公益財団法人に対する名誉毀損

昨今インターネットの幅広い普及で、インターネットは老若男女問わず利用されております。また、SNSや各種の匿名掲示板といったインターネット上の場において、様々な内容について個人が意見を表明することも容易になっております。

このような状況は、幅広い意見が提起されるという側面からは良いことですが、その一方で、安易な名誉毀損や誹謗中傷を含む様々な権利侵害が多数発生してしまっているという問題もあり、この問題は社会問題となっております。

本日は、この問題を考える際に参考となる裁判例(東京地判令和元年11月19日)をご紹介いたします(なお、ご紹介の都合上、概要の記載にとどめております。)。

1 事案の概要

公益財団法人Xが、同法人の職員が詐欺行為を行っている等とインターネット上の掲示板に投稿されていたことを踏まえ、アクセスプロバイダに対して、発信者情報開示請求を行った事案です。

2 裁判所の判断

①本件各投稿は、いずれも原告が利用料の過大請求、詐欺、脅迫行為を行ったとの事実を摘示し、原告の社会的評価を低下させるものと認められる。

②被告が提出する各書証によっても、原告やその関係者が詐欺や脅迫等の犯罪行為を行ったとする本件各投稿の内容が真実であるか、真実と信じるにつき相当な理由があるとは認められない。

③原告は、本件各記事により精神的苦痛を被り、本件各記事の発信者に対し、不法行為に基づく損害賠償請求等の準備をしていることが認められるから、被告らが保有する発信者の各情報が必要であり、発信者情報の開示を求める正当理由があると認められる。

3 インターネット上での表現行為には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、公益目的での批判やそこまでにはいかずに単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないという自覚のもとに行われたものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

また、昨今の状況を踏まえて、非常に簡易な罵倒表現であっても名誉毀損などに該当すると判断される場合も多くあり、自分としては問題ないと判断して行った投稿であっても、ネガティブな内容を含む表現には危険が伴うことは十分に注意する必要があります。 インターネット上に何らかの投稿を行う場合には、まずはその投稿を行って問題となるかどうかを冷静に考えることが何よりも重要である点には再度ご注意ください。

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