」として法的措置が取れるのでしょうか。
このページの目次
1 プライバシー侵害の「3つの基準」
過去の裁判例(「宴のあと」事件など)から、プライバシー侵害が成立するかどうかは、主に以下の3つの要件ですべて満たすかどうかで判断されます。
①私生活上の事実、または私生活上の事実らしく受け取られる事柄であること
②これまで一般の人々に知られていない事柄であること(非公知性)
③一般人の感覚として、公開されることを欲しない事柄であること
つまり、「誰にも知られたくない私生活の秘密」を「勝手にバラされた」場合に成立します。
2 具体的にアウトになる情報の例
以下のような情報は、プライバシー侵害として認められる可能性があります。
①氏名、住所、電話番号: 個人の特定に直結する基本情報
②勤務先、年収、資産状況: 経済的な信用に関わる情報
③前科、前歴: 過去の犯罪歴(実名報道されていても、時間が経過していれば保護される場合があります)
④病歴、身体的特徴、性的指向: 極めてデリケートな情報(センシティブ情報)
⑤家庭内のトラブル: 離婚歴、不倫の事実、家族構成など。
3 実名や顔写真が出ているだけでは不十分?
「自分の名前がネットにあるだけで消したい」という相談もありますが、単に名前があるだけでは削除が難しい場合もあります。
例えば、会社の代表者としてホームページに名前が載っている場合や、自らSNSで公開している情報は、「他人に知られたくない秘密」とは言えないからです。
しかし、前後の文脈が重要です。「〇〇(実名)は詐欺師だ」のように、実名と共に誹謗中傷が書かれている場合は、プライバシー侵害と名誉毀損の両方を主張できる可能性があります。
4 プライバシー侵害への対処法
プライバシー情報は一度拡散してしまうと回収が困難です(デジタルタトゥー)。
そのため、名誉毀損よりもさらに「スピード」が重要になります。
①サイト管理者への削除請求
裁判手続きを経なくても、ガイドライン違反として削除に応じてもらえるケースがあります。
②送信防止措置依頼
プロバイダ責任制限法に基づき、正式な書類を送って削除を求めます。
③法的措置(仮処分・開示請求)
削除に応じない場合や、投稿者を特定して慰謝料を請求したい場合は、裁判手続きを行います。
ご自身の情報が晒されて不安な日々を過ごされている方は、すぐに弁護士へ相談し、情報の拡散を止める手立てを講じましょう。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
