インターネットの普及、SNSの幅広い利用によって、昨今インターネット上の名誉毀損は社会問題ともなっております。
本日は、1つの事例として、東京地方裁判所判決令和3年12月23日、をご紹介いたします(なお、一部を省略した、概要のご紹介となります。)。
このページの目次
1 事案の概要
芸能プロダクションとして設立された原告が、専属芸能人契約を締結した被告らが①グループ名の無断変更、②虚偽の事実をあたかも真実の原告の内部情報であるかのように装い、インターネット上に公開、公表したことが、債務不履行又は不法行為に該当するとして、損害賠償請求を行った事案です。
2 裁判所の判断
裁判所は、大要、以下の通り判断しました。
①被告の役割に照らせば、原告の承諾無く本件ユニットの名称を変更し、メンバーに対し新たな名称で活動を行う旨を伝えることにより、本件ユニットの活動が困難になることは容易に認識することができたものと認められる。そのため、飛行の行為は不法行為に該当する。
②そもそも、いかなる情報をマスコミや他のユーチューバーに伝えたか不明である上、仮に、当該行為が名誉毀損行為に該当するとしても当該行為を行ったのは、被告ではなく、第三者であると解されるから、被告が、原告及び原告の専属タレントの名誉を毀損したとは認められない。そのため、被告の行為は債務不履行には該当しない。
3 インターネットの利用には十分ご注意ください
投稿した人物にとっては、大したことない内容であり、単なる感想に過ぎないというものであっても、客観的に見ると当人の社会的評価を下げるものである場合には名誉毀損に該当する表現となってしまいます。
表現の自由ということは非常に重要であることは間違いありませんが、他者の名誉を傷つけることは許されておりません。そのため、心持としては、第三者に対する否定的な評価を含む内容を不特定多数が閲覧する可能性があるインターネット上に投稿する場合には、最大限の注意を払い、可能であれば投稿することを控えるべきかということを改めて検討していただくことが余計なトラブルを回避するための最も効果的な方法です。
ただ、予期せぬトラブルに巻き込まれることは往々にしてありますので、被害者の立場にせよ加害者の立場にせよインターネット上のトラブルに巻き込まれてしまった場合には、まずは専門家にご相談いただくことをお勧めいたします。