幼児教室に対する名誉毀損

昨今インターネットの幅広い普及で、インターネットは老若男女問わず利用されております。また、SNSや各種の匿名掲示板といったインターネット上の場において、様々な内容について個人が意見を表明することも容易になっております。

このような状況は、幅広い意見が提起されるという側面からは良いことですが、その一方で、安易な名誉毀損や誹謗中傷を含む様々な権利侵害が多数発生してしまっているという問題もあり、この問題は社会問題となっております。

本日は、この問題を考える際に参考となる裁判例をご紹介いたします(なお、ご紹介の都合上、概要の記載にとどめております。)。

1 事案の概要

幼稚園受験や小学校受験を目指した生徒向けの個人塾を開いているAは、インターネット上のサイトにおいて、自身の塾に関して合格実績を偽っていることや他の教室が使用している資料を無断流用している等の投稿がなされていることを踏まえ、アクセスプロバイダに対して名誉毀損を理由とする発信者情報開示請求を行った。

2 裁判所の判断

①本件各投稿がなされた当時、本件スレッドでは同一の幼児教室が話題に上っており、本件各投稿も同一の幼児教室を対象とした投稿であると認められる。また、掲載されていた写真等もあわせて考えると、本件各投稿は原告の開設する幼児教室を対象としたものであると認められる。

②受験のための幼児教室を開設している原告が合格実績を偽って発表ないし勧誘したというものであるから、原告の社会的評価を低下させることは明らかである。

3 インターネット上での表現行為には十分ご注意ください

投稿した人物にとっては、公益目的での批判やそこまでにはいかずに単なる意趣返し、あるいは大したことない内容であり単なる感想に過ぎないという自覚のもとに行われたものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。

また、昨今の状況を踏まえて、非常に簡易な罵倒表現であっても名誉毀損などに該当すると判断される場合も多くあり、自分としては問題ないと判断して行った投稿であっても、ネガティブな内容を含む表現には危険が伴うことは十分に注意する必要があります。

インターネット上に何らかの投稿を行う場合には、まずはその投稿を行って問題となるかどうかを冷静に考えることが何よりも重要である点には再度ご注意ください。

お問い合わせフォーム

 

ページの上部へ戻る

keyboard_arrow_up

0358774099電話番号リンク 問い合わせバナー