名誉毀損の参考事例その3

インターネットでの自由な情報発信は便利ですが、その裏にある法的責任を軽視すると思わぬトラブルを招くことがあります。今回は、SNSや匿名掲示板での投稿が引き起こした具体例(実際の事例からは変更を加えております)をご紹介し、そのリスクと対策について考えてみたいと思います。

1 事例①飲食店への虚偽の口コミ投稿

ある飲食店のオーナーHさんは、匿名のSNS投稿で「この店の料理には異物が入っていた」「店員の態度が最悪」といった内容の批判を受けました。この投稿は瞬く間に拡散され、店の評判は大きく傷つき、売上が急激に落ち込みました。

Hさんは、店舗内の監視カメラや従業員の証言を基に調査を進め、これらの投稿が事実無根であることを証明。さらに、SNS運営会社に情報開示請求を行った結果、投稿者は近隣で競合する別の飲食店の関係者Iさんであることが判明しました。

裁判所は、Iさんの行為がHさんの営業利益を損なう意図的な名誉毀損行為であると認定し、200万円の損害賠償を命じました。

2 事例②学生に対する根拠のない批判

大学生Jさんは、ある掲示板で「試験でカンニングをしている」「不正に成績を上げている」などの虚偽の投稿をされました。この情報は大学内で広まり、Jさんは友人関係や教員との信頼を大きく損なう結果となりました。

Jさんは、大学や掲示板の管理者と協力して情報開示請求を行い、投稿者が同じ大学のKさんであることを特定。Kさんは、個人的な嫉妬心から虚偽の投稿を行ったと認めました。
裁判所は、Kさんの投稿がJさんの名誉を傷つけたと判断し、損害賠償金50万円と、Jさんへの正式な謝罪を命じました。

3 不用意な投稿が引き起こすリスク

名誉毀損行為が訴えられると、以下のような重大な影響が発生します。

①高額な損害賠償のリスク
名誉毀損が認められた場合、数十万円から数百万円の賠償金を命じられることがあります。

②刑事罰の可能性
名誉毀損罪が成立すれば、3年以下の懲役または50万円以下の罰金が科される可能性があります。

③投稿者の身元が特定されるリスク
匿名であっても、プロバイダ責任制限法に基づく開示請求によって投稿者が特定される可能性があります。

4 インターネット上の投稿には十分ご注意ください

インターネットでの情報発信は私たちに多くの利便性をもたらしますが、その反面、慎重さを欠いた投稿が深刻なトラブルを引き起こすことがあります。特に虚偽の情報を拡散する行為は、被害者だけでなく加害者自身の人生にも重大な影響を及ぼします。

万が一、名誉毀損の問題に巻き込まれた場合や、不安を感じる場合は、早急に弁護士などの専門家にご相談ください。安全で健全なインターネット利用を心掛け、トラブルを未然に防ぎましょう。

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