ネットトラブルの被害に遭った際、「相手を訴えたい」という言葉をよく耳にします。しかし、この「訴える」には、大きく分けて2つの意味が含まれていることをご存知でしょうか。
それは「刑事(けいじ)」の手続きと「民事(みんじ)」の手続きです。この2つは目的も手続きも全く別物です。 ここを混同していると、解決までの道のりで思わぬ壁にぶつかることがあります。
このページの目次
1 刑事手続:相手に「罰」を与える
刑事手続きの目的は、国家が加害者に対して刑罰(懲役、罰金、科料など)を与えることです。被害者が警察署に「告訴状」や「被害届」を提出することから始まります。
①対象となる罪
名誉毀損罪、侮辱罪、脅迫罪、業務妨害罪など。
②メリット
相手に「犯罪者」としての責任を負わせることができ、再犯防止の強力な抑止力になります。
③注意点
警察が動いて犯人を逮捕・起訴してくれても、被害者にお金(慰謝料)が入ってくるわけではありません。罰金刑になっても、そのお金は国庫に入ります。
また、警察は「民事不介入」の原則があるため、単なる悪口のレベルや、犯罪構成要件を満たしているか微妙な事案では、なかなか動いてくれないこともあります。
2 民事手続き:相手から「賠償」を得る
民事手続きの目的は、被害者の損害を回復することです。具体的には、書き込みの削除や、慰謝料(損害賠償金)の支払いを求めます。 弁護士に依頼して行う「発信者情報開示請求」は、主にこの民事手続きの準備段階にあたります。
①できること
投稿の削除、投稿者の特定、慰謝料請求、謝罪広告の掲載請求など。
②メリット
金銭的な被害回復ができ、調査費用(弁護士費用)の一部も相手に請求できる場合があります。
③注意点
相手にお金がない場合、回収できないリスクがあります。また、民事で勝訴しても、相手に「前科」がつくわけではありません。
3 刑事と民事、どちらを選ぶべき?
結論から言えば、「どちらか一方」ではなく「両方」行うケースが多いです。
特に悪質な誹謗中傷の場合、以下のような流れが一般的です。
①民事手続きで犯人を特定する (警察はIPアドレスの特定捜査に慎重な場合も多いため、まずは弁護士が民事で特定することが近道になることが多いです)
②特定した相手に対して、損害賠償請求(民事)を行う
③同時に、警察へ刑事告訴(刑事)を行う 「示談に応じなければ刑事告訴を取り下げない」という交渉カードとしても機能します。
4 最適な戦略を立てるために
「とにかく相手を刑務所に入れたい」のか、「慰謝料をとって反省させたい」のか、被害者の方が何を一番望むかによって、とるべき戦略は変わります。
当事務所では、依頼者様の気持ちに寄り添い、刑事・民事の両面から最適な解決策をご提案します。まずは法律相談にて、現在のご状況をお聞かせください。

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