オンラインゲームのファンの間でのトラブル

インターネットの普及、老若男女問わずSNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。

インターネット上のやり取りは基本的には匿名であるという認識を有する利用者が依然として非常に多く存在し、匿名であることから行き過ぎた言動となってしまう場合も多くあるようです。名誉毀損は民事上の問題だけではなく刑事事件になるリスクもあるので、十分注意が必要です。

本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和元年12月19日、をご紹介いたします(なお、一部を省略、要約した、概要のご紹介となります。)。

1 事案の概要

被告は、インターネット上の匿名掲示板において、特定のゲームのファンである原告について、「頭空っぽの屑」、「病気の類」、「境界性人格障害」、「いい大人のくせにアホ」、「社会の常識すら守れない人間」、「見境なくクソリプつけてくる害悪野郎」、「人の迷惑考えない典型的アスペ」等の投稿を繰り返し行った。これに対して、原告は、被告が投稿した当該記事によって名誉感情及びプライバシー権が侵害されたと主張し、これに対して、被告に対して不法行為に基づく損害賠償請求を行った。

2 裁判所の判断

裁判所は、大要、以下の通り判断しました。

①各投稿内容の前後の文脈に照らせば、いずれも同ゲームのファンから成るコミュニティ内の特定の同一人物を指していることが明らかである。そして、同ゲームのファンのコミュニティの中で当該ハンドルネームを用いて活動しているのは原告であることが認められるから、各投稿は、原告を対象とするものであると認められる。

②各投稿内容は、いずれも原告を侮蔑し、罵倒する内容であることが明らかである。そして、これらの投稿は、スレッド内で発生した原告に対する個人攻撃の論調に同調して行われたものであることが認められるところ、このような投稿の態様にも照らせば、上記各投稿は、それぞれ社会通念上許容される限度を超えた侮辱行為に当たるものというべきであり、これによって原告の名誉感情が侵害されることは明らかである。

3 インターネットのご利用には十分ご注意ください

名誉毀損は、民事上問題となるだけでなく刑事事件となる可能性もあり、刑事事件となった場合には、その後の人生にも大きな悪影響を与えますので、十分に注意することが必要です。 インターネット上に何らかの投稿を行う場合には、まずはその投稿を行って問題となるかどうかを冷静に考えることが何よりも重要である点には再度ご注意ください。

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