スマートフォンの普及により、誰もが気軽に写真を撮り、SNSにアップする時代になりました。それに伴い急増しているのが「肖像権」に関するトラブルです。
「友人が勝手に私の変顔をインスタに載せた」「街中で撮影された動画に自分が映り込んでいてYouTubeにアップされた」 これらは法律的に許されるのでしょうか?
このページの目次
1 肖像権とは?
肖像権とは、法律の条文に明記されているわけではありませんが、判例上認められている権利で、「みだりに自分の容ぼう等を撮影されたり、公表されたりしない権利」のことを指します。大きく分けて以下の2つの側面があります。
①プライバシー権的側面
勝手に撮影・公表されない権利(一般人が主に対象)
②パブリシティ権
顧客誘引力(経済的価値)を勝手に利用されない権利(芸能人・有名人が主に対象)
一般の方のトラブルでは、前者の「プライバシー権としての肖像権」が問題になります。
2 肖像権侵害になるかどうかの基準
すべての「無断掲載」が違法になるわけではありません。裁判所は、主に以下の要素を総合的に考慮して判断します。
①人物が特定できるか
顔がはっきり映っているかどうかが重要です。遠くの風景の一部として小さく映っている場合や、後ろ姿、ピンボケ、マスクやサングラスで個人が識別できない場合は、侵害とは認められにくいです。
②撮影・公開の場所
自宅内などのプライベートな空間か、公園や路上などの公共の場所か。公共の場所であっても、特定の人物を狙って執拗に撮影する行為は違法となる可能性があります。
③撮影・公開の目的と必要性
報道目的や防犯目的など正当な理由があるか、あるいは単なる興味本位や嫌がらせか。
④本人の承諾(許可)の有無
「撮っていいよ」と言ったとしても、「SNSに載せていいよ」と言ったことにはなりません。撮影の許可と公開の許可は別物です。
3 よくあるケースと対応策
①集合写真のSNSアップ
友人間でのトラブルで多いのがこれです。基本的には「掲載を取り下げてほしい」と直接伝えるのが一番ですが、関係性がこじれている場合や、悪意を持って晒されている場合は弁護士による削除請求が有効です。
②隠し撮り・リベンジポルノ
交際相手との私的な写真や動画が公開された場合、これは重大な権利侵害です。肖像権侵害だけでなく、リベンジポルノ防止法違反や名誉毀損に該当する可能性が高く、警察への刑事告訴も視野に入れるべき緊急事態です。
4 泣き寝入りせず削除を求める
「風景の一部だから大丈夫」「モザイクをかけたから大丈夫」と投稿者は主張するかもしれませんが、文脈や周囲の情報と合わせることで個人が特定できる場合、肖像権侵害は成立し得ます。
勝手に写真を公開され、精神的苦痛を感じている場合は、画像の削除や損害賠償請求が可能です。まずはスクリーンショットを保存の上、ご相談ください。

有森FA法律事務所では、インターネット上の誹謗中傷や名誉毀損、プライバシー・著作権に関するトラブルなど、ネットにまつわる様々なお悩みに対応しています。スマートフォンやSNSが日常に溶け込んだ今、ネット上の問題は誰にとっても身近なリスクとなっています。東京都をはじめ全国からのご相談に対応しており、WEB会議によるご相談も可能です。ひとりで抱え込まず、まずはお気軽にご相談ください。
