コンシェルジュサービスへの不満と名誉毀損

昨今インターネットの幅広い普及で、インターネットは老若男女問わず利用されております。

このような状況は、幅広い意見が提起されるという側面からは良いことですが、その一方で、安易な名誉毀損や誹謗中傷を含む様々な権利侵害が多数発生してしまっているという問題もあり、この問題は社会問題となっております。

本日は、この問題を考える際に参考となる裁判例(東京地判令和2年2月28日)をご紹介いたします(なお、ご紹介の都合上、概要の記載にとどめております。)。

1 事案の概要

コンシェルジュサービス等を行うことを目的とする原告が、第三者が原告の姿勢や対応等に関して否定的な投稿等を繰り返し行ったことを踏まえて名誉権等を侵害されたものとして、アクセスプロバイダに対して発信者情報開示請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

①本件記載は、一般読者の普通の注意と読み方を基準とすれば、原告が、会員に対し、毎年定期的かつ継続的に給付される金銭である年金が将来受給される見込みがないのにこれがあるように誤信させて原告との会員契約を募った事実を摘示するものと理解できる。したがって、本件記事は、原告が詐欺等の犯罪行為を行っているとの印象を与えるものであり、原告の信用を毀損し、社会的評価を低下させる内容であると認められる。

②本件各記事が匿名で行われていることや、具体的な根拠が示されていないことなどの事情を併せ考慮すれば、本件各記事に公益目的があるとは考え難く,違法性阻却事由の存在をうかがわせる事情は存在しない。

上記裁判所の判断は妥当なものと考えられます。

会社の対応等を非難する場合でも、「詐欺会社」等と記載することは、度を越した表現であると言わざるを得ず、会社の対応の問題点などを指摘する場合でも使用する表現面には十分注意が必要です。

3 インターネット上での表現行為には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、公益目的での批判やそこまでにはいかずに単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないという自覚のもとに行われたものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。 インターネット上に何らかの投稿を行う場合には、まずはその投稿を行って問題となるかどうかを冷静に考えることが何よりも重要である点には再度ご注意ください。

お問い合わせフォーム

 

ページの上部へ戻る

keyboard_arrow_up

0358774099電話番号リンク 問い合わせバナー